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熊野速玉大社 御船祭

祭り紹介

祭り写真館

11/7
公開

歴史約1800年の伝統を持つ、熊野速玉大社最大の祭礼

シシゾウ:御船祭は、いつごろ始まりましたか?

上野さん:文献を見ると、約1100年前に少将内侍(しょうしょうのないし)という歌人の女性が御船祭について「三熊野のうらわに見ゆるみふねじま かみのみゆきに漕ぎめぐるなり」と詠んだ歌が『夫木和歌集(ふぼくわかしゅう)』という歌集に載っています。このことから御船祭はその当時、全国的に知られた祭りだったと考えられるので、熊野速玉大社のご創始と同じ1900年近い歴史があるといわれています。
御船祭は熊野速玉大祭の神事のひとつとして行われるもので、前日の15日には主祭神の熊野速玉大神が熊野の地にご来臨した様子を再現した神馬渡御式(しんめとぎょしき)が行われ、熊野速玉大神の御神体が神馬に乗って市内を渡御した後、御旅所に行って古式にのっとった神事を行い、再び御本殿に戻られます。16日の御船祭は、熊野速玉大神のお妃である熊野夫須美大神(くまのふすみおおかみ)のご来臨を再現した神事で、御殿から御旅所に神様が渡御されるという大きな流れは神馬渡御式と共通しています。

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みどころ櫂引きの音も勇ましく、9隻の早船が競って川を漕ぎ上がり、御船島の周りを3周

シシゾウ:御船祭当日の流れを教えてください。

上野さん:神様の出立に先立って午後1時半から渡御に奉仕する人たちが御盃の御神酒をいただいて身を清める御出立(おたち)の杯という儀が行われます。その後、熊野夫須美大神がまつられている御本殿で神輿渡御式が行われます。前日に行われる熊野速玉大神の渡御は男神なので神馬に乗り、弓や剣、鞭を持った人たちを従える勇壮なものですが、熊野夫須美大神は女神なので神輿に乗って渡御されます。御神体を遷した神輿は市内を少し回ってから下札場(しものふだば)と呼ばれる熊野川の河原に向かいます。河原に到着すると御神体は、小型の神輿に遷され、正式名を「朱塗り神幸用船(じんこうようせん)」という朱塗りの神幸船に安置されます。
御神体が神幸船に遷られたのを合図に、氏子9町が出す早船9隻による競漕が始まります。神幸船の上流側から一斉にスタートした早船は、約1.5キロ上流にある御船島(みふねじま)を目指します。早船の漕ぎ手たちが立てるグイーグイーという力強い櫂引きの音が辺りに響いて迫力満点です。
元々、早船は神幸船を曳行していましたが、現在、その役目を担うのは諸手船(もろとぶね)です。諸手船は、昔から熊野速玉大社から見て対岸の鵜殿地区の住民が奉仕します。鵜殿地区は三重県に属しますが、熊野にご来臨された神様が現在の社殿地に移られる前に一時滞在されたという熊野の神様にゆかりの深い地です。私たち神職は、斎主船(さいしゅせん)といって、諸手船が曳航する神幸船を先導する船に乗り込みます。

シシゾウ:早船は御船島に着くとどうするのですか?

上野さん:時計周りに島の周囲を3周してから、島の真向かいにあたる上札場(かみのふだば)といわれる川岸にゴールし、順位が決まります。

シシゾウ:早船を出す地区は決まっているのですか?

上野さん:ほぼ固定されています。昔から熊野の神様に奉仕してきた地区で、そのときどきの事情で1、2区が入れ替わることがありますが9隻という数は厳格に守られています。
早船競漕で1位をとることは昔から名誉なこととされています。そのため、早船の漕ぎ手たちは9月に入ると、それぞれの地区の練習用の船に乗って櫂を揃えるトレーニングを始めます。お尻の皮が剥けるまで猛練習することも珍しくないそうです。夜、熊野川の川辺にいると、櫂を漕ぐ音が聞こえてくることがあります。そうすると「もうじき祭りだな」と感じます。

シシゾウ:神幸船も御船島の周りを回るのですか?

上野さん:回ります。早船が回った後、斎主船、諸手船と一緒に、時計回りに3周してから上札場に着岸します。御船島の周りを回るとき、諸手船の船上では、アタガイウチと呼ばれる赤の衣装に頭巾をかぶり、化粧をした女装の水先案内人が小さな櫂を手に、ハリハリ踊りと呼ばれる所作をして、漕ぎ手たちが「ハリハリショー」と掛け声をかけます。ハリハリ踊りは、「早くこちらへ」と神様を招いている姿といわれています。

シシゾウ:早船競漕は2回行われるそうですね。

上野さん:神事としての早船競漕は、下札場から上札場に上ぼる1回だけですが、上札場から下札場へ下だる競漕も行われます。神幸船とは別行動で御船島に上陸し、お供物を捧げる儀式を行っていた神官が、島から扇を仰いで手招きします。3回目に仰いだのを合図に、下りの早船競漕が始まります。9隻の早船は、御船島を逆時計周りに2周してから最初の出発地点ある下札場を目指します。神幸船一行も早船に続いて御船島を2周しますが、そのあとは再び上札場に戻ります。御神体はそのまま上陸し、元の神輿に遷られ、御旅所へと向かいます。

