祭り紹介

祭り紹介者

住吉神社 宮司 中津江 瑞穂(なかつえ みずほ)さん

「住吉祭は、秋に開催される金谷(かなや)神社の天神祭りと並んで萩の二大祭りといわれています。令和元年には女性が担ぎ手を務めるおんな神輿が新たに加わり、より一層にぎわいを増しました。」

(インタビュー日:2019年12月6日)

歴史令和元年に開催360回を数えた住吉神社の例大祭

シシゾウ:住吉祭は、いつごろ始まりましたか?

中津江さん:住吉神社は万治元年(1658)、大阪の住吉大社の御分霊をまつって浜崎地区に創建されました。当時、北前船の寄港地だった港町の浜崎地区は廻船業と水産業で栄えていました。ある廻船業者が海運の神様である住吉大社に航海の無事を願掛けしたところ、持ち船が時化(しけ)の難を逃れられたことに感謝し、藩に勧請を申請して認められたもので、その翌年の万治2年(1659)、神輿が御神幸する住吉祭が始まりました。神輿に供奉(ぐぶ)する御船山車は、萩藩主から贈られた小舟を山車に仕立てて曳き回したのが始まりといわれています。現在の御船山車は、藩主が乗る御座船を模して江戸時代に建造されたもので、約300年の歴史があります。
昭和38年(1963)からは萩夏まつり(当時は萩観光夏祭り)が住吉祭にあわせて開催されるようになり、花火大会など多彩なイベントが伝統の祭りを盛り立ててくれています。

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みどころ神輿と御船山車、おんな神輿が集結する三位一体(さんみいったい)

シシゾウ:住吉祭の日程を教えてください。

中津江さん:祭り期間は7月27日から8月4日までです。中心行事の神輿の御神幸は2日と3日で、3日は御船山車も巡行します。萩夏まつりの日程は8月1日から3日までで、1日の花火大会、2日のパレード、3日の提灯山車の「のんた提灯」や踊り車など様々な催しが行われます。

シシゾウ:神輿の御神幸のスケジュールを教えてください。

中津江さん:江戸時代の御神幸は、萩藩主が参勤交代に使った御成道(おなりみち)を通って萩城に登城しました。明治維新以降は、地域の氏神様の春日神社とメインストリートの吉田町(よしだちょう)通りに設けられる萩夏まつり本部を御旅所として市内を回り、3日の深夜に宮入りします。その道中、事前に申し込みのあった個人宅や商店などを回り、家内安全や商売繁盛などのご祈祷をします。言うなれば神様の出張祈祷という形で(笑)、2日間で約200軒に立ち寄ります。
神輿の担ぎ手を務めるのは上荷組(うわにぐみ)という江戸時代に起源を持つ奉納団体です。浜崎地区の廻船業者によって構成され、現在も廻船問屋の子孫の方々とその関係者が中心になっています。真夏の炎天下に神輿を担ぐのは本当に大変で、上荷組の皆さんからは「わざわざ一番暑いときを選んで祭りをしなくても」と毎回苦情をいわれます(笑)。3日の御神幸は午後3時からなので少し楽ですが、2日は朝8時から夜7時まで歩き回るので、神輿について歩く私もくたくたです(笑)。

シシゾウ:御船山車の巡行について教えてください。

中津江さん:御船山車は神輿のお供という位置づけですが、基本的に神輿とは別行動です。小回りのきく神輿は細い路地まで入っていきますが、全長が約9メートルある大型山車の御船山車は道幅が広い御成道を行ったり来たりします。
御船山車の一番のみどころは、山車に乗り込んだ歌い手が奉納演唱する御船謡(おふなうた)です。御船謡は毛利元就(もうりもとなり)が広島の宮島を戦場とする厳島の戦いで陶晴賢(すえはるかた)を攻め滅ぼしたときに歌われた凱歌と言い伝えられ、毛利藩の御座船唄として藩主が乗船するときなど特別なときに歌われました。当時、御船謡は一般人が歌うことは禁じられ、藩の役職で世襲の地謡組(じうたいぐみ)の人々が歌い手になり、歌を口伝えしてきました。明治時代以降は、浜崎地区の魚問屋の関係者がその役を担い、現在はその流れをくむ住吉神社お船謡保存会が歌い手を務めます。御船歌が全通しで歌われるのは萩夏まつり本部と住吉神社に宮入りするときの2ヵ所ですが、道中、神輿の御祈祷と同じように希望のあった個人宅や商店など約50ヵ所でも披露されます。

