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柳沢の焼け八幡

柳沢の焼け八幡

祭り紹介

歴史起源は不明。神社境内に小屋を建てて燃やす
小正月行事

シシゾウ:柳沢の焼け八幡は、いつごろ始まりましたか?

猪股さん:柳沢の焼け八幡は柳沢集落に伝わる小正月の行事で、起源は不明です。祭場になる八幡神社は、神社に伝わる由緒によると中世、奥州を支配した大崎氏の家臣、笠原氏が柳沢に築城するときに鎌倉八幡を祀ったもので約600年の歴史があります。焼け八幡という名称は、神社境内に御小屋(おこや)と呼ばれる竹と藁の小屋を建てて燃やすことに由来しています。
かつては14日と15日に開催していましたが、成人の日の祝日が15日の固定でなくなったため、皆が参加しやすいように十数年前から1月の第2土日に行われます。焼け八幡が終わると正月が終わったなという感覚です。

シシゾウ:焼け八幡を執り行う柳沢若者講とはどのような団体ですか?

猪股さん:焼け八幡など柳沢集落の催しを取り仕切る組織で、集落の約40世帯全員が構成員です。焼け八幡には各世帯から必ず1名がなんらかの形で参加するのが習わしです。

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みどころ集落総出で御小屋作り。長さ5メートルの藁灯籠を燃やし、作柄を占う

シシゾウ:1日目の行事について教えてください。

猪股さん:1日目は御小屋掛けといって2日目に燃やす御小屋を八幡神社の境内に建てます。午後1時、参加者はそれぞれ材料の藁を抱えて境内に集合します。御小屋は文字通り、小さな小屋で竹と藁を組み合わせて作られます。御小屋と並行して、大きな藁灯籠も作られます。藁灯籠は藁束を重ね継いで長さ約5メートルの灯籠に仕立てるもので、藁束は1年の月数の12本用います。ただし、閏年だけは13本になります。完成した藁灯籠は御小屋の横の鉄柱に吊り下げられ、夕方、点火されます。若者講の責任者である若者長はその燃え具合を見て、月ごとの作柄を占います。藁の燃え残りが少ないほど作物の出来は良くなるとされています。この日は、翌日の前哨戦としてホマチ小屋と呼ばれる子ども版の御小屋も燃やされます。集落の子どもたちは、大人に手助けされながら小さな御小屋を建てて燃やし、行事を疑似体験します。

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注目ポイント約2時間、酒を酌み交わし、若者は神になる

シシゾウ:2日目の行事について教えてください。

猪股さん:早朝、神様役を務める地区の青年たちが集落の家々を回ってお神酒を振る舞い、終了後、御小屋が燃やされます。
午前2時、家回りに参加する青年たちはアンサンブルの着物を着て、集落の集会所に集まります。例年、参加者は15名前後で、車座になって正座をします。始まるのは酒盛りです。これは親睦や自分たちの楽しみのためではなく神様になるための儀式として行われるものです。参加者は各自、盃を手にし、燗酒を注がれると「ヨイサ」という掛け声とともに一息に飲み干します。神事なのでお酒が弱い人も酒量を加減してもらって座に加わります。車座の中央には参加者の中から選ばれたお相伴(しょうばん)と呼ばれる2名が上座と下座に座り、参加者に盃を勧めながら率先して酒を飲みます。お精進なのでつまみはたくあんと白菜の漬物のみ。途中、お相伴の役を交代し、皆でひたすら酒を酌み交わします。この間に飲まれるお酒は1人あたり1升近くなります。
午前4時になると、神様役になる青年は下帯をつけただけの裸体になり、足先に覆いのついたつまご草鞋(わらじ)を履きます。家回りに出発する直前、座直りといって全員でお酒をあおります。
各家で振る舞うお神酒は2つの木の手桶に入れられます。2人1組で持つ手桶を中心とする一行は、「ヨイサ」の掛け声をかけあいながら夜道を駆け抜けます。お酒が入っていても1月の早朝の戸外は凍えるように寒いです。一行はまず八幡神社にお参りし、そこから地区の全世帯を順々に訪ねます。最近の子どもたちは寝ていますが、私が子どものころは頑張って早起きして仲間たちと神様一行について回るのが楽しみでした。
迎える側の各家では神様の訪問を今か今かと待っています。神様一行はつまご草鞋を履いたまま、ドカドカ家に上がりこむので汚れてもいいように通り道にはブルーシートなど敷物が敷かれます。

