徳島県徳島市で、お盆の8月12日から4日間開催される「阿波おどり」は、“踊る阿呆に見る阿呆”のフレーズで知られる日本で最も有名な盆踊りのひとつです。徳島市観光協会の川村義貴(かわむらよしたか)さんに「阿波おどり」の見どころをお聞きしました。
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シシゾウ:「阿波おどり」はいつ頃から踊り始められたのですか?
川村:「阿波おどり」の起源は「盆踊り起源説」「風流踊り起源説」「築城起源説」の3つの説が有力とされています。いずれにしても400年を超える歴史があり、藍で栄えた藍商人が踊りを豪華にし、盆踊りとして定着していったとされています。旧阿波国の徳島県内の各地域で踊られていますが、その中で、最も規模が大きく最も有名なのが徳島市の「阿波おどり」です。「阿波おどり」は、「連(れん)」と呼ばれる集団が隊列を組んで踊るのが特徴です。徳島市の「阿波おどり」も市外の「阿波おどり」も、それぞれ地元の連が中心になって活躍しています。
シシゾウ:徳島の人なら誰でも「阿波おどり」が踊れるのですか?
川村:大抵の人は踊れると思います。結婚式などの祝い事があれば、すぐに「阿波おどり」が登場するといった具合で、徳島で暮らしていると踊りに関わる場面に頻繁に遭遇します。徳島県内の小学校では、運動会で「阿波おどり」を踊らせるところも多いので、小さい頃から「阿波おどり」は身近な存在ですね。
シシゾウ:祭りに参加する「連」は、どのくらいの数があるのですか?
川村:「阿波おどり」に参加する連は、すべてを合わせると数百にはなると思います。500人近くメンバーがいるような大所帯のところから30人程度の少人数のところまで規模は様々です。
連として認められるには条件が細かくあります。揃いの衣装を着用することと太鼓や鉦などの鳴り物を自前で準備することが最低条件になります。徳島市で昔からの伝統を継承している、いわゆる踊りのエキスパートのグループは有名連と呼ばれ、約70連ほどあります。有名連になると、追っかけ隊のような熱烈なファンがいて、「この連は今日どこで踊るんですか」という問い合わせがたくさんあります。
地元の有名連とは別に、企業連というのもあります。祭りのために企業が結成した連で、タレントさんが連の先頭で踊っていくスタイルが一般的です。地元の連や企業連以外にもいろいろな団体によって連が結成されています。徳島県外の連もあります。
シシゾウ:連の踊りを見るとき、どういうところに注目して見るといいですか?
川村:「阿波おどり」には、腰を落として豪快に踊る「男踊り」と、優雅に踊る「女踊り」がありますが、特別に決った型はありません。それぞれの連ごとに個性があります。連ごとの個性の違いがよく分かるのは男踊りです。奴凧を模した激しい動きが特徴の「奴踊り」を筆頭にいろいろな踊り方があります。男は男踊り、女性は女踊りをするのが基本ですが、最近は、女性でも法被を着て、男踊りをする人が増えています。お囃子のスタイルも様々です。ぞめき囃子と呼ばれる「阿波おどり」のお囃子は、通常は笛、三味線、太鼓、鉦によって鳴らされますが、太鼓と鉦だけを使って、迫力のあるリズムでにぎやかに踊りこんでくる連が近頃、若い人に人気です。
構成にも工夫が凝らされていて、演舞場をまっすぐ踊って流れるだけでなく、演舞場の中央付近にさしかかると、奴踊りや男踊りと女踊りがからんだりといったパフォーマンスをするのでそこも注目です。
踊りだけでなく、扮装に凝ったり、メンバーにちびっ子をたくさん使っている連などもあってバラエティに富んでいます。
シシゾウ:連に入らなくても、踊る機会はありますか?
川村:県外等から来られて自分も「阿波おどり」を踊りたいという方のために、「阿波おどり」の期間中、「にわか連」というコーナーが2ヵ所設けられています。例年のスケジュールだと、18時30分と20時30分の2回、所定の場所にお集まりいただくと、有名連のメンバーから踊りの講習が受けられます。踊りそのものは、リズムに合わせて、手を上げ、同じ側の手と足を出すという基本を抑えれば形になるので、どなたでもすぐに覚えられます。30分程度の講習が終わると、そのまま無料演舞場への踊りこみも体験していただけます。
毎年、にわか連には毎回1,000人を優に越す方が参加されます。それを楽しみに祭りに来られる方も大勢おられます。年齢層は、若い方からご年配の方まで幅広いです。服装など特別な準備はいりません。中には浴衣を着て来られる本格的な方もおられますが、普段着で構いません。やはり、「阿波おどり」は「踊らなソンソン」ですから、見るだけでなく、ぜひ踊っていただきたいと思います。
シシゾウ:踊りを見るのにお勧めの場所はどこですか?