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注目ポイント古代の信仰の形を今に伝える浄闇の祭り

シシゾウ:御旅所で行われる神事について教えてください。

上野さん:御旅所はその昔、神様が熊野の地に来られて仮宮として最初にお鎮まりになった場所を再現したもので、杉の葉だけで作った一間四方の素朴な御殿です。神事の内容は神馬渡御式と共通で、神様が神輿所にお鎮まりになってから、童女が作った「オミタマ」と呼ばれる玄米をついて丸めて片栗粉をまぶした団子や、赤い魚(鯛)を塩で固めた掛魚(かけのうお)、勝栗(かちぐり)や銀杏など古来より守り伝えられてきた特別なお供物を神前にお供えします。

シシゾウ:御旅所神事で特に注目すべき点を教えてください。

上野さん:御旅所神事は、浄闇の祭りといわれ、静謐で厳かな雰囲気の中で行われます。特に、御船祭の御旅所神事は、前日の神馬渡御式よりも始まる時間が1時間ほど遅くなるので、辺りは薄闇に包まれます。参列者は一言も発さず、焚かれる松明の火がはぜるパチパチという音だけが聞こえる中、宮司が祝詞を奏上する声や御神楽の音が静寂に響きわたります。その場に身を置くと、私たちの祖先も感じたであろう御神霊を畏れ敬う気持ちが自然に湧き上がってきます。

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ふるさと自慢新宮っ子はみんな大好き、めはりずし

シシゾウ:新宮市の食の名産を教えてください。

上野さん:新宮を代表する郷土食がめはりずしです。高菜のお漬物で包んだ大きな握り飯で、昔は山仕事をする人や熊野川の筏師がお弁当がわりに携行しました。新宮の人たちは子どもから大人まで、この素朴なめはりずしが大好きです。スーパーには、めはりずし用のお漬物が売られています。

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メッセージ熊野速玉大社に詣でて、自然と共にある祭りを感じてください

上野さん:熊野速玉大社は全国の熊野神社の総本宮として崇敬を集めています。この神社最大の祭礼が熊野速玉大祭の御船祭と神馬渡御式、神倉神社御燈祭で、いずれも国の重要無形民俗文化財に指定されています。これらの祭りに共通するのは、熊野の自然を舞台にして行われることで、古来、日本人が自然に対して抱いてきた畏敬の念が込められています。
熊野速玉大社の“速玉”には、魂を光り輝かせるという意味があります。神社に参拝することによって人の魂は急速な成長を遂げます。昔、熊野速玉大社には「蟻の熊野詣」といわれたほど、多くの人々が遠路はるばる参拝に訪れ、辿りついた参拝者たちを歴代の宮司たちは身分を問わず等しく迎え入れました。参拝者たちは受け入れられたことで流す感動の涙で心を洗われ、再び生きる力を与えられます。この甦り体験が熊野の神髄だと思います。御船祭をひとつのきっかけに、熊野速玉大社にどうぞご参拝ください。

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※祭り紹介者 熊野速玉大社宮司/熊野速玉大社祭事保存会 会長 上野 顯(うえの あきら)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

TV番組情報

MBS 毎日放送

ダイドードリンコスペシャル

熊野速玉大社 御船祭
~誇りを胸に!神を導く早船~

11/10(金)24:20〜25:14
MBS 毎日放送にて放送!

御船祭は1800年以上続く伝統神事で熊野速玉大社の例大祭の一つです。熊野の神々が速玉の地に来臨した様子を再現した古儀は神代の時代絵巻を今に伝えるもので紀南地方随一の船祭として広く知られています。ご神体を乗せた神幸船(しんこうせん)を水先案内する船9隻に氏子区の若者がそれぞれ11人乗り込み約1.6キロ上流の「御船島」を3周して速さを競い合います。上半身裸姿の若者たちの威勢のよい掛け声に合わせて櫂を漕ぐと「ギシッ、ギシッ」という木がきしむ音と「ザッ、ザッ」という水を切る音が響き渡り、勇壮な競漕は迫力を増していきます。毎年、多くの人出で賑わう御船祭は平成28年3月に国の重要無形民俗文化財に指定されました。

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制作担当者からのメッセージ

ぎー、ぎー
熊野川の穏やかな流れに対し、早舟を漕ぐ荒々しい男たちの櫂の音が響き渡る…その豪快な音を聞き続けていると、なぜか心地よささえも感じました。1000年以上、受け継がれてきた御船祭を支える人々はとても温かく、時代と共に抱える困難に真摯に向き合っていました。1年に1度、本番およそ15分にかける熱い祭り人の思いを、この番組を通じて、多くの人に知って頂ければと思います。

MBS企画 ディレクター 長谷川力也

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TV番組情報

ダイドードリンコスペシャル熊野速玉大社 御船祭
~誇りを胸に!
神を導く早船~

11/10(金)24:20〜25:14
MBS 毎日放送にて放送!

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