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能生白山神社春季大祭

祭り紹介

歴史室町時代に始まる童舞の祭り

シシゾウ:能生白山神社春季大祭は、いつごろ始まりましたか?

室川さん:室町時代に始まり、そのことを裏づける資料がいくつかあります。そのひとつが『梅花無尽蔵(ばいかむじんぞう)』という京都・相国寺の僧、万里集九(ばんりしゅうく)が著した漢詩集です。万里はかつて能生に半年間滞在し、能生白山神社で童舞の祭礼があると記しています。そのことから室町時代には既に祭りが行われていたと推定されます。江戸時代に書かれた『北越風土記節解(ほくえつふどきせっかい)』の能生に関して書かれた文章の中に「永享ノ頃ヨリ天王寺舞楽ヲ移ス」という一文があり、春季大祭で奉納される舞楽が永享年間(1429~1440)、大阪の四天王寺から習い伝えられたものであることが分かります。また、神社に伝わる古い面のひとつに、寛正6年(1465)の銘が入ったものがあることも室町時代に祭りがあったと裏づけています。

シシゾウ:稚児が重要な役割を果たすそうですね。

室川さん:氏子地区から選ばれる5人の稚児が祭りの主役です。年齢は小学1年生から4年生位までの男の子で、経験者から順に一の戸、二の戸、三の戸、四の戸、五の戸と呼ばれます。ちなみに私の父と私、息子は親子三代で稚児を経験しました。
祭りの数ヵ月前、神社総代は稚児もらいといって年ごろの子どもがいる家庭を訪ねて稚児になってくれるようにお願いに上ります。子どもが多かった昔と違い、少子化の今は稚児のなり手を探すのが大変難しくなっています。稚児が5人揃わないと祭りはできないので、私が神社総代を務めた9年間は毎回、稚児が決まるとホッとして祭りの準備の大半を終えたような気になったものです。
稚児に選ばれた子どもは、祭りの数日前から当日まで神社の社務所に泊まり込んで舞楽奉納の舞の稽古などをします。大変なようですが、これでも昔に比べると負担は軽くなっています。昔は4月10日に社務所入りをして、祭り当日まで境内から一歩も外に出ることができませんでした。合宿期間中は舞を覚えるだけでなく毎朝6時に起きて境内の背後にそびえる尾山(おやま)から湧き出る「蛇(じゃ)の口の水」で大祭当日が晴れることを願い水ごりをします。

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みどころ「ヤーッ!」の掛け声と同時に三体の神輿が激走!

室川さん:能生白山神社春季大祭のみどころは大きく2つあります。ひとつは午前に行われる「御神嚮(ごじんこう)」の行列の最後を締めくくる「お走り」で、もうひとつは午後の舞楽奉納の最後に演じられる「陵王(りょうおう)の舞」です。地元の人はその2つを一番楽しみにしています。午前中のお走りが終わると昼食をとるため家に帰り、夕方に陵王の舞を見に再び境内にやってくる人が多いため、お走りと陵王の舞が行われるときは広い境内が人であふれかえります。

シシゾウ:御神嚮はどのような行列ですか?

室川さん:三柱の御祭神を遷した一の神輿、二の神輿、三の神輿を中心に獅子舞、稚児、大名行列を彷彿させる大道具、小道具の諸役が連なる総勢100人ほどの大行列で、能生白山神社の境内を約3時間かけて1周半します。進む速度は実にゆっくりで、大半の時間は止まっています。そんなゆるやかな行列が一転して走り出す「お走り」で御神嚮はクライマックスを迎えます。

シシゾウ:お走りはどのタイミングで始まるのですか?

室川さん:お走りの前に、三体の神輿はそれぞれ所定の位置につきます。お走りの合図を出すのは摂社の秋葉神社の背後に控える三の神輿です。神輿の守り役として前後についている社人(しゃじん)のうち、後ろの社人が掛け声を発したときがスタートです。掛け声をかけるタイミングは決まっておらず、社人に神様がのると自然に声が出るといわれています。今にも走り出しそうな雰囲気を漂わせる神輿を観客が「いまかいまか」と固唾を飲んで見守る中、「ヤーッ」という掛け声が響くと三体の神輿は同時に走り始め、境内を一気に駆け抜け、拝殿近くの御旅所に担ぎ込まれます。

シシゾウ:なぜ神輿を走らせるのですか?

室川さん:お走りは江戸時代に始まったと伝えられていますが、走る理由は分かっていません。おそらく神様を楽しませる気持ちからではないかと思います。

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注目ポイント舞楽を締めくくる陵王の舞。夕映えの中、舞台と観客が一体になる

シシゾウ:奉納される舞楽はどのような特徴がありますか?

