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野沢温泉の道祖神祭り

祭り紹介

祭り写真館

1/27
公開

歴史起源は不明。江戸時代後期には行われていた火祭りの奇祭

シシゾウ:野沢温泉の道祖神祭りは、いつごろ始まりましたか?

森さん :起源は定かではありませんが、かつて道祖神祭りが行われていた場所にある道祖神碑に天保10年(1839)の銘が入っていることから江戸時代後期には盛大に行われていたと推察されます。
この祭りは「一度見ね馬鹿、二度見る馬鹿」といわれ、一度は見るべきだといわれている奇祭です。山から伐り出した大きなブナの木でやぐらを組んで社殿を作り、その社殿に火をつけようとする村人と守る厄男とが激しい攻防戦を繰り広げ、最後に社殿を燃やします。
昔は野沢温泉村が上(かみ)と下(しも)の2つに分かれ、それぞれが競いあいながら大きな社殿を作り祭りを執り行っていました。しかし、大正時代に人家の近くで大火を燃やすのは危ないということで警察から指導が入り、上と下が統合して現在に至っています。

シシゾウ:野沢温泉村は道祖神信仰が盛んだそうですね。

森さん :道祖神は災厄が侵入しないように集落の境界にまつられる神様で、石像や石碑の形をとるのが一般的です。野沢温泉村の道祖神は、「ドウロクジン」とも呼ばれ、木で作られています。この道祖神は昔から良縁をとりもつ神様としても信仰されていて、各家庭の神棚には、手作りした小さなサイズの人形道祖神がまつられています。人形道祖神は1年ごとに新しいものに作り変えられ、古い人形道祖神は道祖神祭りの会場で焼く風習があります。

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みどころ長さ約20メートルの柱を立て、巨大な社殿を2日間かけて組み上げる

森さん :道祖神祭りを担うのは村の厄年の男衆です。中心になるのは本厄の42歳の男性で、前厄と後厄の人たちも加わった3学年で「三夜講(さんやこう)」というグループを作り、そこに25歳の厄年の男性も加わり、準備から15日の本番まで祭りに奉仕します。
昔から、野沢温泉村の男は道祖神祭りに参加して、はじめて一人前として認められるといわれています。そのため就職などで村を離れた若者も皆、祭りには村に戻ってきます。

シシゾウ:祭りの流れを教えてください。

森さん :道祖神祭りは準備が大がかりです。1月13日は、社殿の柱になるブナの御神木を25歳と42歳の男衆が各1本ずつ会場まで曳いていく御神木の里曳きが行われます。御神木は村の共有財産であるブナ山から前年の秋に5本伐り出されます。選ばれるのは樹齢約100年で樹高20メートル、直径30~40センチの大木です。街なかを曳き回すときには、男衆は「めでたく建てた 命あるなら来年も~」という歌詞の「道祖神のうた」を歌って気勢をあげ、沿道の家々から御神酒が献上されます。
14日は朝から社殿造りです。まず、柱になる御神木を綱で引いて起こし、社殿棟梁が昔から伝わる胴突唄(どうつきうた)を歌い、気合を入れて持ち上げて地面に突き立てます。5本の柱を1.8メートル四方と中心に立てます。柱が建つと四方に5段の桁(けた)をかけて、やぐらを組み立てます。桁は下から九尺、十二尺、十五尺というふうに上に行くほど大きくなります。この社殿造りは昔から釘などの金属類は一切使わず、稲わらを編んだ綱で縛ります。すべての桁が組み上がるのには深夜までかかります。
本番当日の15日も早朝から社殿造りの続きを行います。完成したやぐらは約三十畳の広さがあり、その上に600束の粗朶(そだ)を並べ、さらに上には杉の葉を積み、門松や正月飾りを乗せます。すべての作業が終わると、神主さんがお祓いをして、社殿に魂(たましい)を入れ、道祖神が降臨します。この社殿造りが道祖神祭りで最も大変な部分です。私は42歳のときに最高責任者の道祖神委員長を務めたのですが、プレッシャーはかなりのものでした。社殿が無事に完成し、仲間に感謝の挨拶をし手締めをしたときは、感動のあまり涙が出ました。

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注目ポイント小たいまつを手に攻めこむ村人と火を消す若者の真剣勝負。最後は社殿に火が入って炎上

シシゾウ:社殿を巡る火の攻防戦はどのように行われるのですか?

森さん :午後7時、42歳と25歳の厄男の代表6名が道祖神祭りで代々、火元を世襲する河野家を訪問します。河野家では火元もらいの儀式が行われ、厄男たちはふるまわれる大量の御神酒を飲み干します。午後8時、河野家の当主が昔どおりに火打ち石で火をおこし、その火を男たちが持参した大たいまつに移し、彼らは大たいまつをかかげ、300メートルほど離れた祭りの会場へ、道祖神のうたを歌いながら向かいます。厄男たちはその時点でかなり酔いが回っていて足元がおぼつかず、雪道を転んだりしながら進みます(笑)。
到着した火は、社殿から少し離れた場所に積み上げられた小枝の山に移されます。この火が火つけの元火になり、社殿に火をつけようとする村人たちと社殿を守ろうとする厄年の男たちとの戦いが始まります。火つけに参加できるのは村人だけです。揃いのつなぎを着た42歳の本厄の男たちは社殿に上がり、同じく揃いのつなぎを着た25歳の若者たちは、社殿の下で村人の攻撃を防ぎます。村の人たちは社殿の上から落とされる小たいまつを拾って元火で火をつけ、社殿正面めがけて突進します。それを若者たちは体を張って止め、手にした門松の松で小たいまつの火を叩き消します。
最初の30分は子どもたちによる火つけです。伝統の祭りを体験してもらうことで、火に負けない勇敢さを身に付け、祭りの伝統を継承するためです。子どもの火つけが終わると大人たちの出番です。大勢の村人たちが手にした小たいまつの炎で、社殿の周囲は火の海になります。攻める側は若者に火を消されると、新しいたいまつに点火して再び突進します。たいまつの火で社殿に火がつくことは滅多にありませんが、社殿を守る行為そのものが厄落としになるので守る若者たちは真剣です。暗黙のルールで、怪我をさせないように小たいまつは上にかざすことになっていますが、それでもやけどをすることは珍しくありません。若者たちも参加者もふるまいのお酒を飲んでいることもあり、叩き合いがエスカレートし、喧嘩になることもしばしばです。そのときは周りの人が仲裁しますが、それでもおさまらないときは頭を冷やすように会場の近くを流れる小川に突き落とされます(笑)。