川村:「阿波おどり」は、午後6時から午後10時30分まで、徳島市の中心部一帯で繰り広げられます。公式に設けられた観客席のある踊り場が演舞場で、有料演舞場と無料演舞場があります。ゆったり踊りをご覧になりたいときは、席がきちんと確保できる有料演舞場がお勧めです。有料演舞場は、市役所前演舞場、藍場浜演舞場、紺屋町演舞場、南内町演舞場の4カ所があります。有料演舞場には、有名連が毎日30連以上出演し、企業連を間に挟みながら次から次へ踊りこんできます。
無料演舞場は、両国本町演舞場、元町演舞場、新町橋演舞場があります。そのほか、おどり広場が何カ所かあり、自由におどりの輪に入ることができます。有料席に比べると席の数は少ないですが、そこでも有名連のパフォーマンスを見ることができます。
シシゾウ:お勧めの見物法はありますか?
川村:有料演舞場は、前半2時間、後半2時間の2部入れ替え制になっています。せっかく来たのだからできるだけ多くの踊りを見たいという方は、有料演舞場の席を前半、後半のどちらかひとつ確保しておいて、それ以外の時間は、まちなかを巡っていただくといいと思います。有料演舞場から路地に踊り出る連もあったりして、踊り広場をはじめ、まちのあちこちで、間近に踊りが見られます。祭りのエリアは歩いて回れる範囲なので、観光案内所などで配布している観光協会発行の「阿波おどり見物ガイド」の地図などを参考に散策していただければ、祭りの雰囲気を存分に味わっていただけると思います。
川村:祭り本番は夕方からですが、昼も踊りが見られます。「選抜阿波おどり大会」といって、有名連による踊りのショーが、祭り期間中の昼、徳島市文化センターなど市内2ヵ所の施設で開催されます。いつでも踊りの実演を行っている「阿波おどり会館」も祭り期間中、有名連が特別公演という形で踊りを披露します。また、体験コーナーとして、有名連の人から「阿波おどり」の指導が受けられ、まちの祭りに参加できる機会も設けています。昼に行われる「阿波おどり」は、室内なので冷房の効いた中、快適にご覧になれます。

川村:昨年、一番の話題といえば、徳島市が舞台になった映画で、阿波おどりが重要なシーンに使われた『眉山』が公開されたことでした。映画に登場したのは、南内町演舞場で22時から16連の有名連が一気に演舞場に踊りこんでくる「総おどり」のシーンで、撮影は本番の祭りをそのまま再現して撮られました。観光協会には「映画に出てきた演舞場はどこですか」という問い合わせがたくさんありましたし、映画が撮影された場所を見ようという方が大勢来られましたね。
シシゾウ:サイトを見ている方に「阿波おどり」のPRをお願いします。
川村:「阿波おどり」は、有料演舞場のチケットを買わないと見られないと思っている方がたくさんいらっしゃるようです。もちろん、有料演舞場で席を確保して見ていただくのも、ひとつの手段なのですが、チケットを購入しなくても、まち全体が祭り一色になっていて、無料演舞場でも有名連の踊りを楽しむことができるので、ぜひ徳島に遊びに来ていただきたいと思います。「阿波おどり」は荷物にならないお土産になりますので、ぜひ覚えて踊っていただいて、お持ち帰りいただきたいです。
いらっしゃるのでしたら、祭りは夕方から夜にかけてですので、お泊りいただくと、ゆっくり楽しんでいただけると思います。そして、食事をとられるときには、その名も「阿波尾鶏(あわおどり)」という徳島が誇るブランド地鶏も味わってみられてはいかがでしょうか。市内には阿波尾鶏の料理を出す店も増えてきているので、「阿波おどり」と阿波尾鶏の2つの名物を一緒に楽しんでいただくというのもいいかと思います。



