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参候祭

祭り紹介

歴史室町時代から江戸時代にかけて流行した七福神信仰と田楽が融合

シシゾウ:参候祭は、いつごろ始まりましたか?

平松さん:はっきりしたことは分かりませんが、室町時代のあたりではないかといわれています。この祭りの最大の見せ場は舞を披露する七福神が問答をするところですが、昔から問答形式だったわけではなく、当初は田楽を奉納する田楽祭だったようです。このことは戦国時代の天文18年(1549)に、田峯城城主から田楽用の馬を拝領したという記録があることや、参候祭で披露される『駒』という演目が、同じ設楽町に伝わる国の重要無形民俗文化財指定の田峯田楽の演目のひとつと内容がほぼ一緒であること、田楽に用いられる翁面が残されていることなどから裏づけられます。この田楽祭に、室町時代から江戸時代初期にかけて流行した延年風流や七福神の舞などの芸能が融合し、現在の祭りの形式が完成されたのではないかと考えられます。
祭りの名称は、舞を披露するために登場した神様が、問答の相手を務める禰宜(ねぎ)から「何者にて候」と問いかけられ、「さん候(そうろう)、それがしは~」と名乗ることからついたのではないかといわれています。

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みどころ観音様が神社にお渡り。神様と一緒に奉納の舞を楽しむ

シシゾウ:祭りの主な流れを教えてください。

平松さん:七福神の舞が行われるのは夜からです。昼は粟島という集落にある観音堂(粟島公会堂)の御本尊・十一面観音が津島神社まで神輿でお渡りするお練りの行列が行われ、神社に到着後は神官によって祈祷などの神事が行われます。この日、年に一度の対面を果たす観音様と津島神社の神様は夜、氏子によって奉納される七福神の舞や田楽を仲良く一緒にご覧になるという流れです。観音様は神社で一晩過ごされ、翌日、再び行列を仕立てて観音堂にお戻りになり、お坊さんに出迎えられます。祭りの始まりは神官、終わりは僧侶が仕切るところもこの祭りのユニークなところです。

シシゾウ:お練り行列のみどころを教えてください。

平松さん:観音様の神輿は輿に乗った千子(ちご)に先導されます。女児が務める千子は、観音堂を出発するときなど道中、5ヵ所で東、西、南、北、中央の五方に向けて千子舞を披露します。最後に舞う場所は津島神社で、それが参候祭の演目の番付の一番になります。到着後、観音様は夜までお休みになられるということで、祭りも休憩に入り、見物の皆さんは家に帰って食事をとるなどして夜に再び戻って来られます。

シシゾウ:演目について教えてください。

平松さん:夜は不動尊が登場する番付二番の『不動舞』から始まります。以後、『恵比寿』、『毘沙門』、『大黒天』、『弁財天』、『太平楽』、『駒』、『布袋、寿老人、福禄寿』、『との面』、『さいはらい』、『獅子』と続き、昼の『千子舞』を入れて全部で十二番の舞が披露されます。それぞれの演者は神様の面をつけ、舞の最後には五穀豊穣や無病息災を祈願して、湯釜の湯を笹で観客にふりかける湯立てを行います。『駒』、『との面』、『さいはらい』、『獅子』は田楽の流れをくむ演目です。なお、番付七番の『太平楽(たいへいらく)』は、3人の烏帽子・直垂姿の舞手が、扇、剣、鈴をそれぞれ持って舞う演目で現在は演者の高齢化などの理由で休止しています。
演者が舞うのは社殿の前庭で、中央には湯立てに使う湯釜が据えられ、大松明が焚かれます。周囲四方は注連縄で囲われます。七福神と問答をする禰宜と伴奏の太鼓、笛、ジャンガラ(手平鉦)は、社殿の向かって左にある神座(かんざ)という建物にいます。昔は祭りの前に仮設の神座を建てていましたが、現在は常設です。

シシゾウ:平松さんも舞手を務められるということですが、どの役を演じられるのですか?

平松さん:禰宜です。参候祭の禰宜は神職ではなく、七福神と同じような役のひとつで氏子が務めます。禰宜は台詞が多くても台本をそばに置いているので、演じること自体はそこまで大変ではありませんが、昼のお練り行列で観音様を先導して歩いたり、祈祷でお供え物をしたり、神事にまつわるおつとめもあるのでそういう意味での緊張感はあります。5年ほど前までは、大黒天が見物のみなさんにふるまうお菓子やお餅を集めるために、大黒天役の人と一緒に地区内の商店を托鉢に回る仕事もありましたが、今は集落内に商店がなくなったため行っていません。
私が禰宜の役をするようになったのはごく最近で、その前は20数年間、寿老人をやっていました。その他の役も同じ人が長く務めているのでお稽古はほとんどしません。数年前に恵比寿の役が新しい人に交替したときは地元でちょっとした話題になり、お稽古の様子が地元の放送局に取材されました。

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注目ポイント大黒天に布袋、寿老人、福禄寿、やんちゃな神様が大暴れ

シシゾウ:特に注目の演目はありますか?

