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無生野の大念仏

無生野の大念仏

祭り紹介

歴史山梨県で唯一現存する大念仏

シシゾウ:無生野の大念仏は、いつごろ始まりましたか?

原田さん:私自身は父や祖父から由来について聞いたことはありませんが、無生野地区に語り継がれる雛鶴(ひなづる)姫の悲劇を端緒とする説が広く知られています。雛鶴姫は、南北朝時代に非業の死を遂げた護良(もりなが)親王の寵妃です。足利方に処刑された護良親王を弔うため、雛鶴姫は亡骸の首をもって鎌倉街道を抜け、無生野に辿り着きましたが、過酷な旅で体を壊し、身ごもっていた子ども共々、命を落としました。その雛鶴姫の死を弔うために地区の人々が始めたのが大念仏ともいわれています。地区には雛鶴姫をまつった雛鶴神社があり、春には例祭が執り行われます。

シシゾウ:山梨県は大念仏が盛んだったのですか?

原田さん:昔は、近隣の大月市をはじめ県内の各地で行われていたと聞いていますが、現在行っているのは無生野地区だけです。踊り念仏の古い形を伝える芸能ということで、平成7年には国の重要無形民俗文化財に指定されました。過去には「念仏と太鼓のリズム」というテーマの催しで東京の国立劇場小劇場に出演したこともあります。私は小太鼓を務めましたが、とても思い出に残る出来事でした。
無生野の大念仏を保存・継承する無生野大念仏保存会は、無生野地区42世帯の住民全員が会員です。

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みどころ白装束の演者が鳴り物の周囲を舞い踊る

シシゾウ:無生野の大念仏は1年に2回行われるそうですね。

原田さん:旧暦の1月16日と新暦の8月16日の午後7時半から行います。会場は無生野集会所に設けられる道場(どうじょう)です。昔は、当役(とうやく)と呼ばれる祭り当番の個人宅に道場が設けられました。しかし、家財道具をすべて移動しなければならないなど負担が大きかったため、集会所の完成後、現在の形になりました。
道場は二間四方の間取りで座敷から一段高くなっています。四隅には青竹が立てられ、注連縄(しめなわ)を周囲に張り巡らします。注連縄には切り飾りと呼ばれる御幣が吊り下げられます。切り飾りは半紙を型紙に合わせて切って作ります。切り飾りは枚数が多いため、皆で当日の昼過ぎから作り始めて夕方ごろまでかかります。

シシゾウ:大念仏の演目を教えてください。

原田さん:道場入り、道場浄(きよ)め、ぶったて、一本太刀、二刀流(二本太刀)、ぶっぱらい、念仏のふた、送り出しです。鳴り物や踊りを務める演者は白装束に裸足です。
道場入りと道場浄めは演じる前の準備で、道場入りの経文を唱え、塩と砂利をまいて道場を清めます。ぶったては、演者たちが鉦・太鼓の鳴り物に合わせて経文を唱えます。
一本太刀と二刀流は踊り念仏です。一本太刀の演者は太鼓振り、棒振り、太刀振りの3人です。小太鼓を持った太鼓振り、青竹の棒を持った棒振り、刀を持った太刀振りが鳴り物のリズムに合わせて小太鼓、棒、太刀を振りながら道場の中央に据えられた太鼓の周りをグルグル回ります。4周目からは鳴り物の拍子が速くなり、踊りの所作も大きく、激しくなります。一舞は6周です。かなり体力がいり、舞い終ると高齢な演者は息が上がります。二刀流は、太鼓振りと2本の刀を持った太刀振りの2人が演者です。太鼓振りは小太鼓を叩きながら、太刀振りは2本の太刀を振り回し、ときに交差させながら太鼓の周りを回ります。一本太刀同様、4周目から鳴り物の拍子が速くなり、所作も激しくなります。一本太刀と二刀流は保存会の若手に踊りを覚えてもらうため、勉強を兼ねて複数回行うことがあります。
ぶっぱらいは病気平癒の祈祷です。念仏のふたで締めくくりの経文が唱えられ、送り出しで、青竹や注連縄、切り飾りが片付けられ、集会所の近くにある大念仏の供養塔へ納められます。所要時間は約1時間で、すべてが終わると座敷洗いといって皆で酒食を囲んで慰労をします。

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注目ポイント悪霊を追い払い、病を癒すぶっぱらい

シシゾウ:病気平癒の祈祷といわれるぶっぱらいについて詳しく教えてください。

原田さん:祈祷を受ける人は、道場の手前の座敷に敷かれた寝具に病人の体で横たわります。枕元には御幣を立てた三方(さんぽう)が置かれ、教主(きょうしゅ)と呼ばれる祈祷者が枕元に座って祈祷します。道場では一本太刀同様、太鼓の周りを太鼓振り、棒振り、太刀振りが踊りながら回りますが、途中、座敷に下りてきて、依頼者が寝ている布団の上を飛び越えます。3周目に入ると鳴り物のテンポが上がり、打ち手は頭を低く下げ、鉦や太鼓を一心不乱に打ち鳴らします。太鼓振り、棒振り、太刀振りも小太鼓、棒、刀を頭上でグルグル回します。この状態はぶっかぶりと呼ばれます。クライマックスは、座敷に下りた棒振りが掛布団を棒でめくってはねとばすところです。「立て」と言わんばかりで、これをきっかけに病人に扮していた人は立ち上がり、病気からの回復が見立てられます。

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ふるさと自慢雛鶴姫から命名された味わい豊かな「ひなづる漬」

シシゾウ:上野原市の食の名産品を教えてください。

原田さん:旧秋山村で昔から作られてきた長カブを丸ごと醤油で漬けこんだ漬物です。雛鶴姫伝説にちなんで「ひなづる漬」と名付けられ、地域の特産品になっています。

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メッセージ守り伝えてくれた先人のためにも継承に努めます

原田さん:無生野の大念仏は、地区の先人の方々が伝統を大切に守ってきてくださったおかげで国の重要無形民俗文化財に指定されました。だからこそ、なおのこと私たちの代で伝統を絶やすわけにはいきません。若い人は仕事が忙しいため、練習になかなか参加できませんが、伝統を継承しようという意欲は強いので、私もできる限り芸を伝えていきたいと思います。最近は、他所から見学に来られる方が増えました。参列してくださった方には行事終了後、大念仏の御札をお配りします。興味のある方はどうぞお越しください。

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※祭り紹介者 無生野大念仏保存会 会長 原田 住治(はらだ すみはる)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

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