室川さん:約600年前に大阪の四天王寺で習ってきた宮中舞楽が長い歳月を経る間に、舞い方も衣装も能生の風土に合った独自の舞に変わっていったといわれています。目の前に海が開け、背後に山を抱く豊かな自然に囲まれ、境内が明るく広々としている能生白山神社にふさわしい、ひなびた明るさが感じられる舞だと思います。
舞楽が行われるのが境内の池の上に特設された水舞台であるところも特徴です。舞台を設営するのは氏子たちで、4月18日に組み立てて祭りの翌日の25日に解体するという昔からのしきたりが今も厳格に守られています。
奉納される11の演目のうち、8つが稚児舞、3つが大人の舞で、それぞれにみどころがあります。舞楽奉納の中心は5人の稚児ですが、最後に大人が演じる陵王の舞が一番重きを置かれています。
稚児舞では、最も経験豊かな一の戸が演じる「児抜頭(ちごばとう)」が一番の華です。音楽も拍子もゆったりとした格調高い舞で、毎年舞台の袖で一の戸のご両親が涙を浮かべてわが子の晴れ姿を見守る光景が見られます。

シシゾウ:「陵王の舞」のみどころを教えてください。

室川さん:古代中国の武人、蘭陵王(らんりょうおう)伝説にちなんだ舞で、舞楽では有名な演目です。舞い手は陵王の面をつけ、緋色の衣に頭に赤く染めた赤熊毛(しゃぐま)をつけます。最後の演目となるこの舞が行われるのはちょうど日が沈みかかる時間帯です。水舞台は西を向いていて、舞いの中に相対する夕日を呼び戻すような所作があることから「日招きの舞」とも呼ばれています。
能生白山神社の陵王の舞の最大のみどころは舞台と楽屋にかけ渡された橋がかりで繰り広げられる舞です。舞い手が楽屋に入ると舞楽奉納は終わり、祭りも終わってしまいます。観客たちは、祭りがいつまでも続くことを願って、「まだまだ!」「陵王さん!」などと声をかけ、舞い続けるように舞い手をあおります。楽屋に入るタイミングは舞い手次第です。お走りのときと同じように、神様が舞い手にのって背中を押したとき、楽屋に飛び込むといわれています。夕日を背に受けながら、舞い手がじらすような動きをするたびに境内は湧きかえります。舞楽は静かに終わる曲が多いのですが、それとは正反対です。能生白山神社ならではの陵王の舞を一度ご覧いただきたいと思います。

シシゾウ:そのほかのみどころを教えてください。

室川さん:当日の朝、稚児一行が能生地区の区民会館から神社に向かう「社参の行列」はとても風情があります。区民会館から神社まで普通に歩いて10分ほどの距離を倍以上の時間をかけてゆったりと進みます。行列の先頭は法螺貝で、大道具や小道具も列に加わります。緋色の衣装をつけた稚児は稚児守(ちごもり)と呼ばれる白の狩衣をつけた男性の左肩に乗ります。この日は1日中、稚児は神様の使いということで地面に足をつけることは許されず、移動するときは抱かれたり肩車をされたりします。
稚児行列は祭り前日の夕祭(ゆうさい)にも行われます。このときの稚児の衣装はオレンジ色です。行列が神社についてからは宵宮祭として三柱の御神体を三体の神輿に移す儀式が行われます。
お走りの後に行われる「供神饌(きょうしんせん)[供饌進(きょうせんしん)と表記することも]も珍しい儀式です。「御饌上げ(ごぜんあげ)」とも呼ばれ、拝殿から神輿が納まった御旅所まで板を渡して橋が架けられ、6人の社人が何往復もして神様に供物を捧げます。このときの太鼓や笛の演奏に合わせた独特な歩き方も必見です。

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ふるさと自慢ほぼオールシーズン味わえる能生漁港名物のベニズワイガニ

シシゾウ:糸魚川市の名産品を教えてください。

室川さん:漁業が盛んで、地元の能生漁港ではベニズワイガニ、ノドグロ、南蛮エビ、タイなど四季を通じて多彩な近海魚が水揚げされます。「道の駅マリンドリーム能生」は日本海沿岸屈指のベニズワイガニ直売所で、ほぼ一年中新鮮なカニを味わうことができます。これといった名物料理がないのは食材がいつでも新鮮でおいしいため、加工の必要がないからだと思っています。

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メッセージ一度見るとリピーターになること間違いなしです

室川さん:能生白山神社春季大祭で奉納される舞楽は国の重要無形民俗文化財の指定を受けています。祭りの形態も古いしきたりをよく伝えています。祭りの奉仕者が多いのも特徴で、江戸時代から氏子地区の中で役割分担がはっきりしています。舞楽を伝承する楽人(がくにん)は町衆、神輿は漁業者、御神嚮の大道具や稚児守などは農家の人たちがそれぞれ担当します。このような形態の祭りは全国でも珍しく、民俗学の研究者に注目されています。そういったことを抜きにしても、お走りや陵王の舞などみどころが大変多く、一度ご覧いただくと次の年も見たくなる祭りだと思います。私たちの祭りを見に、ぜひ能生にお越しください。

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※祭り紹介者 元・白山神社総代 室川 諭(むろかわ さとし)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

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