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熊谷うちわ祭

祭り紹介

歴史江戸時代中期に、町民の総意によりスタート

シシゾウ:熊谷うちわ祭は、いつごろ始まりましたか?

藤間さん:熊谷うちわ祭は、疫病退散、五穀豊穣、商売繁盛を祈願して行われる八坂神社のご祭礼です。八坂神社は文禄年間(1592~)、当地に鎮座していた愛宕神社に京都の八坂神社の御祭神が合祀されたものです。
神輿が巡行する祭りが始まったのは、江戸中期の寛延3年(1750)です。現存する記録によると、旧熊谷町の各寺社がバラバラに行っていた祭りを統一して催したいということで、町民110名が通りを使用させてほしいという嘆願書を町役人に提出しました。その願いが聞きとげられ、町全体による祭りが行われるようになりました。このように、町民の総意に基づく町民が作り上げた祭りというのが熊谷うちわ祭の原点です。町民が中心になって祭りの一切を取り仕切るという伝統は現在まで脈々と息づき、この祭りの最大の特色になっています。
熊谷を代表する祭りとして市民に愛されている熊谷うちわ祭ですが、かつて娯楽の多様化などにより停滞した時期がありました。そこで今から10年ほど前に、祭りのより一層の活性化を図って抜本的な改革が行われました。その際、一番重視されたのは、神事とにぎわい祭りとのバランスです。神事の部分をきちんと行うと同時に、山車やお囃子などのにぎわい祭りの部分に感動の創出をこころがけました。そうした取り組みの成果により、今では延べ80万人の観客が訪れる“関東一の祇園”と呼ばれる祭りになりました。

シシゾウ:うちわ祭という名称の由来を教えてください。

藤間さん:天保年間(1830~)、祭り期間中に町内の商家が買物客に赤飯をふるまったことが評判になり、「熊谷の赤飯ふるまい」として祭りの名物になりました。しかし、暑い時期でご飯が傷みやすいなどの問題がありました。そこで、明治の中ごろに泉州楼(せんしゅうろう)という料亭の主人が、八坂神社と同じ牛頭天王(ごずてんのう)をまつる東京・神田明神の「天王祭」で神輿めがけてうちわが飛び交う光景を見たのをヒントに、東京の老舗「伊場仙」から渋うちわを買い入れ、赤飯のかわりに配りました。それが大評判になり、町内のほかの商店もうちわを配りはじめたため、いつしか、うちわ祭という名称が定着しました。

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みどころ山車・屋台とお囃子は江戸と北関東の祭りのいいとこどり

シシゾウ:熊谷うちわ祭の特色を教えてください。

藤間さん:第一の特徴は江戸の祭りの流れをくむ山車・屋台です。熊谷うちわ祭に初めて山車が登場したのは明治24年(1891)です。当時の熊谷は、日本の主要輸出品だった生糸の国内屈指の生産地で、町は活気にあふれていました。同じころ、江戸時代に徳川幕府の庇護を受けていた山王祭や神田祭は明治政府の締め付けによって昔のような盛大な祭りができなくなり、多くの山車が放出されました。そんな山車の1台を熊谷の第弐本町区(だいにほんちょうく)という町区が購入しました。それがきっかけになり、明治31年(1898)には、第壱本町区(だいいちほんちょうく)が、地元の大工と彫刻師を使って初めて熊谷製の山車を作りました。他の町内も後に続き、旧町内5ヵ町の山車が隊列を組んで通りを練り歩く巡行というスタイルが生まれました。その後も参加町内は増えていき、現在は12の山車・屋台によって巡行が行われています。
江戸の山車を起源とする熊谷の山車・屋台ですが、車輪の数は江戸の山車とは違います。熊谷の山車は三輪で、四輪の山車に比べると機動性が高く、90度に曲がることができるので狭い路地に入っていくことができます。また、江戸の山車は小型で簡素ですが、同じ埼玉県の川越まつりなどの影響を受けた熊谷では大型化が進み、彫刻などの装飾が華やかに施されています。
山車・屋台の巡行に欠かせないのがお囃子です。江戸の祭り囃子といえば神田囃子ですが、熊谷うちわ祭には、さんてこ囃子という埼玉県の県北地域に伝わる小太鼓を3つ使う勇壮なお囃子が導入されました。神田囃子で使われる摺(す)り鉦は直径が10センチほどですが、熊谷で使われるのは直径が約30センチと大型なので音が非常に大きく、遠くからでも山車の居場所が分かります。熊谷出身の作家、森村誠一氏は、熊谷うちわ祭のお囃子を聞くと悩みが解消すると語っておられます。それくらい勇ましい響きです。

