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おわら風の盆

おわら風の盆

祭り紹介

歴史町衆による歌舞音曲の町廻りがおわらに発展

シシゾウ:おわら風の盆の起源について教えてください。

山田さん:はっきりしたことは分かっていませんが、『越中婦負郡志(えっちゅうねいぐんし)』という文献によると、元禄15年(1702)、加賀藩から下された「町建御墨付(まちだておすみつき)」(=町を開くことを許可した証書)を町の開祖・米屋少兵衛家から取り戻したお祝いに、八尾の町衆が三日三晩、無礼講で歌舞音曲を奏でて町を練り歩いたのがおわらの始まりとされています。その後、旧暦7月15日の孟蘭盆会(うらぼんえ)におわらで町を練り廻るようになり、それが台風の厄日とされる二百十日に風神を鎮める風の盆の祭りに変化したといわれています。

シシゾウ:八尾町では暮らしの中におわらがあると言われるそうですね。

山田さん:そうです。八尾町では、おわらは特別なものではなく、生活の一部です。おわら風の盆を行う旧八尾町の11の町内に生まれると、よちよち歩きのころから踊りを覚え始め、20代半ばごろまで公式行事に踊り手として参加します。踊り手を卒業後は、唄い手や三味線、胡弓、太鼓の地方(じかた)に移行する人が多く、定期的に集まって稽古をします。私の所属する諏訪町では毎週火曜が稽古日で、それ以外にも毎月、3日連続の稽古日を設けています。稽古以外でもおわら関連の打ち合わせなどで集まる機会は多く、仲間と顔を合わせて一杯酌み交わしているうちに興に乗って、「ひとつ、おわらをやるか」と演奏を始めることも珍しくありません。

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みどころ公式行事終了後も夜明けまで続く町流し

シシゾウ:おわら風の盆のスケジュールを教えてください。

山田さん:公式行事は午後3時から午後11時までで、最終日だけ開始が午後7時になります。踊りは町内単位で、八尾小学校グラウンドに特設されるおわら演舞場に出演するとき以外は、町内の通りを踊り歩く町流しや輪になって踊る輪踊りを行います。各町の申し合わせで、日中の午後3時から午後5時までは、自分たちの町内だけでなく、周囲の町内へも出かけます。
午後11時からは、個人個人が楽しむための町流しが行われます。深夜の町流しは自由参加ですが、諏訪町では例年8割近い人が通りに繰り出し、朝の4時ごろまで町を流して廻ります。

シシゾウ:踊りは、豊年踊り(旧踊り)と男踊り、女踊りの3種類がありますが、見られる場所は違うのですか?

山田さん:基本的に町流しは豊年踊り、演舞場では舞台向きの男踊り、女踊りを踊ります。町流しでは、花と呼ばれる御祝儀をいただいた家の前で感謝の踊りを踊るのが慣例です。子どもの誕生や結婚などの慶事があって御祝儀を大盤振る舞いしてくださったときには、豊年踊りだけでなく男踊りや女踊りを披露することもあります。

シシゾウ:町によって踊りや演奏に違いはありますか?

山田さん:踊り、唄、演奏は基本的に共通していますが、人が一人ひとりに個性があるように、町ごとに代々受け継がれてきた特徴があります。11町内のおわらを見比べて回るのも、おわら風の盆の楽しみ方だと思います。
初めての方がご覧になって一番違いが分かりやすいのは男性の踊りだと思います。力強さを全面に押し出して踊る町内もあれば、やわらかく踊る町内もあります。町内の雰囲気もそれぞれ個性があります。諏訪町には「日本の道100選」に選ばれた諏訪町本通りがあります。ぼんぼりが灯る中、格子が連なる石畳の通りで行われる町流しは、とても風情があると思います。

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注目ポイント楽器の音色と情趣豊かな歌詞にも注目

シシゾウ:おわらは胡弓の音色が印象的です。山田さんは諏訪町で胡弓を担当しておられますが、胡弓の魅力、難しさはどういうところですか?

