祭り紹介

祭り紹介者

厳島神社 宮司 進藤 卓嗣(しんどう たくじ)さん

「白糠の皆さんの神輿に対する思い入れは深く、2日間の渡御を終え、神輿が宮入りすると感極まって涙を流す若者もいるほどです。それほど地域に愛されている祭りであることを宮司として感謝するとともに誇りに思っています。」

(インタビュー日:2019年1月/21日)

歴史江戸時代に安芸の厳島神社の御分霊を勧請。漁業の発展を祈願し、神輿が渡御

シシゾウ:白糠町の厳島神社が創建されたのはいつごろですか?

進藤さん:白糠町の厳島神社は江戸時代の文化2年(1805)に、釧路・白糠沿岸の漁業に関する交易権を掌握していた漁場請負人(ぎょばうけおいにん)の佐野孫右衛門(さのまごえもん)が漁場の安全と大漁を祈願するため、安芸の厳島神社から御分霊を勧請したのが起源と伝えられています。現在地に神社が創建されたのは明治31年(1898)で、平成29年には創祀120年の祭典を行いました。
神輿渡御のハイライトの海中神輿が行われるようになったのは、昭和28年頃といわれています。それ以前も海に神輿を入れていたようですが、昭和26年(1951)から昭和34年(1959)にかけて行われた白糠漁港の大改修工事を契機に、地元の漁業者の皆さんが漁業の発展を祈願し海の中で本格的に練るようになったのが始まりで、それが現在まで伝統として続けられています。

ページ先頭へ

みどころ地を這うように神輿を進める地ずりは力自慢の海の男の本領発揮

シシゾウ:祭り期間は3日間ですね。

進藤さん:初日の金曜日は宵宮祭で、宵宮祭の神事と神輿に御神体を遷す遷霊祭が行われます。宵宮祭の神事は、関係者や参拝者が参列しますが、遷霊式は夜遅くに宮司である私一人で行います。2日目の土曜日は神輿渡御です。例祭の神事を本殿で行った後、神輿は発輿地点になる町内の漁業者の方の家までトラックで移動させ、そこで発輿式(はつよしき)を行います。その後、神輿は夕方まで町内を渡御した後、御旅所に入ります。最終日の日曜は還御祭で、神輿は町内を渡御した後、神社に宮入りします。2日間で神輿が練り歩く距離は延べ30キロに及びます。この日は奉納祭事として神輿大パレードも行われます。厳島神社の神輿と子ども神輿のほか、同じ町内や近隣から三基の神輿も参加し、メインストリートの南大通商店街をにぎやかに練ります。神輿以外にも地元の女性の手踊りグループや囃子を演奏する太鼓グループなども出演し、白糠町に伝わる伝統芸能の白糠駒踊りも奉納されます。

シシゾウ:白糠町の神輿の担ぎ方は個性的だそうですね。

進藤さん:普通、神輿の担ぎ棒は肩に担ぎますが、白糠の神輿は腰の位置に「たがく」のが特徴です。「たがく」は地元の方言で「抱える」「持ち上げる」という意味です。さらに特徴的なのは、神輿を地面すれすれの高さに提げて進む「地ずり」です。担ぎ手である白丁たちの腕力を披露するもので、巡行の途中に何度も行われます。私の知る限り、このような担ぎ方をするのは白糠だけです。どのような経緯でこのような担ぎ方が生まれたのかは分かりませんが、白丁の半数以上が力自慢の漁業者の皆さんであることが少なからず関係しているかもしれません。

ページ先頭へ

注目ポイント荒波と格闘する白丁たち。金色の神輿が海中に踊る

シシゾウ:おすすめのみどころを教えてください。

進藤さん:大勢の皆さんが楽しみにしてくださっているのは日曜の神輿大パレードの後、白糠漁港前浜で行われる海中神輿です。浜で神事を行った後、白丁たちは「ワッショイワッショイ」と威勢よく掛け声をかけあいながら海に突き進み、太平洋の荒波にもまれながら胸から首近くまで海水に浸かって神輿を練ります。休憩をはさみながら海中の練りは数回繰り返されます。余談になりますが、白糠の神輿は海水に浸けるので傷みが早く、現在の神輿は創祀120周年の時に約1100万円をかけて新調したものです。金色に輝く真新しい神輿を惜しげもなく海に入れるのを見た町外の方はもったいないと驚かれますが、氏子の皆さんは、海に入れてこそ白糠の神輿という誇りがあります。
私が個人的に一番の見どころだと思っているのは海中神輿に引き続いて行われる宮入りです。海から上がると、神輿は浜からさほど離れていない厳島神社へ向かいます。海水で全身びしょ濡れの白丁たちは約70段の石段をものともせず、神輿を一息に担ぎ上げ、境内に着くと、残っている力を振り絞り、最後の地ずりを披露します。その姿はとても感動的です。

