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注目の祭り

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鹿島神宮 祭頭祭

鹿島神宮 祭頭祭

祭り写真館 今年の様子をご覧いただけます。

4/24公開!

祭りの前日3月8日、東京駅八重洲口をでた高速バスは小雨にかすむ霞ヶ浦の水郷地帯を走ります。そこはどこまでも平たい関東平野。2時間弱で鹿嶋市に到着し、早速祭りカメラマンの芳賀日向さんご夫妻を交えた内々の夕食会。祭り談議に花がさきます。
鹿島神宮は神武天皇の御代(紀元前660年)に創建されたと伝えられる古社。元来鹿島大神は高天原から降臨した「香島天之大神」で、その後藤原氏の権威の確立とともに武将のタケミカズチノカミに代位したといわれます。古代この地は日本の東の涯と認識され、鹿島の神は蝦夷に対峙するに自在に船を操り、航海を守る神としても崇められていました。
この由緒ある神宮の春最大の神事が「祭頭祭」です。この祭りの氏子地区には52の集落があり、それが鹿島神宮を起点に南郷と北郷に分れ、前の年の祭りの終りに神占(かみうら)によって当番になる村が2つ決まります。そして、それぞれの村から5歳前後の児童が選ばれて「大総督」として祭りの頂点に立つのです。平成30年の祭頭は鹿島神宮造営に関わった一族とされる北郷の小宮作郷だけの参画となり、「大総督」は原心之介くん(5)、棒打ちはその郷の14組と下津郷からの助祭頭2組。祭事委員長は大川秀雄氏。総勢およそ300名。小宮作郷のスローガンは「歴史と伝統 誇りと覚悟 継承と絆」。「覚悟」!それこそがこの祭りを伝承してきたプライドを示しているのだと思います。

この祭りが起源は天武朝や平安時代にさかのぼるなどの説もありますが、文献での初見は建仁4年(1204)とされます。願意は五穀豊穣・天下泰平ですが、昭和になって武運長久を祈って旅立つ防人(さきもり)の「鹿島立ち」の故事をあらわす意味も加わったようです。
そして祭りの日、3月9日はかなりの雨。東日本大震災で倒壊し、平成26年に再建された大鳥居が祭り人を待ちうけています。午前10時、狩衣姿の「大総督」、心之介くんが馬方(うまかた)と呼ばれる若衆に担がれて鹿島神宮の境内に入場。まだあどけない、無垢の表情の彼の瞳には“これから何が起きるのだろう”という不安がみてとれます。「大総督」は「新発意(しぼち)」とも呼ばれ、それは仏道の修行に入る若い男子のこと。この祭りに神仏習合の面影の残るひとつの部分です。神事が終わり、しばしの休憩時間、わたしたちは雨の境内を散策。鬱蒼とした森がどこまでも広がります。奥宮を過ぎて右に曲がれば、神宮の隠れたへそ、「要石(かなめいし)」があります。地面からちょっと頭を出しているその石は地震をひき起こすナマズを押さえつけているといわれる霊石で、いくら掘っても全容が解らないというほど巨大なもの。大人が入っても子供が入っても水面の高さが胸を超えないという「御手洗池」など、古い神宮にはいくつものミステリーがありました。
午後1時、雨のなか小宮作郷が左方本陣から出陣。「大総督」心之介くんは甲冑に身を固め、“出陣!”の号令を発します。すでにその姿は凛々しく、表情は理知的で威厳に満ちたもの。こういう役割ができる子供は幸せです。将来彼はこのことを思いだして親のありがたさを感じるはず。故郷の文化を感じるはずです。そして彼はきっと自分の子供にもそのような経験をさせてあげるでしょう。

一行は「大総督」を先頭に、先ず累代の社家である「鹿島大宮司家」の隣にある伊勢神社に拝礼。それはかつての大宮司・鹿島則文氏(67代)が46歳のときから15年間伊勢神宮の大宮司を務めていた縁からなのか。彼らは太鼓やほら貝の音にあわせて“イヤ~ホエ カシマノトヨタケ トホヨトホイヤ~(弥発生 鹿島ノ豊竹 豊穂良豊穂弥~)”の祭頭歌を囃しつつ、1.8mの樫の棒をカッシカッシと打ちあいながら仲町通りから大町通りをゆっくり、ゆっくり進みます。彼らの衣装は一部現代的な飾りつけがあるものの、こぼれるような笑顔は往時のままなのか、もっと厳しかったのか。鮮やかな衣装が揺れ、高らかな声が街に響きます。

夕方4時半、16組すべてが鹿島神宮の境内に帰還し、一斉に棒を打ちます。祭りのフィナーレ、「一斉囃」です。そして拝殿の前に立てかけられていた「大豊竹」をササラのようになるまで叩き割ります。それはこの祭りが防人の「鹿島立ち」を表しているものとするならば、北九州に向かう彼らの無事を祈る強い思いなのか。ササラの竹を擦りあわせる音が稲穂の擦れる音に似ているゆえの豊作予祝なのか。
神籤で来年の祭頭が決まりました。鹿島地方に本格的な春はもうすぐです。

※神武天皇の御代は紀元前660年:1870年代初期に歴史学者の那珂通世が唱えた説

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