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田作祭 火振り神事

祭り紹介

祭り写真館

4/21
公開

歴史中世に始まった田作祭のメイン行事

シシゾウ:火振り神事は、いつごろ始まりましたか?

中島さん:中世の鎌倉時代から室町時代にかけてといわれています。火振り神事は五穀豊穣を祈願する阿蘇神社の田作祭で行われる神事のひとつです。阿蘇神社では、春の田作祭をはじめ、農耕にまつわる祭りが一年を通して催行され、これら一連の祭礼は「阿蘇の農耕祭事」として、昭和57年(1982)に国の重要無形民俗文化財に指定されています。
田作祭は、3月の最初の卯の日から1週間行われます。この日は、阿蘇を開拓したとされる阿蘇神社の主祭神、健磐龍命(たけいわたつのみこと)が阿蘇に下向された日とされており、例年3月20日前後です。火振り神事はこの卯の日から数えて4日目にあたる申(さる)の日に行われます。
火振り神事は、健磐龍命の舅にあたる「年祢神(としねのかみ)/国龍神(くにたつのかみ)」が姫神をめとる婚礼の儀式で「御前(ごぜ)迎え」とも呼ばれます。嫁入りする姫神様を氏子たちが松明をともしてお出迎えをしたのが元々の形で、現在のように荒縄で縛ったカヤの束に点火し、振り回すようになったのは江戸時代からといわれています。氏子たちは、神様の御婚礼を祝福するとともにその年の五穀豊穣を祈願して、一生懸命火を振り回します。この祭りを境に阿蘇では本格的に農作業が始まります。

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みどころ夕闇の中、姫神様が神社に到着。幾重もの炎の輪が出迎える

シシゾウ:祭りの流れを教えてください。

中島さん:祭り当日の早朝、神職2人と氏子青年2人、道案内を兼ねた警護の人間が阿蘇神社をたち、西に約12キロ離れた赤水(あかみず)地区宮山(みややま)に鎮座する吉松宮(よしまつぐう)に向かいます。神社境内で氏子青年は樫の木の枝を伐ります。この枝を束ねたものが姫神様の御神体に見立てられ、姫御前(ひめごぜ)と呼ばれます。姫御前を奉じた一行は田園地帯を通って阿蘇神社に向かい、道々、氏子地区のあちらこちらに立ち寄って神事を行い、直会(なおらい)という簡単な飲食でもてなされます。姫御前一行が行く先々では地区の女性たちが待ち構えていて、御神体の樫の枝から葉っぱを譲り受けます。もらった葉を自宅の神棚におそなえすると良縁や安産、無病息災のお守りになると言い伝えられています。道中の終盤、姫御前は阿蘇神社の手前にある塩井神社で清めの儀式を受け、化粧原(けしょうばる)という集落の小代(しょうだい)家という旧家で化粧直しをします。こうしてお嫁入りの支度が整った姫御前一行は小代家の案内で阿蘇神社に入っていきます。時刻は夕方の6時半を回り、辺りに夕闇が迫る中、合図の爆竹が上がると待ち構えていた氏子たちが点火したカヤの束を振り回し始めます。参道の両側に整然と並ぶ氏子たちが作る炎の輪の列の真ん中を通り抜け、一行は神社の拝殿に向かいます。このときの光景はとても荘厳で神秘的です。拝殿で10分ほどの神婚の儀が終わると、ご婚儀の行列は拝殿を後にし、入ってきたときとは反対の北側の鳥居を抜けて旅立たれます。その間も参道の両側では氏子たちがお祝いの火振りを続けます。行列を無事お見送りすると、観客の皆さんがお待ちかねの火振りの一般開放が始まります。

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注目ポイント一般の人も参加して火振り体験。外国人観光客に大人気

シシゾウ:火振りは誰でも参加できるのですか?

中島さん:一般開放の時間帯にはどなたでも火振りを体験していただけます。ひと昔前は、神事としての火振りと観光行事としての火振りを同時に行っていましたが、数年前からは安全面などの配慮から一般開放の時間を設け、神事とはっきり分けました。そのことによって神事の荘重さと火振りの楽しさをより一層満喫していただけるようになったと思います。
火振りの一般開放で使用するカヤの束は1500~1600束程で、境内の数ヵ所に分けて積んでいます。そこにではカヤの束を渡す係の氏子がいて、点火のお手伝いから振る場所の誘導までお世話します。係の指示に従って楽しく火振りをしていただければと思います。カヤの束は直径20センチほどで中央を約2メートルの荒縄で縛ってあります。カヤ束作りは氏子が行いますが高齢化により人手が不足しているため、数年前から伝統文化の継承の意味も込めて、地元の中学3年生に手伝ってもらっています。火振り本番にはその中学生たちも神社に来て、火振りをします。

シシゾウ:火振りのコツはありますか?