平松さん:観客の皆さんに一番人気があるのは五番の『大黒天』です。最初に登場したときの大黒天は年を非常にとっている体で、腰が曲がり、ヨタヨタとおぼつかない足取りで歩きます。大黒天は様々な道具を身につけていて、禰宜から問われて一つひとつ説明し、最後にぬめくら棒という男性のシンボルを模した棒を禰宜に促されて披露します。その瞬間、急に若返って腰がピンと伸び、舞座を縦横無尽に駆け回ります。その対比がとても面白いです。
九番の『布袋、寿老人、福禄寿』に登場する神様もとてもやんちゃです。順々に登場した3人の神様は舞座で本物のお酒を酌み交わして宴会をはじめ、陽気に歌を歌ったり、観客にお酒をふるまったりします。演技の大半はアドリブなので、舞手も楽しみながら演じられるユーモラスな演目です。

シシゾウ:そのほかに注目点はありますか?

平松さん:夜の部は約2時間かかるので、途中に中入りという休憩時間を設けています。そのときに、地区の女性たちが手作りしたぼた餅と甘酒で観客の皆さんをもてなします。また、すべての演目が終わってから地区の若者たちが餅まきを行います。このときに大黒天からもお菓子などがふるまわれます。

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ふるさと自慢奥三河で愛される郷土の味、五平餅

シシゾウ:設楽町の食の名産を教えてください。

平松さん:設楽町名物は五平餅で、昔は参候祭に五平餅の屋台が出ていました。五平餅は奥三河から信州にかけて食べられますが、地域ごとに形やタレが異なります。設楽町の五平餅は、わらじの形をしていて、味噌だれです。町内には五平餅を製造販売する店が数軒あります。昔は来客のあるときや山の講などの行事で五平餅を握ってもてなす風習がありましたが、今は店で購入する人が増えています。農産物ではトマトや天狗ナス、こんにゃくが特産で、町内にはこんにゃく工場もあります。

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メッセージ七福神と禰宜の楽しい掛け合いをシンプルに楽しんでください

平松さん:演じる人も見物する人も楽しむことが大事な祭りだと思います。しきたり的な部分は昼に行われるので、夜は難しいことは考えずに、この祭りの一番の見せ場である七福神と禰宜の掛け合いを聞いて笑い、湯立ての湯を浴び、健やかになって帰っていただきたいと思います。

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※祭り紹介者 参候祭 総代/奥三河郷土館 元館長 平松 博久(ひらまつ ひろひさ)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

TV番組情報

CBC テレビ

ダイドードリンコスペシャル

お~い七福神、山は幸せかい?(仮)

12/9(土)16:00〜16:54
CBC テレビにて放送!

「参候祭」は、愛知県北設楽郡の山里に400年以上続く祭り。個性豊かな七福神の面を被った里人が現れては舞を見せ、禰宜と問答を交わしてゆく。しかし、里の人口は徐々に減少、「今後何年、七福神が参上出来るのか?」という不安の声が聞こえる。祭りの中心となる高齢の人々は、体に舞や問答が染み込んでおり、今は練習をするまでもなく祭り本番を迎えてしまう。しかし、伝えたい若者があまりに少ない。カメラは七福神の面をはずした里人たちの山の暮らしを描いてゆく。鮎や山菜といった自然の恵みを頂きながら、微笑ましく生きる人々。祭りには、幸せを与えてくれる山への感謝の気持ちが表れている。幸せな里。しかし、そこで暮らす人はあまりに少ない。七福神は多くの人と福を分かち合いたいと思っているのだろうが。

番組の放送局サイトへ

制作担当者からのメッセージ

値段が高いのに美味しくない・・・コスパが悪い。この“コスパ”が若者の幸福の尺度となっています。それは食べ物に限らず・・・。この祭りの舞台は、愛知県設楽町三都橋地区。不便そう・・・名古屋に住む私の第一印象でした。町にはこれといった産業はありません。ただ山と川があるだけ。ほぼ9割が60代以上の限界集落です。しかし、ある村人との出会いが暮らしの価値観を変えました。63歳の熊谷さん。ここでの暮らしが大好きで、春は山菜を採り、夏はアユを取り、秋は自然薯を取り、冬は猪を肴に酒を飲む。潔く清らかで人間らしく見えたのです。熊谷さんには孫がいます。集落にいる子どもはわずか6人。そのうちの4人が熊谷さんの孫なのです。ある日、おじいちゃんに似て鮎取りが大好きな中学2年生の長男が、とれたての鮎を食べながら言いました。「将来絶対ここを出る!」と。コンビニまで歩いて1時間以上。スーパーまで車で45分。学校はバス通学。40分歩き、時間と労力をかけ自販機の缶ジュースを買う。“コスパ”が悪いのです。映画館もボウリング場もゲームセンターもカラオケもない。ただ山と川があるだけ。幸福とはいったい何か、考えさせられました。ややもすれば室町時代から続くといわれる祭りは途絶えてしまうかもしれません。誰か一人でも残ってくれればと願う祖父母。そんな中、福を授けんと参ずる七福神。福の神と化したおじいちゃんは、いったいどんな福を授けるのでしょうか。番組を通してなにもない山の暮らしに、本当の心の豊かさを感じていただけたら幸いです。

ディレクター 坂田周吾

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TV番組情報

ダイドードリンコスペシャルお~い七福神、
山は幸せかい?(仮)

12/9(土)16:00〜16:54
CBC テレビにて放送!

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