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毛越寺常行堂二十日夜祭

祭り紹介

歴史春祈祷の結願の日に行われる夜祭りに年頭の厄祓い行事が合体

シシゾウ:毛越寺常行堂二十日夜祭は、どのような行事ですか?

藤里さん:毛越寺常行堂で行われる春祈祷で、世の中の平和や人々の幸せを祈ります。昔から続く伝統のある行事ですが、いつ始まったかははっきりしていません。
常行堂は、毛越寺を開山した慈覚大師円仁(じかくだいしえんにん)が唐に渡って修めてきた念仏三昧(ねんぶつざんまい)を行う道場です。御本尊は、姿が独特な宝冠の阿弥陀如来様です。その守護神として祀られているのは秘仏の摩多羅神(またらじん)で、地元では、農作物の神様として信仰されてきました。春祈祷を摩多羅神祭と呼ぶこともあります。

シシゾウ:二十日夜祭という名称は何に由来するのですか?

藤里さん:春祈祷は1月14日から1週間続き、15日にはその年の農作物のできを占う作様(さくだめし)などが行われます。祈祷が終了する結願の日が20日で、その日の夜に催される祭りなので二十日夜祭と呼ばれます。
二十日夜祭は、国の重要無形民俗文化財に指定されている延年の舞と常行三昧供を含む寺の行事と、常行講(じょうぎょうこう)という毛越寺の信者団体が執り行う行事に大きく分かれます。
常行講の行事が春祈祷に加わったのは明治15年(1882)からで、行事の内容は変遷してきました。始まった当初は、岩手県奥州市水沢区黒石寺から伝えられた蘇民祭(そみんさい)そのままに行っていました。蘇民祭は、夜を徹して裸の男たちが縁起物の護符が入った蘇民袋の争奪戦を繰り広げる厄祓いの行事です。昭和40年(1965)以降は、蘇民祭の形式を変え献膳上り行列として行われるようになりました。

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みどころ厄年の老若男女が行列してお堂に上がり、厄祓いを祈願する献膳上り行列

シシゾウ:当日のスケジュールを教えてください。

藤里さん:常行堂の行事は午後3時の献膳式から始まります。常行堂の御本尊である阿弥陀如来と守護神の摩多羅神に供物を捧げる儀式で、御本尊には花献膳という水引などで作った花の膳、農作物の神様である摩多羅神には野菜献膳という野菜の膳をお供えします。花献膳、野菜献膳を勤めるのはそれぞれ世襲の永代献膳者で、昔は各家から行列を仕立てて常行堂まで献膳物を運びましたが、現在行列は行っていません。
午後4時からは、常行三昧供(じょうぎょうざんまいく)という古式の修法が行われます。常行三昧供は年に一度、二十日夜祭のときのみ行われるもので、口伝で先輩僧から後輩僧へ伝えられています。このとき行われる声明(しょうみょう)は一般的な天台宗の法要とは異なる独特の節回しが特徴です。

シシゾウ:常行講の行事について教えてください。

藤里さん:献膳上り行列は寺の行事と同時並行で進行します。参加するのは、42歳の厄年の男性を中心とする厄年の男女で、厄年の男性は下帯のみをつけたほぼ裸体です。ほかに鬼子(おにご)と呼ばれる、数え年で7歳の子どもも健やかな成長を願う親と一緒に参加します。献膳上り行列は檀家以外の方も参加でき、東京など遠方から来られる方もいらっしゃいます。
献膳上り行列が出発するのは午後7時半です。常行講の分講ごとに集まりお祓いを受けた参加者は、スタート地点であるJR平泉駅に集合し、大たいまつの灯に先導されて1本の行列になり、常行堂まで約1キロの道のりを進みます。午後8時、献膳上り行列の一行は堂内に入り、野菜などの供物を捧げ、護摩を焚いて行われる厄祓いの祈祷を受けます。それが終わると堂の外で厄男たちによる蘇民袋の争奪戦が行われます。午後9時前には常行講のすべての行事が終了します。行事の参加者や参詣の人たちが帰路につき、境内が静まりかえるころ、常行堂で延年の舞の奉納が始まります。

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注目ポイント中世芸能の往時の姿を伝える延年の舞

シシゾウ:延年の舞のみどころを教えてください。

藤里さん:延年とは寺の法会(ほうえ)のあとに催される歌舞などの芸能全般を指し、神仏の心をおなぐさめするために演じられます。延年の舞が最も盛んだったのは、平安時代から室町時代にかけてです。奈良の興福寺や東大寺、多武峰(とうのみね)、比叡山延暦寺など各地の寺院で行われていましたが、現在までその伝統を継承しているのは毛越寺を含め、数えるほどしかありません。また、同じ延年であっても内容はそれぞれの寺院で異なります。毛越寺の延年の舞は、平安時代後期から鎌倉時代にかけて流行した田楽などの芸能を当時のまま伝えているといわれています。舞らしい舞が多いのも特徴です。そのうちのひとつ、唐拍子(からびょうし)とも呼ばれる路舞(ろまい)は、慈覚大師円仁が唐の霊山、五台山(ごだいさん)を巡礼したときに二童子が現れて舞を舞ったといわれ、毛越寺を開山するときにも童子が現れたという故事にちなんだ舞です。
延年の舞を勤めるのは毛越寺の本坊と子院十七坊の僧侶とその子弟で、現在20名ほどいます。私は5歳ごろから舞の稽古をはじめました。現在は深夜12時には終了しますが、昔は進行がゆったりとしていて朝までかけて行っていました。私が小学生の時までは昔のやり方にならっていて、眠い目をこすりながら夜通し起きていて、白々と夜が明けてから家に帰った記憶があります。

シシゾウ:特に注目の舞はありますか?

