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久井稲生神社 はだか祭

久井稲生神社 はだか祭

祭り紹介

歴史広島県最大のはだか祭。
平成30年に開催100回を数える

シシゾウ:久井稲生神社 はだか祭は、いつごろ始まりましたか?

有清さん:大正8年(1919)、地域振興のために、お隣の岡山県で2月10日に行われる西大寺会陽(さいだいじえよう)にならって行われるようになったもので、平成30年に100回目を数えます。はだかの男たちが一年の福を求めてお守りなどを奪い合う会陽のような行事が神社で行われるのは珍しいそうです。はだか祭の参加者は毎年300~400人を数え、広島県で最大のはだか祭ともいわれています。

シシゾウ:有清さんが所属される「久井中はじめ会」とはどのような会ですか?

有清さん:地元の久井中学校OBの間には、厄年の42歳にはだか祭に参加して厄を祓う慣習があります。「久井中はじめ会」は今から20年ほど前、私が厄年の年に、はだか祭に参加する同級生たちと祭りを盛り上げるために結成したものです。会では、はだか祭に参加するだけでなく、厄祓いの一環として母校へ記念品を寄贈したり、神社に燈籠や樽酒を奉納したりするのが伝統になっています。会はそれぞれに思いを込めた名前をつけ、会の名前を染め抜いた幟旗を作ります。私たちの「久井中はじめ会」という名称は、私たちの学年が合併して新しくなった久井中学校の第一回卒業生だったことにちなんだものです。「久井中はじめ会」は発足から年月が経ち、60人ほどいたメンバーのうち、今でもはだか祭に参加するのは数えるほどになりました。私は参加するものの、後輩の指導やお世話がメインになっています。現在、約20ある会の幟旗は私が自宅に保管し、祭りの1週間前に神社近くの県道沿いに並べて立てます。幟旗の中から同級生の会の旗を見つけて喜ぶOBやOGの姿をよく見かけます。
はだか祭は同窓生の絆を深める機会に良い機会になっています。祭前日の土曜には、各年度の同窓会が地区の集会所や個人宅など町内のあちらこちらで開かれます。そのときには盆正月に帰省できなかった人たちも大勢集まります。

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みどころ御福木の投下は2回。はだか男たちが体から湯気を上げて激しく奪い合う

シシゾウ:はだか祭の流れを教えてください。

有清さん:サラシのまわしと足袋だけを身につけたはだか男たちは夕刻、神社の近くを流れる御調川(みつぎがわ)をせきとめて作った禊場に入って禊をし、神社に向かいます。境内には四本柱(しほんばしら)と呼ばれる注連縄をはりめぐらした四本の木の柱が立てられています。厄年のはだか男たちは四本柱の中に入って勢いよくもみ合います。これは地押しと呼ばれ、身を清める意味があります。その後、神前にお参りし、社務所で参加申込をします。
はだか祭で男たちが奪い合う御福木は長さが七寸(約20センチ)、幅が一寸(約3センチ)のヒノキの角材で、陰と陽の2本があり、陰は赤い布、陽は白い布に包まれています。
午後9時、最初に陰の御福木が境内に設けられた櫓(やぐら)の上から神職によって、待ち構えるはだか男たちに向けて投下されます。御福木の落下地点に男たちはワッと群がり、人の渦ができ、熱気で男たちの体から白い湯気が立ち昇ります。
御福木を取った人は取得者と呼ばれます。取得者になるには、櫓の下にいる審判のところに御福木を持っていき、認定してもらわないといけません。運よくライバルに競り勝って集団の中から抜け出しても、審判のもとへ辿りつくまでに男たちに追いつかれ、再び集団に取り込まれてしまうということが何度も繰り返されます。開始からものの数分で集団からスルッと抜け出した人がそのまま逃げきってしまう場合も稀にありますが、2時間近く決着がつかない場合もあります。
はだか男たちは寒さ対策と勢いづけにお酒を飲んで争奪戦に臨むため、奪い合いは熾烈を極めます。渦の中心に頭から飛び込む人もいれば、倒れて人に踏まれてしまう人もいます。奪い合いがエスカレートして小競り合いが始まることもありますが、参加者の多くが同窓生の先輩後輩なので、誰かがすぐ仲裁に入って場が収まります。
陰の御福木の取得者が決定すると、餅まきをはさんで、陽の御福木が投下され、再び争奪戦が繰り広げられます。

シシゾウ:取得者になるとどうなるのですか?

