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見付天神裸祭

見付天神裸祭

祭り紹介

歴史見付地区の氏神様が遠江国総社におわたりする
8日間の祭礼

シシゾウ:見付天神裸祭は、いつごろ始まりましたか?

鈴木さん:諸説がありますが、約1000年の歴史があるといわれています。見付地域の氏神様にあたる矢奈比賣神社(見付天神社)の例祭で、御祭神が神輿に乗って氏子地区を練り歩き、遠江(とおとうみ)国総社の淡海國玉(おうみくにたま)神社へおわたりし、翌日お戻りになる祭りです。

シシゾウ:裸祭と呼ばれるのはなぜですか?

鈴木さん:神輿の渡御に先立って、ふんどしと腰蓑だけをつけた氏子の男衆が氏子地区や神社拝殿で鬼踊りといわれる勇壮な練りを繰り広げることに由来しています。この練りは、反閇(へんぱい/へんばい)といって大地を踏みしめ、悪霊を鎮める祓い清めの儀式の意味合いがあります。男衆がふんどしと腰蓑しか身につけないのは、自身が清浄であることの証しで、腰蓑は注連縄を意味しています。
この祭りは男衆の練りが注目されますが、実際は祭事始(さいじはじめ)、御斯葉(みしば)下ろし、浜垢離(はまごり)、御池(みいけ)の清祓(きよはら)い、例祭、御本祭(裸祭、神輿の渡御、還御)という一連の行事が8日間にわたって執り行われます。

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みどころ梯団の道中練りは迫力満点。
拝殿内の鬼踊りで練りは最高潮に

シシゾウ:祭組について教えてください。

鈴木さん:氏子28町はそれぞれ伝統である祭組名を持ち、いくつかの祭組には「役」があります。例えば、私が所属する二番町は、祭組名を二番触(にばんぶれ)といい、触番(ふればん)という役を務めます。触番は、練りや神輿渡御の前触れをするときに鈴を振る役目で、一番触、二番触、三番触とあります。触番以外の祭組は鈴に触れることは許されません。ほかにも、梯団のまとめ役の親町(おやちょう)、神輿渡御で担ぎ手を務める輿番(こしばん)、神輿をガードする〆切(しめきり)という「役」があります。これらの「役」は持ち回りではなく、ずっと同じ祭組が務める慣わしです。それぞれの祭組の役割がはっきり決められていることが、生まれ育った町への誇りを育んでいると思います。

シシゾウ:男衆の練りについて教えてください。

鈴木さん:例年、練りには、1000人を超す男衆が参加します。練りの正装は上半身裸で、晒しのふんどしに腰蓑、黒足、袋わらじを着け、頭には祭組の印が入った手拭いを巻きます。午後9時、各祭組は、ダシと呼ばれる万灯を先頭に自分たちの町内から練りを開始します。これに先立ち梯団となる祭組同士で挨拶回りをします(刻限触れ・渡付け)。「オイッショ オイッショ」の掛け声に合わせて練りながら、4つの梯団を形成します、そして地域を練りながら最終的に見付矢奈比賣神社を目指します。旧東海道(見付宿場通り)で行われる梯団同士の擦れ合いはみどころのひとつで、路上が裸の男衆と見物客で埋め尽くされて壮観です。
午後11時過ぎ、各梯団は順次、神社に到着し、「堂入り」といって拝殿に時間差でなだれこみ、鬼踊りといわれる乱舞を繰り広げます。拝殿内にひしめきあった男衆はゆるやかに右回りしながら体を前後左右に揺すり、ドンドンと足を踏み鳴らします。時間の経過とともに乱舞は激しさを増し、人の肩の上に乗る男衆も現れます。肌と肌が擦れあって、痛いので天井からはスプリンクラーで水が噴霧されます。
私の祭組は触番なので、鬼踊りの最中も鈴を振ります。拝殿内で鈴を振れるのは1人だけです。鈴に合わせて皆が足を踏み合わせてくれると気分は最高です。ただし、鈴の取り合いになるのでそう長くは振れません(笑)。余談になりますが、振り続けられる鈴の鈴口は摩擦熱による金属の膨張で音が出にくくなるため、鈴持役は複数の鈴を用意しています。