シシゾウ:そのほかにも注目ポイントがあれば教えてください。

進藤さん:「猿」と呼ばれる神輿の露払い役に注目です。「猿」は白装束の白丁とは対照的な赤装束で、神輿の指揮もとります。地ずりを行うときも「猿」が指示を出します。若者たちにとって「猿」は憧れの存在で、「いつかは『猿』に」という思いを抱きながら神輿を担いでいます。

ページ先頭へ

ふるさと自慢脂がのって美味な白糠ししゃも

シシゾウ:白糠町の食の名産品を教えてください。

進藤さん:白糠町は第一次産業の町です。漁業は基幹産業のひとつで、浜の幸が豊かです。中でも白糠沖で獲れるししゃもは白糠を代表する産品です。ししゃもの産地といえば同じ道内のむかわ町が全国的に有名ですが、白糠のししゃもも負けないくらいの名品です。

ページ先頭へ

メッセージ白糠の皆さんの神輿愛あふれる祭り。担ぐ姿をぜひご覧いただきたいです

進藤さん:他所の祭りでは神輿の担ぎ手を集めるのが大変という話をよく耳にしますが、ありがたいことに白糠の皆さんは神輿が大好きで、担ぎ手探しに困る心配は一切ありません。白糠の神輿は力がいるので担ぐのは若い世代が中心になりますが、白丁を卒業しても神輿好きな人は神輿の巡行に同道します。若者も祭りをとても楽しみにしてくれていて、春ごろから「早くお祭りが来ればいいね」と言い合っています。白丁の中には、髪型などやんちゃな外見をした若者もいますが皆、心根はとても優しく純朴です。そんな若者たちが熱く神輿を担ぐ姿を直に見ていただきたいです。地ずりも実際にその場で見るとものすごい迫力です。必ずや感動されることと思います。

ページ先頭へ

※祭り紹介者 厳島神社 宮司 進藤 卓嗣(しんどう たくじ)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

祭り写真館

  • thumb01
  • thumb02
  • thumb03
  • thumb04
  • thumb05
  • thumb06

詳細はこちらから

TV番組情報

ダイドードリンコ日本の祭り

たがく魂!荒波を越え
~白糠 厳島神社例大祭~

8/24(土)15:00~15:55
HBC北海道放送にて放送!

約200年前に安芸の厳島神社から分霊した北海道白糠町の厳島神社。例大祭では海の安全と五穀豊穣を願い、町内30キロを巡行。ここでは神輿は肩に担ぐのではなく、腰の高さに抱えて(たがいて)進みます。見せ所では地面を這うように神輿を下げて、前進を繰り返す「地ずり」という独特な動きを披露します。地元の子どもたちは高校生になり、この祭りに参加することで、初めて一人前の大人として認められます。山場は首まで海水に浸かりながら太平洋の荒波で清める勇壮な海中神輿渡御です。そこには海の恵みに感謝するマチのすべての人々の気持ちが込められています。最後は境内に続く急こう配の階段を一気に駆け上がる精魂みなぎる祭りです。

番組の放送局サイトへ

制作担当者からの
メッセージ

ディレクター 米谷 恒

サケにカニ、タコにシシャモ!海の幸の宝庫、白糠町。北海道の東側・太平洋に面した港町です。『白糠・厳島神社例大祭』は、海に生きる人々が主役です。神輿を高く持ち上げたり、低く地を這うように進んだりと、まるで波のうねりのように神輿をさばき、クライマックスは海の中へと突き進みます。そんな祭人たちを取材するなか、6月に春のサケ漁の撮影で地元の漁船に乗り込みました。目指すは2キロ沖の漁場です。撮影スタッフが船の上で右往左往していると、漁師のみなさんから指導を受けることもしばしば。厳しい言葉の裏に、船に乗り込んだ全員の安全を守ろうとしてくれている、優しさと温かさを感じました。漁師たちが春のサケ漁で狙うのは「トキシラズ」。脂がのったサケの高級魚です。初出漁の取材では、あわせて4つの網を起こしましたが、3つの網にはお目当ての魚はかからず、ピリピリとした緊張感が漂いました。そして最後の網。「トキだ!トキ!」若い漁師の声が響きました。そこにはピカピカ輝く魚の姿が!水揚げして、すぐさま親方が魚をしめて鮮度を保ちます。「待ちに待ったトキシラズだ!」撮影スタッフのテンションも一気に高まります。ところが、ここで問題が…。漁師たちがあまりにも手早く魚を水揚げしていくため、簡単には魚の姿をカメラで捉えられないのです。それでも漁師たちの心づかいもあって、初水揚げの取材に成功しました。「トキシラズ」の鮮度を超えるような、「活きの良い白糠の祭り」をお伝えできる番組を目指しています。

関連する祭り

関連ワード神輿の海・水中渡御のある祭り

ダイドードリンコ日本の祭りが応援してきたアーカイブから関連する祭りをご紹介します。