シシゾウ:社殿の上にいる42歳の本厄の人たちは何をしているのですか?

森さん :道祖神のうたを歌い、祭りを盛り上げます。大人の火つけは約1時間30分程続きます。最後は、道祖神祭りの総元締の野沢組総代と道祖神委員長により、野沢温泉村に伝わる道祖神締め「ショーン ション オショションノ ショーン ション」と独特の掛け声で手締をします。
42歳の男たちが社殿から下りると、元火が社殿に入れられ、15分ほどするとものすごい火柱が上がり、社殿全体が天を突く炎に包まれます。タイミングをみはからって、前の年に初めて子が生まれた家が、わが子の健やかな成長を祈願して奉納する初燈籠が火にくべられます。初燈籠は御幣や提灯などを飾り付けた豪華なもので、よく燃え上がるほど子どもは健やかに成長するといわれています。炎がやや下火になる午後11時ごろ、チェーンソーで御神木の柱が切り倒され祭りが終了します。
社殿の火は翌日まで燃えています。この残り火を使って餅を焼いて食べる、無病息災を祈願する餅焼きが行われます。また、夜には火元の河野家当主によりその年の作柄を占う伝統の小豆占いが行われます。

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ふるさと自慢本場の野沢菜漬けと豊かなブナ林が育む美味しいコシヒカリ

シシゾウ:野沢温泉村の特産物を教えてください。

森さん :野沢温泉の名物といえば全国的に知られるようになった野沢菜漬けです。市販されていますが、地元では各家庭で野沢菜を漬けます。漬け込みのシーズンは11月で、家ごとに漬け方があり、それぞれの家の味があります。地元で好まれるのは熟成してべっこう色をした本漬けで、奥行きのある味がします。
もうひとつ、ぜひ味わっていただきたいのは、日当たりのいい傾斜地の棚田で作られるお米のコシヒカリです。村を取り巻くブナの森が生み出してくれる良質でミネラル豊富な水がおいしさの秘訣で、「米・食味鑑定コンクール」で金賞を幾度も受賞しています。

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メッセージ日本最大級の道祖神祭りを見に、野沢温泉村にお越しください

森さん :長野県北部の北信地方は道祖神祭りが盛んですが、中でも野沢温泉の道祖神祭りは日本最大規模です。野沢温泉村は数年前に「道祖神むら宣言」をしており、村全体で祭りを盛り立てています。ぜひ一度、この天下の奇祭を見に野沢温泉村においでください。この祭りのファンだという著名人の方も大勢いらっしゃる程、実際にご覧になると迫力満点で、火つけに加わりたくなるくらい興奮されること請け合いです。会場ではお酒がふるまわれますが、飲み過ぎにはご注意ください(笑)。

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※祭り紹介者 道祖神祭り歴代保存会 顧問 森 紀一(もり きいち)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

TV番組情報

SBC 信越放送

ダイドードリンコスペシャル

炎よ男よ燃え上がれ
~野沢温泉の道祖神祭り~

1/29(日)15:00〜15:54
SBC 信越放送にて放送!

日本有数の火祭りとして知られる「野沢温泉の道祖神祭り」。毎年1月15日、長野県北部の豪雪地域にある村が熱気に包まれます。山から切り出した御神木で、天高く築かれた社殿。これを燃やそうとする村人と、火消し役となる25歳厄年の男衆が激しい攻防を繰り広げるのです。顔はすすで真っ黒に。時には火傷を負いながらも、必死に社殿を守る若い男たちの勇姿は、道祖神祭り最大の見どころです。また、男子が生まれた家が奉納する大きな灯篭も、この祭りの象徴のひとつ。隣近所や親戚など、大勢の村人が組み立てや飾り付けに加わります。まさに、「野沢の男は火祭りで一人前になる」のです。祭りを通じて、ふるさとへの思いを深める若者たちと、その成長を見守る年長者たちの姿を描きます。

番組の放送局サイトへ

制作担当者からのメッセージ

「めでたく建てた 命あるなら来年も-」道祖神祭り唄の一節です。
祭り前日、年長者の指示のもと、村の男たちが高さ10メートルを越す社殿を組み上げます。
凍てつく寒さの中、夜を徹して行われる作業…。次第に男たちの気持ちは一つになっていきます。古くから、村人は仲間と支えあって厳しい冬を乗り越えてきました。命をつないできたのは、助け合いの心です。取材にあたっては、そんな「絆」を確かめ合う男たちの表情をしっかり抑えたいと考えています。また、火の攻防戦を最前線で撮影し、迫力ある映像をお届けします。

ディレクター コンテンツビジョン
制作本部 中村一貴

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祭り冊子を持って、祭り会場へ行こう!

TV番組情報

ダイドードリンコスペシャル炎よ男よ燃え上がれ
~野沢温泉の道祖神祭り~

1/29(日)15:00〜15:54
SBC 信越放送にて放送!

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