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注目ポイント動と静、暗と明の対比が鮮やかな渡御と還御

シシゾウ:神輿の渡御と還御のみどころを教えてください。

鈴木さん:午前0時を回り、鬼踊りが最高潮に達するころ、拝殿奥の弊殿では、「渡御報告祭」が執り行われます。その後拝殿近くの「山神社」に於いて山神社祭が執り行われます。宮司の祝詞の合図で神輿に先立って一番触から順番に鈴を振りながら坂を下ります。二番触れが出る煙火の合図で境内はもとより、地区内の灯りという灯りは全て消されます。神社参道では、神輿は腰に抱えられて運ばれます。神輿の後ろにはお供の男衆たちが続きます。このとき、男衆たちが勢いあまって神輿に近づきすぎないようにする役目が「〆切」で、榊の枝で地面を叩いて、拝殿から出てきた裸衆をこれ以上近づいてはいけないと制止します。坂道を下りきると、輿番の男衆たちは神輿を肩に担ぎ上げ、1キロ近く離れた淡海國玉神社へ向かって疾走します。神社に到着した神輿が着座されると、煙火の合図で地区に灯りが灯ります。男衆は拝殿西側の「腰蓑納め所」に腰蓑を納めて御大祭の1日目は終了します。
還御は翌日の夕方にスタートします。神輿は稚児行列に先導された鳳輦車(ほうれんしゃ)に乗せられて、ゆったりと巡幸して行きます。渡御と還御は、動と静、暗と明と、ことごとく対照的で必見です。
暗くなった拝殿前では提灯を持った氏子たちが出迎え、神輿は御神霊(みたま)振りといって何度も高く振り上げられ、氏子たちも神輿に合わせて提灯を上下に振って応援します。8日間にわたった祭りの締めくくりにふさわしい最後の見せ場で、振り上げの回数は優に100回を超えます。

シシゾウ:そのほかのみどころも教えてください。

鈴木さん:大祭7日前に行われる「祭事始め」は見付の北東の「元宮天神社」へ大祭の始まりと「御斯葉おろし」実施を報告します。「御斯葉おろし」とは当夜10時から消灯された神輿の通り道である13カ所に「榊」を立てて祝詞を奏上して渡御・還御の無事を祈願するものです。
大祭の3日前、見付地区の皆老いも若きも、男も女も大勢で「浜垢離」に出かけます。行われるのは見付地区から8キロほど離れた遠州灘の福田海岸です。昔は、屋形船を仕立てて出かけていましたが、昭和29年(1954)からバスでの移動になりました。浜垢離に参加できるように地元の小・中学校はこの日、休みになります。
あまり知られてはいませんが、御大祭の前日に行われる御池の清祓もご覧になると興味深いと思います。浜垢離で持ち帰った海水と浜砂で社殿や境内をお清めする神事で、これが始まると氏子の私たちは、いよいよ裸祭が始まるなと期待に胸が膨らみます。

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ふるさと自慢見付天神裸祭に欠かせない伝統の“粟餅”

シシゾウ:磐田市の食の名産品を教えてください。

鈴木さん:見付天神裸祭に欠かせない食べ物は粟餅です。粟で作った餅をこしあんでくるんだもので、ぷちぷちした独特の食感とあっさりした甘さが特徴です。以前は祭り当日だけ製造販売されていましたが、最近は、見付名物として年中販売する和菓子店が増えています。

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メッセージ昔ながらの信仰が息づいていることを感じていただける祭りです

鈴木さん:8日間にわたる祭りの全日程をご覧いただくのは難しいと思いますが、渡御と還御はぜひご覧いただきたいです。年に一度、神様が氏子町内にお出ましくださることを氏子が心待ちにしている姿を通して、昔ながらの信仰が地域に息づいていることを感じていただきたいです。

金田さん:拝殿の鬼踊りは狂喜乱舞という表現がまさにふさわしく、氏神様に近づくことができるかけがえのない時間だと思います。氏子の皆さんの思いが詰まっている祭りなので、その点をご理解いただいてご覧いただければ幸いです。尚、見学される皆様には交通規制を守って頂く事、暗闇を創出するため神輿渡御時の喫煙や携帯電話の使用を控えて頂く事、渡御・還御ともに神輿をを見下ろす事は控えて下さい。

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※祭り紹介者 見付天神裸祭保存会 会長 鈴木 亨司(すずき きょうじ)さん、矢奈比賣神社 禰宜 金田 憲和(かねだ のりかず)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

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