藤里さん:延年の舞の中で最も格式が高いとされているのが「祝詞(のっと)」です。舞ではなく、摩多羅神の御利益をたたえ、息災延命などを祈願する台詞を唱えます。ただし、発声はしないで、口の中でつぶやくので、お聞きになっている方々には何を言っているのか分かりません。ほとんど動きがないので芸能としてのおもしろみにはいささか欠けるかもしれませんが、毛越寺の延年ならではの演目といえます。祝詞を勤めるのは常行堂別当で、私の自坊である大乗院(だいじょういん)の役目です。私は41歳のときに先代から役目を引き継ぎました。祝詞を勤めるにあたり11月7日から1月20日までの75日間は身を清める行を行います。
動きがあり楽しくご覧頂けるのは最後に奉納される京殿有吉舞(きょうどのありよしまい)ではないかと思います。または、勅使有吉舞(ちょくしありよしまい)ともいいます。京の都から下向した勅使が、京都から戻ってきたばかりの有吉という従者に懐かしい都の様子を尋ねるという筋で、約50分の狂言風の舞の中に謡や雅楽など多彩な芸能が含まれています。
延年の舞は一般の方もご参観いただけます。堂内に100人ほど入れますし、外からもご覧いただけます。なお皆様のご協力のもと、写真撮影はご遠慮いただいています。お堂の中ではストーブを焚いていますが、寒いのでしっかり防寒対策をしてお越しください。終わるのが深夜になりますので、お帰りの際、足元が危なくないように懐中電灯もご用意ください。

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ふるさと自慢餅食が伝統。餅料理のバリエーションも豊富

シシゾウ:平泉町の特産物を教えてください。

藤里さん:平泉町とお隣の一関市を代表する食べ物といえば餅です。あんこやごま、変わったところでは沼エビなど餅料理のバリエーションが豊富で、冠婚葬祭の料理には必ず餅が出ます。よく食べられるのは餅のフルコースで、最初に甘い小豆餡のあんこ餅、次にショウガの辛みが利いたしょうが餅、最後は雑煮で締めくくるというふうに食べる順番が決まっています。最近は若い人の感覚でアレンジされた餅料理が食べられるお店が増えています。

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メッセージ伝統の行事を通じて平泉の文化遺産に触れてください

藤里さん:二十日夜祭のような伝統行事は、伝統を守り伝える人材を育てていくことがなによりも大切です。それが、毛越寺庭園の世界遺産指定にもつながったように思います。この祭りを通じて、平泉文化の根幹の一端を感じていただければ幸いです。また、毛越寺や中尊寺など平泉の文化財を守っていくために皆様のご理解とお力をいただければ嬉しく思います。

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※祭り紹介者 毛越寺 貫主(かんす) 藤里 明久(ふじさと みょうきゅう)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

TV番組情報

TVI テレビ岩手

ダイドードリンコスペシャル

受け継がれる800年のかたち
~毛越寺常行堂二十日夜祭~(仮)

2/25(土)16:00〜16:55
TVI テレビ岩手にて放送!

雪に覆われ、静寂に包まれた奥州平泉・世界遺産の毛越寺。ここで、正月二十日に執り行われる磨多羅神の祭礼が、毛越寺常行堂二十日夜祭です。献膳式に続き古伝の常行三昧供の修法が行われます。また、松明を持ち常行堂まで練り歩き、無病息災、家内安全などを祈願する行列の他、最後に堂内では法楽として延年の舞が夜半まで奉納されます。幾度の火災によって、当時の景観の殆どは夢の跡…。それは、見る者それぞれの心に描くものとなりました。そんな形なき中でも、絶やすことなく綿々と受け継がれてきたのがこの祭りです。その様相は、当時の面影を、かたちとして今に継承しています。時代という時の流れは変わっても、この祭りだけは続いていきます…。

番組の放送局サイトへ

制作担当者からのメッセージ

奥州藤原氏三代によって栄えた平泉、その中心部にあるのが世界遺産の毛越寺です。しかし、幾多の災禍によって当時の面影を残すものはほとんど消失してしまいました。そんな古刹毛越寺に開山以来伝わるのが「毛越寺常行堂二十日夜祭」です。秘法として今も寺に伝わる「常行三昧供」が執り行われるほか、老若男女が松明を持ち、寺まで練り歩く「常行講」、そして最後には無形民俗文化財にも指定されている「延年の舞」が夜半まで奉納されます。建物や宝物などといった、今に歴史を伝えるものは夢の跡。しかしここには、祭りがあります。それが、かつての面影を綿々と語り続けているのです。形あるものは消え、時代が変わっていっても、この祭りだけは続いていきます。
番組内に登場する方々の表情や言葉を通して、少しでもこの祭りの魅力をお伝えできれば幸いです。

ディレクター 高橋芳

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TV番組情報

ダイドードリンコスペシャル受け継がれる800年の
かたち~毛越寺常行堂
二十日夜祭~(仮)

2/25(土)16:00〜16:55
TVI テレビ岩手にて放送!

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