中島さん:特にはありませんが、怪我などがないように振り回す向きは時計周りで統一しています。カヤの束は4~5分程度で燃え尽きます。回数に制限はありませんので、用意したカヤ束がなくなるまで何度でも体験していただけます。火振りを行う場合は燃えやすい化繊の服は厳禁で、頭には帽子、首にはタオルを巻くのがおすすめです。最近は外国人観光客の参加が増え、滅多にできない体験ということでとても感動されます。

シシゾウ:中島さんご自身の火振り神事の思い出をお聞かせください。

中島さん:現在、火振りは境内参道と門前町商店街の一部のみで行われますが、私が子どもだった40年ほど前までは、火振りは氏子地区の至るところで行われていました。子どもたちは、火振り神事の前になるとリヤカーを引いて山に入り、カヤを刈って家に持ち帰り、カヤ束を自分で作って祭りの日を待ちました。当日の夜、火振りが始まると、子どもたちは自分たちの家の前などの道路で自作したカヤ束を思う存分振り回しました。中には、おもしろがって直径が50センチもあるような太い束を作って振り回している子どももいました。そんなふうにあちらこちらで火振りをしていても不思議なことに祭りの長い歴史の中で火事になったことは一度もありません。

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ふるさと自慢味自慢の米、トマト。厳しい寒さが育む伝統の阿蘇たかな漬

シシゾウ:阿蘇市の名産品を教えてください。

中島さん:阿蘇市は火山の恵みにより市内のあちらこちらに湧水が出て、温泉が湧きます。水が良く、標高が高い環境で育てられる農作物はおいしいと評判です。特に米やトマト、いちご、アスパラは市場の評価が高く、阿蘇の草原で育てられた赤牛と共に全国に出荷されています。
阿蘇たかな漬も名物です。高冷地の阿蘇の冬は寒さが厳しく、平地のような作物は作れません。阿蘇高菜は阿蘇特有の気候風土で育ち、茎が細くてシャキシャキとした歯ごたえのあるところが漬物にぴったりです。稲刈り後の田んぼに植えられる阿蘇高菜は、厳しい寒さに耐え、春を迎えると一気に成長します。火振り神事の時期には40~50センチに育ち、高菜折りといって1本1本手折りで収穫されます。浅漬けの新漬けとじっくり漬け込んだ古漬けがあり、古漬けはチャーハンの具や炒めものにしてもおいしいです。

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メッセージ皆さんを元気づけるために頑張って催行します

中島さん:平成28年4月の熊本地震で、阿蘇神社は拝殿や楼門が倒壊するなど甚大な被害を受けましたが、年間行事の祭礼は一度も中止をすることなく催行されてきました。火振り神事もできるかぎり例年通りに行う予定です。皆さんを元気づけられる祭りだと思うので、新しい年を迎えてこれから一年間頑張ろうという気持ちを込めて頑張って催行したいと思います。非常に珍しい祭りですので熊本・阿蘇にぜひ見にお越しください。そして火振りにも参加していただきたいと思います。

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※祭り紹介者 火振り神事実行委員会 委員長 中島 元比古(なかしま よしひこ)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

TV番組情報

局名局名局名局名局名局名局名局名

ダイドードリンコスペシャル

あしたへ
〜阿蘇神社・火振り神事 再生の炎〜

4/30(日)13:00〜13:54
RKK 熊本放送にて放送!

去年の熊本地震で大きな被害を受けた阿蘇神社では、3月「田作祭・火振り神事」が行われる。約2300年の歴史を誇る阿蘇神社の中でも格式の高い神事で阿蘇に春を告げる祭りとされる。地震では日本三大楼門の一つとしてその美しい威容を誇った楼門が倒壊した。楼門を心のよりどころとしてきた住民のショックははかりしれない。その後も阿蘇中岳で36年ぶりに爆発的噴火が発生するなど、いくつもの苦難が降りかかってくる。しかし、人々は、今まで通りの営みを守り、今年の田作祭の準備を進めている。番組では、阿蘇復興への決意を固め奔走する氏子会会長の小代勝久さん(81)への取材を通して、地域に根を張り、自然とともに生きる人々の強さ、たくましさを描いていく。

番組の放送局サイトへ

制作担当者からのメッセージ

神社の近くで生まれ育ち氏子として代々この地を守り継いできた小代さんにとって、阿蘇神社の営みは人生そのものです。小代さんは阿蘇神社の神様は阿蘇の大地であり自然そのものだと教えてくれました。常に自然への感謝を忘れず、いつも明るく振舞い、自然とともに生きていることを誇りにしています。そんな小代さんも秋に起こった噴火の時は、相当落胆しました。私自身も熊本地震で被災し避難所での生活を経験しました。地震後、阿蘇神社が祭りを継続すると聞いた時には正直驚きました。しかし、取材を通して氏子の皆さんの明るい表情に触れるうちに、励まされ、地震から立ち直っていく自分がいることに気づきました。数千年来にわたって祭りを守り継いでいくことこそが、災害の多い阿蘇という場所で人々が自然と共生していくための知恵だったのです。11年前に熊本放送が制作したダイドードリンコスペシャルでも火振り神事までの一年間を取材しました。当時の映像には壮大な楼門の姿が鮮やかに記録されています。それから10年。楼門は倒れましたが、今、少しずつ再生への道を刻み始めています。

報道制作局テレビ制作部 部次長
伊藤和雄

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TV番組情報

ダイドードリンコスペシャルあしたへ
〜阿蘇神社・
火振り神事 再生の炎〜

4/30(日)13:00〜13:54
RKK 熊本放送にて放送!

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