シシゾウ:祭り組織にも特徴があるそうですね。

藤間さん:その年の祭り一切を取り仕切るのが年番町で、現在は熊谷の旧町8町が回り持ちで担当します。その年番町でトップを務めるのが大総代(だいそうだい)です。平成29年度の大総代は筑波(つくば)区の大谷公一氏です。祭り組織としては大総代の上部団体に熊谷うちわ祭協賛会と熊谷八坂神社祭礼行事保存会がありますが、その年の祭り執行に関しての全責任を負うのは大総代ただ1人です。それが熊谷うちわ祭の特徴のひとつです。
大総代の下はピラミッドになっていて、各町の大総代の下に総代が約10人、総代の下に祭事係が30名以上います。大総代、総代、祭事係の人数は12町を合わすと約700名で、さらにその下に祇園会などの若者の組織が約800人、子どもたちのお囃子隊が約1000人います。これだけ大勢の人たちによってこの祭りは支えられています。
もうひとつ、祭りの支え手で重要な役割を果たしているのが鳶(とび)の皆さんです。鳶は昔、火消しとして消防団の役目をしていました。熊谷には熊谷鳶組合という鳶職の組織があり、江戸火消から習った江戸木遣りを正しく伝承しています。木遣りの奉納とともに山車・屋台の舵をとるのも鳶の皆さんの役割です。

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注目ポイント4車線の国道を2日間交通規制して山車・屋台が巡行

シシゾウ:3日間それぞれのみどころを教えてください。

藤間さん:祭りのクライマックスは3日目の夕方6時からの曳っ合わせ(ひっあわせ)と叩き合いで、国道17号線の約3キロ区間が歩行者天国になり、山車と屋台が曳き回されます。午後8時になると、すべての山車と屋台は星川四つ辻のお祭り広場に集結し、お囃子を競演する叩き合いが行われます。午後9時からは年番送りといって、その年の年番町の大総代から次の年の年番町の大総代に年番札と呼ばれる木の札が渡されるセレモニーがあります。それまで一斉に鳴らされていたお囃子が、鳶の打つ拍子木を合図にピタッと止まり、観客が注目する中、裃をつけた大総代が年番札を渡され、歌舞伎役者のように見得(みえ)を切ります。叩き合いの“動”と年番送りの“静”の対比は鮮やかで、ご覧になった方々は全員、感動して帰られます。
お祭り広場の催しは1ヵ所に何万人という人が詰めかけてぎゅうぎゅう詰めになるので、もう少しゆっくり山車と屋台をご覧になりたいという方には2日目午後1時からの巡行祭をおすすめします。歩行者天国になった国道17号線を山車と屋台が巡行し、午後6時からは巡行叩き合いということで国道のそこかしこで山車・屋台がお囃子を競演します。4車線の国道を埋め尽くす人波をかきわけるように山車・屋台が曳き回される光景は実に壮観です。
1日目の夜には初叩き合いとして、JR熊谷駅の駅前広場で12台が揃ってお囃子を競演します。熊谷駅は上越・北陸新幹線の停車駅でもあるので、軽井沢など沿線にお出かけの際に立ち寄って見物していただくのもいいと思います。
数年前から山車・屋台の巡行をより見やすくするため、全国に先駆けてすべての山車・屋台にGPSの発信機をつけ、ホームページで1分ごとに位置情報をお届けしています。これが大変好評で祭り期間中に数万のアクセスがあります。このICTを活用した山車祭のシステムは、熊谷市にある立正大学の地球環境科学部と産学連携で共同開発しました。

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ふるさと自慢うどんをはじめ粉食文化が盛んな小麦の聖地

シシゾウ:熊谷市の食の名産品を教えてください。

藤間さん:江戸時代から生産されている小麦は、埼玉県で長年、収穫量1位を誇っています。芽を踏んで丈夫な根をはらせる麦踏みなどの栽培技術を編み出した権田愛三(ごんだあいぞう)氏は熊谷市の出身で、小麦の聖地ともいわれています。
地元産小麦で作る名物の第一はうどんです。今年秋に全国のご当地うどんが集結する「全国ご当地うどんサミット」は平成29年から3年間、熊谷市を会場に開催されます。溶いた小麦粉に野菜や肉などを混ぜて焼いたお好み焼き風のフライも熊谷名物です。

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メッセージ市民がひとつにまとまった祭りの熱気を感じにきてください

藤間さん:延べ80万人が訪れる規模の大きさでありながら、皆がひとつにまとまり、同じ方向を向いている祭りです。山車と屋台の巡行が始まったのは明治時代で歴史的にさほど古くはありませんが、将来を見据えたこれからの祭りというランキングがもしあれば必ず1位になると自負しています。熊谷うちわ祭が非常に元気だという評判を聞いて、全国から祭り関係者が見学に来られますし、祭りを研究している学生さんも大勢、調査に来られています。それだけ関心を持っていただける勢いが熊谷うちわ祭にはあるのだと思います。町民が作り、育てた祭りの熱気をぜひ感じにきてください。

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※祭り紹介者 熊谷うちわ祭協賛会 会長、熊谷八坂神社祭礼行事保存会 会長 藤間 憲一(とうま けんいち)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

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