山田さん:おわらの地方の三味線は多いときには10挺近くで合奏しますが、胡弓は基本的に1挺なので間違えると目立ちます(笑)。胡弓の音色は特徴があり、よく響くため、胡弓の心得として昔からよくいわれるのは唄を邪魔しないように、ちょっと控えめに弾くということです。ただし、抑えすぎるとおわら全体としては物足りなくなってしまうので、そこのさじ加減が難しいです。
胡弓を弾いていて痛感するのは奥の深さで、そこが魅力にもなっています。私は踊り手を卒業してから30年近く胡弓を担当していますが、やってもやってもこれでいいという境地には至りません。自分が満足できる音を出したいという目標に向けて、普段から稽古を積み重ね、1年の集大成としておわら風の盆で演奏します。そこで満足できることはなく、来年こそはと稽古に打ち込むという繰り返しです。

シシゾウ:おわらを見るときのポイントを教えてください。

山田さん:初めての方は踊りを中心にご覧になると思いますが、踊りと合わせて唄と楽器の音色にもじっくり耳を傾けていただければ、おわらをより楽しんでいただけると思います。唄の歌詞にもご注目ください。最近は唄われる機会が少なくなったのですが、複数の唄い手がどんどん歌詞をつなげていく掛け合いは面白いです。例えば「あいや可愛いや いつ来て見ても たすき投げやる暇がない」と1人の唄い手が唄うと、別の唄い手が前の歌詞にかけて、「たすき投げやる暇あるけれど あなた忘れる暇がない」、さらに別の唄い手が「あなた忘れる暇ないけれど、親の前では籠の鳥」というふうにどんどん歌い継いでいきます。物語風になっているので情景を頭に思い浮かべながら聞いていただくと情趣が増すと思います。

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ふるさと自慢山菜や川魚など里山の恵みが豊か

シシゾウ:富山市八尾町の食の名産品を教えてください。

山田さん:八尾を代表するお菓子が玉天です。材料は卵と砂糖と寒天で、口に入れるとふわふわしたマシュマロみたいな食感です。
おわら風の盆が行われるのは市街地ですが、旧八尾町の南部は山間地です。この地域でよく採れるのがわらびやぜんまい、うど、たけのこなどの山菜やイワナに代表される川魚です。春のシーズンには大勢の人が山菜採りに出かけ、山菜料理が名物のお店も多いです。

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メッセージ踊り、唄、楽器の三位一体の魅力に
触れてください

山田さん:おわら風の盆は連日大混雑するので余裕を持ってご覧いただくのは難しいと思いますが、午後11時以降は観光客の数が比較的少なくなり、音が割合よく聞こえます。時間的に余裕があれば深夜の町流しをご覧いただき、唄や楽器の響きを堪能していただければと思います。

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※祭り紹介者 富山県民謡越中八尾おわら保存会 渉外部長/諏訪町(すわまち)おわら保存会 会長 山田 誠(やまだ まこと)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

TV番組情報

放送局

ダイドードリンコスペシャル

おわら風の盆 ふたつの物語

9/29(土)13:00~13:54
TUT チューリップテレビ放送にて放送!

おわら風の盆は300年以上も越中八尾で受け継がれている民謡行事です。古い町並みに哀調を帯びた胡弓や色っぽい三味線の音色が響くなか、編笠をかぶった男女の優美な舞が町を流します。民謡とは思えない洗練された踊りは「芸術民謡」とも称され、見るものを夢幻の世界へと誘います。今回は華麗な女踊りにまつわる「ふたつの物語」をドキュメントで紹介していきます。1つ目は、約90年前に日本舞踊家が振付けた八尾四季踊りの原型を復元する物語です。おわら保存会のメンバーが94歳の女性や日本舞踊の師範、古い資料などから、どのような振付をしたのかを探ります。2つ目は、八尾四季踊りを受け継ぐ現役の踊り子たちの物語。今年でおわらを卒業する憧れの先輩から美しい踊りを継承する18歳の女性の風の盆にかける思いに迫ります。

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制作担当者からのメッセージ

私は14年間もおわら風の盆を取材し、長年疑問に思っていたことがありました。それは日本舞踊家の若柳吉三郎が「八尾の春夏秋冬」の歌詞に合わせて、なぜ、蛍狩りに興じる女性の所作である「夏の踊り」を振付けたのかです。私はもしかすると、時の流れとともに踊りの解釈が変わってきたのではないかと、大胆な仮説を思いつきました。その時に若柳吉三郎から直接踊りを教わったという94歳の女性と出会いました。果たして八尾四季踊りの原型とは、どのような所作だったのでしょうか?おわら風の盆の新たな歴史をひも解きます。

報道制作局(自称おわら風の盆のソムリエ)
笹林 英之

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TV番組情報

ダイドードリンコスペシャルおわら風の盆 ふたつの物語

9/29(土)13:00~13:54
TUT チューリップテレビ放送にて放送!

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