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鳴無神社 秋の大祭(チリヘッポ)

鳴無神社 秋の大祭(チリヘッポ)

祭り紹介

歴史縁結びのご利益で人気の鳴無神社。創建は約1560年前

シシゾウ:チリヘッポはどのような行事ですか?

森田さん:鳴無神社の秋の大祭の御神幸祭の中で行われる神事で、神の子に見立てられた幼児が神前で結婚式を行います。チリヘッポの歴史はかなり古いと聞いていますが、文献が残っていないのでいつから始まったのかは分かりません。

シシゾウ:チリヘッポとはどういう意味ですか?

森田さん:実はよく解っていません。神事に歌われる神歌の歌詞に出てくる言葉で、そこから神事そのものの呼び名になりました。地元の郷土史家の方はチリヘッポのチリは「千里」、ヘッポは「八方」が語源で、四方八方という意味ではないかという説を唱えていらっしゃいます。

シシゾウ:鳴無神社は縁結び祈願に来られる参拝者が多いそうですが、チリヘッポとの関連はありますか?

森田さん:鳴無神社は雄略天皇4年(460)の創建で、浦ノ内地区の守り神である産土神(うぶすながみ)として古くから氏子の皆さんに崇敬されてきました。縁結びのご利益があるパワースポットとしてクチコミやネットなどを通じて広く紹介されるようになったのは10数年ほど前からです。縁結びのご利益が注目されるようになった理由のひとつはチリヘッポであることは間違いないと思います。もうひとつ、理由として考えられるのは御祭神の一言主命(ひとことぬしのみこと)です。この神様は別名を味鋤高彦根命(あじすきたかひこねのみこと)といい、縁結びのご利益で有名な出雲大社の主祭神、大国主命(おおくにぬしのみこと)の長男にあたられます。そのことから当社の御祭神は縁結びにも強い力を持っていらっしゃるのではないかと思います。

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みどころチリヘッポ一行が神歌を7回半歌って神輿と共に御神幸

シシゾウ:秋の大祭の祭り期間は長いそうですね。

森田さん:チリヘッポが行われる本祭は旧暦8月23日の開催ですが、秋の大祭そのものは旧暦の8月1日から始まります。旧暦8月20日は祭りの世話役にあたる当家(とうや)宅の庭に5~6メートルの孟宗竹を立て、その周りを竹で囲んで神様をお迎えするお波計建(はけたて)の神事が行われます。現在、当家(とうや)は氏子10地区が毎年持ち回りで務めています。

シシゾウ:本祭で行われることを教えてください。

森田さん:本祭の主な行事は本殿祭と御神幸祭です。本殿祭は、どこの神社でも行われている例祭の神事で、本殿で祝詞奏上や玉串奉奠(たまぐしほうてん)を行い、小学校高学年から中学生までの女の子4人が浦安の舞を奉納します。
続いて行われる御神幸祭は、御祭神を遷した神輿が社殿を出て御神幸します。浦ノ内湾の入江に面して建つ鳴無神社は古くから「土佐の宮島」と呼ばれ、車道が通じる半世紀前までは船で参拝するのが一般的でした。そのころの名残で参道は海岸から始まっています。神輿がその参道を通って海際まで進むと、チリヘッポの一行が待ち受けています。チリヘッポ一行は、「チリヘッポ」という歌い出しから始まる神歌を歌いながら神輿の後に続いて社殿に向かって隊列を組んで進みます。

シシゾウ:チリヘッポの一行とはどのような人たちですか?

森田さん:一行の中心は神の子役を務める男の子と女の子で、男の子は「行児(ぎょうじ)」、女の子は「斎女(いたじょ)」と呼ばれます。行児と斎女は、神聖な存在として白装束を身につけ、神事の間は地面に足をつけません。そのため、行児を肩車する役と斎女を背負う役の男性がいます。また、2人のお世話係として「守婆(もりばあ)」という女性がつきそいます。傘やご幣を持ってお供をする役もあり、総勢は9~10名になります。
チリヘッポの一行は清らかな体で祭りに臨むため、祭り期間中、近くの海岸で汲んだ海水で祓い清めを受けます。私が子どものころはチリヘッポの一行が当家宅に1週間以上泊まり込んで潔斎をしましたが、今はそこまで厳格ではありません。

シシゾウ:チリヘッポの一行が歌う神歌について教えてください。

森田さん:「チリヘッポ ササハラヤト ワカハリシンメ ヨロヅヨマデ ワカミヤ ササハラヤト ワカハリシンメ」という歌詞で、御神幸の道すがら、7回半歌われます。歌詞の意味はチリヘッポ同様、分かっていません。楽譜はないので節回しや拍子は口伝で、地区ごとに少しずつ違いがあります。

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注目ポイント神様の大役を務めるのは就学前の幼児

シシゾウ:神の子の結婚式はどのように行われるのですか?

森田さん:祭場は参道の中央にしつらえられます。神輿は設置されたやぐらに奉安され、チリヘッポ一行は神輿の前に敷かれたゴザに鎮座します。行児と斎女は並んで座り、三々九度の杯を交わし、2人で玉串を神前に捧げます。愛らしい幼児がかしこまって結婚式を行うということでチリヘッポはアマチュアカメラマンの皆さんに人気が高く、三々九度のときには一斉にシャッターが切られます。

シシゾウ:行児と斎女を幼児が務めるのはなぜですか?

森田さん:小さい子どもは純粋で、神様が乗り移られるのにふさわしい清らかな存在とみなされているからです。理想は就学前の子どもですが、最近は少子化でちょうどいい年頃の子どもを探すのが難しくなっていて、おむつがとれていない乳児が務めたこともあります。

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ふるさと自慢須崎市のミョウガは品質・生産量ともに全国トップクラス

シシゾウ:須崎市の食の名産品を教えてください。

森田さん:高知県は日本一のミョウガ産地で、須崎市は県内トップの生産量を誇っています。鳴無神社のある浦ノ内地区にもミョウガ農家の方は多く、祭りのときのお供え物にミョウガを持ってこられる方もいらっしゃいます。浦ノ内湾では養殖業が盛んで、鯛やハマチ等が育てられており、各地に出荷されています。また須崎では鍋焼ラーメンが有名で昔よりソウルフードとして愛されています。

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メッセージ全国の皆さんにチリヘッポを知っていただきたいです

森田さん:浦ノ内地区は人口こそ少ないですが、氏子の皆さんが鳴無神社を大切にしてきてくださったおかげで神社も祭りも長い歴史を刻むことができています。全国の皆さんには、高知県の片田舎でこのような珍しい行事が続いていることをぜひ知っていただきたいです。大勢の方に御参拝いただければ伝統行事を一生懸命守り伝えている氏子の皆さんの励みにもなると思います。鳴無神社の社殿は、寛文3年(1663)に土佐藩二代藩主の山内忠義公によって再建されたもので昭和28年(1953)に国の重要文化財に指定されています。そちらも見がてらお越しいただければ幸いです。

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※祭り紹介者 鳴無神社 宮司 森田 鉄典(もりた てつのり)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

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