シシゾウ:神様役が訪問先の家の人の顔に墨を塗る風習もあるそうですね。

猪股さん:墨を塗るのは新婚さんのいる家に行ったときです。初嫁と呼ばれるお嫁さんの厄をはらうと同時に、集落の一員になったことを祝う意味があり、お嫁さんだけでなく、家族も全員、墨を塗られます。昔はかまどの墨を使いましたが、今は庭先で藁を燃やして墨を作ります。墨を塗る人も塗られる人も笑いの絶えないのがこの行事のいいところです。私の妻は他所の地区出身で、初めて焼け八幡を迎える前は「どういうふうにされるんだろう」「どんな人が来るんだろう」と不安がっていましたが、墨塗りを受けている最中、ニコニコ笑っていました。
すべての家を回り終えると神様一行は八幡神社に戻って神前に報告をします。そのころ、集落の人たちは正月飾りを持って境内に集まってきます。正月飾りは御小屋と一緒に燃やされます。御小屋に火をつける係が点火すると、竹と藁でできた小屋は一気に燃え上がります。火勢が強く、近づけないほどの熱さになるので遠巻きに皆が見守る中、御小屋は炎を上げて燃え、10分ほどで燃え尽きます。このときの燃え方でもその年の農作物の出来が占われます。煙がたなびいた方角が豊作になるとされ、無風で煙がまっすぐ上がると柳沢集落が豊作になるといわれています。

シシゾウ:猪股さんの焼け八幡にまつわる思い出を教えてください。

猪股さん:今は住民数が減ったので未婚既婚を問いませんが、本来、この神事で神様になるのは既婚者です。結婚して初めて家回りに参加する人は初婿(はつむこ)と呼ばれ、酒宴の車座では上座に座らされ、誰よりも多く酒を勧められます。そのため、ほとんどの人は酒宴が終わるころには酔って寝込んでしまい、その後の家回りに参加しません。私が初婿として初めて参加した時も皆から勧められてかなりの量の酒を飲みました。でも私はお酒が好きなので酔いはしたものの家回りにしっかり参加し、自分のお嫁さんの顔に墨を塗りました。これはちょっとした自慢です(笑)。

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ふるさと自慢味に定評の「ひとめぼれ」。餅グルメも多彩

シシゾウ:加美町の食の名産品を教えてください。

猪股さん:加美町は米どころで、主力品種はひとめぼれです。餅食も盛んで祭りや祝い事には餅が欠かせません。すりつぶした枝豆を餡にするずんだ餅は郷土の夏の味覚です。

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メッセージ地域の皆で力を合わせて伝統を守っていきます

猪股さん:焼け八幡は集落の大切な行事なので伝統を守っていこうということで皆の思いは一致しています。継承に関して唯一の懸念材料はつまご草鞋です。この祭りに欠かせないものですが現在、つまご草鞋を作れる人が集落に1人しかいません。そのため、つまご草鞋を作る技術を継承していくための方策を皆で話し合っています。

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※祭り紹介者 柳沢若者講 若者長 猪股 繁(いのまた しげる)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

TV番組情報

放送局

ダイドーグループ日本の祭り

酒を食み神になった男たち
~闇夜を駆ける柳沢の焼け八幡~

2/1(土)14:00~14:55
KHB東日本放送にて放送!

宮城県加美町柳沢地区のおよそ40戸の集落で行われる正月の神を迎えると共に火難除け、五穀豊穣、家内安全を折願する正月行事です。初日、八幡神社の境内に藁と竹で御小屋を建て、藁燈籠を作成し藁燈籠に火を点け月ごとの作柄を占います。翌日、午前2時に集まり酒を酌み交わした後、さらし姿で酒の入った手桶を持ち全戸を回ります。酒をふるまい新婚の嫁や女性の顔にかまど墨を塗りつけて神の加護を願います。朝6時頃、八幡神社に戻り御小屋を燃やしてその年の作柄を占います。高齢化が進み全戸から一人が参加するのが習わしですがお年寄りの方など深夜に集まれない家も出てきています。取り仕切るのが若者講でまとめ役は若者長の猪股繁さん。厳寒の中執り行われる一部始終を猪股繁さんの苦労も交えながら伝えます。

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制作担当者からのメッセージ

小正月に大火を焚く行事と来訪神行事が複合したものです。加えて、前年に結婚した人を祝う盃事や水を浴びせて花嫁を祝福する水祝儀と呼ばれる要素も含まれています。宮城県加美町の他の地区にも似たような水祝儀が伝わりますがこの地区のものは独特の形態のように思われます。こうした貴重な祭りが脈々と受け継がれている様を見て頂ければと思います。

制作部 引地 慶記

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TV番組情報

ダイドーグループ日本の祭り酒を食み神になった男たち
~闇夜を駆ける柳沢の焼け八幡~

2/1(土)14:00~14:55
KHB東日本放送にて放送!

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