有清さん:勝ち取った御福木は取得者のものになります。御福木は縁起物で、神棚に飾ると一年間家に幸福がもたらされるといわれています。そのほかに賞金と副賞の米1俵がもらえます。ちなみに陰の御福木の取得者の賞金は7万円なのに対して陽の御福木の取得者の賞金は10万円と高額に設定されています。陽の御福木投下のときには、参加者の多くは最初の争奪戦で疲れているので、体力を温存しておいて2回目の争奪戦で頑張るというのも作戦としてはありかもしれません(笑)。
私は18歳からはだか祭に欠かさず参加し、参加回数は40回を超えていますが、取得者になったことは残念ながら一度もありません。最近では参加することに意義があるというスタンスで、奪い合いの最前線に出て行くことはありません。そうは言いつつも、目の前に御福木が落ちてきたら絶対取ります(笑)。ただし、逃げ足が速かった若いころと違って今は足が回らないので、追いかけられたら数歩で転んでしまうのがオチだと思います(笑)。

シシゾウ:奪い合いの最中、はだか男たちに水が掛けられるのはなぜですか?

有清さん:奪い合いをする男たちのそばにはバケツで水を掛ける役割の人間が数名待機しています。「水を掛けるのは盛り上げるためですか?」とよく質問されるのですが、演出ではなく、きちんとした理由があります。御福木を争う集団の内側と外側の気温差は大きく、中心はサウナのように熱くなります。外側にいる男たちは寒くても、中心にいる男たちは暑くて仕方がありません。そこで、水を掛けて熱を冷ましてあげるわけです。
水を掛けるもうひとつの理由は火傷防止です。はだかの皮膚と皮膚がこすれ合うと摩擦熱が生じて火傷をしてしまいます。そうならないように水をかけて潤滑油がわりにします。

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注目ポイント一般参加の餅まきは、御福品がもらえるチャンス

シシゾウ:はだか祭は個人で参加できるのですか?

有清さん:誰でも無料で参加できます。当日の夜、社務所へ行って住所と名前を書いて申し込みをすればOKです。ただし、サラシのまわしと白足袋という神社が定めるスタイルを守らないと参加は取り消されます。参加者には終了後、御福木をかたどった参加章と厄除招福守と御神酒(300ミリリットル)が配られます。参加章の御福木は、本物の2分の1ほどのサイズで、表には「久井稲生神社」、裏には日付が書かれています。私は人に譲った以外は参加章を全部大切にとっていて自宅の神棚の隣に並べて飾っています。

シシゾウ:御神木の争奪戦の後に行われる餅まきについて教えてください。

有清さん:1回目の御福木争奪戦と2回目の御福木争奪戦の後に行われます。餅まきは誰でも参加自由で、これを楽しみにして来られる方も大勢いらっしゃいます。お餅はビニール袋の中に入っていて、お餅以外に御福品(おふくひん)と呼ばれる景品の引換券が入っている袋もあります。景品も人気の理由で、社務所に引換券を持っていくと、地元の商店などから寄贈された文房具や生活雑貨などが当たります。

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ふるさと自慢高原の豊かな自然に育まれた米や自然薯

シシゾウ:三原市の食の名産品を教えてください。

有清さん:久井稲生神社のある久井町(旧久井町)は、肥沃な大地と美しい水に恵まれた高原の町で、昔から米どころとして知られています。現在は、農業法人が中心となってコシヒカリなどを栽培しています。新しい特産品として数年前から話題を集めているのは町内の専門農園で作られる自然薯で、オリジナルの自然薯アイスクリームも人気です。ブロイラーファームで作られるスモークチキンも人気商品です。

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メッセージ見物するより参加する祭り。
楽しいことは保証します

有清さん:2月の夜で寒いですが、見るよりも参加したほうが絶対楽しい祭りです。たとえ御福木が取れなくても、参加するだけで無病息災の御利益があるといわれています。地元以外からの参加は少なくなく、関東や九州など遠方から来られる方もいらっしゃいます。私の知人は、一度参加したらやみつきになって毎年参加しています。一度経験されたら良い思い出になることは保証しますので、ふるってご参加ください。

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※祭り紹介者 「久井中はじめ会」世話人 有清 勝洋(ありきよ まさひろ)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

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