シシゾウ:神輿と御船山車を見るおすすめの場所を教えてください。

中津江さん:3日の午後9時ごろ、萩夏まつり本部で、神輿と御船山車が合流するところが大きな見せ場です。本部前に据えられた神輿に、御船山車はぎりぎりまで舳先を接近させ、御船謡が奉納されます。
令和元年は神輿と御船山車の合流に、祭り初登場のおんな神輿が加わりました。本部前の合流は神輿を男性、御船山車を女性になぞらえて合体という呼び方をしていましたが、おんな神輿が加わったことで呼び方が三位一体(さんみいったい)に変わりました。御船謡の奉納が終わると、神輿は差し上げたり回したり揺すったり、勇ましい神輿ぶりを披露するのでそこもみどころです。

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注目ポイント真夜中、拝殿に突入する神輿と阻止する男たちの激しいもみ合い

シシゾウ:住吉祭のクライマックスといわれる「おあがり」のみどころを教えてください。

中津江さん:住吉神社の神輿は神輿を揺らしたり、回転させたり、差し上げたり、勇ましく暴れ回る荒神輿です。2日の御神幸は屋根に鳳凰の飾りをつけ、穏やかに練り歩きますが、3日は鳳凰の飾りを外して思う存分荒ぶります。荒神輿の本領が最大に発揮されるのは、3日深夜に神輿が宮入りする「おあがり」です。御船山車、おんな神輿が宮入りした深夜12時過ぎ、住吉神社に帰ってきた神輿は拝殿に突入しますが、拝殿前に待ち構えている男たちに押し戻されます。神輿を担いで突進するのが上荷組なら、止めるのも上荷組の面々です。上荷組が二手に分かれて繰り広げられる激しいもみ合いは1時間近く続きます。これでも短くなったほうで昭和の終わりごろまでは朝方までかかることも珍しくありませんでした。
おあがりで神輿を押し戻す側は神輿の宮入りを阻止しているように見えますが、実は神輿が傾くなどしてまっすぐきれいに入らないのでやり直しをさせています。一説には、住吉神社の神輿は船を表し、おあがりは凪の海をすべるように入るのが理想とされています。夜遅い時間ではありますが、おあがりは住吉祭最大のみどころなのでぜひご覧いただきたいと思います。

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ふるさと自慢萩発祥の焼き抜きかまぼこ。夏のアカウニはウニの最高峰

シシゾウ:萩市の食の名産品を教えてください。

中津江さん:日本海で獲れる新鮮な魚介を素材に作られる焼き抜きかまぼこは萩を代表する名産品です。鮮魚では夏が漁期のアカウニがおすすめです。今は漁獲量が減って高級品になったため、地元の私たちも口にする機会がめっきり減りました。炊き立てのご飯に新鮮なアカウニをのせて食べると絶品です。

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メッセージ皆さんで住吉祭を盛り立てていただければ幸いです

中津江さん:住吉祭は住吉神社にとって年に一度の大祭です。夏の一番暑い時期の催行ですが、皆さまのお力添えあっての祭りですので、住吉祭に関心を持ち、一緒に祭りを楽しみ、盛り立ててくだされば嬉しく存じます。神輿の担ぎ手も募集しています。地域外にお住まいでも住吉神社を崇敬してくださる方ならば、どなたでも担ぎ手になっていただけますので、興味のある方はお声がけください。

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※祭り紹介者 紹介者様肩書き 名字 名前(みょうじ なまえ)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

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