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鬼来迎

祭り紹介

歴史鎌倉時代に仏教布教のために上演されたのが起源

シシゾウ:鬼来迎はいつごろ始まりましたか?

道澤さん:詳細は分かっていません。鬼来迎を伝承する虫生地区に残る言い伝えによると、鎌倉時代、当時の新仏教だった浄土教を布教するため、仏教を信仰すると極楽往生できるということを庶民に分かるように仮面劇に仕立てて上演したのが始まりということです。同種の仏教仮面劇は虫生地区周辺の寺院でも演じられていたようですが現存するのは虫生地区の広済寺で上演される鬼来迎だけです。昭和51年(1976)には国の重要無形民俗文化財に指定され、平成3年には出演依頼を受けて東京の国立劇場で上演されました。

シシゾウ:鬼来迎を伝承する虫生地区はどのような地区ですか?

道澤さん:虫生地区は中世以来の集落景観を残す農村です。現在の世帯数は24世帯で、各世帯の当主の方々が「鬼来迎保存会」の会員になって伝統を守っています。平均年齢は60歳前後とやや高めですが、数年前に若い人が3名加わりました。

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みどころ黒鬼、赤鬼、閻魔、鬼婆が織り成す地獄絵図。最後に仏が登場して大団円

道澤さん:鬼来迎は、地獄の責め苦と仏による救済を描いた「大序(だいじょ)」「賽(さい)の河原」「釜入れ」「死出(しで)の山」と広済寺建立の縁起にちなんだ「和尚道行」「墓参」「和尚物語」の全七段で構成されています。現在上演されるのは最初の四段で、広済寺建立縁起の三段は時間の関係で現在は上演していません。劇の台本はなく、台詞などはすべて口伝で伝承されています。
上演時間は約1時間です。10年以上前は2時間近くかけて上演していましたが、暑いさなかに野外で見る観客の皆さんの負担を考慮し、幕間を短くするなどして時間を短縮しています。

シシゾウ:上演される場所はどこですか?

道澤さん:広済寺の境内で、地蔵堂と呼ばれた本堂のあった場所に特設舞台を設けて上演します。舞台の設営は上演の約1ヵ月前で、稽古もそこで行われます。舞台の隣には「死出の山」の段に登場する山に見立ててやぐらも組まれます。
当日は会場の境内に座席が約60席用意されます。満席になれば立ち見でご覧いただくことになります。戦後すぐの鬼来迎の様子を撮影したフィルムを見ると、すごい人数の観客が全員立ち見で舞台を見ていました。おそらく地元の人だけでなく近隣の集落の方々も見に来られていたのだと思います。

シシゾウ:仮面劇ということですが、使用される仮面は古いものですか?

道澤さん:室町時代から江戸時代にかけての製作と推定される仮面が伝わっていて、県の有形文化財に指定されています。そちらは現在保管されていて、上演の際には新たに製作した仮面を用いています。

シシゾウ:劇の各段の内容を詳しく教えてください。

道澤さん:地獄に行った大悪人の死者が閻魔(えんま)大王に裁かれ、鬼たちに折檻されますが観音菩薩によって救われるというのが全体のストーリーです。
各段の内容について説明します。「大序」の舞台は地獄の閻魔大王の裁き所です。閻魔大王、倶生神(ぐしょうじん)、鬼婆(おにばば)、黒鬼、赤鬼が登場し、女亡者の生前の罪を裁きます。仏教を信仰しない大悪人という判決を下された女亡者は鬼たちに連れ去られます。「賽の河原」では亡者と幼児の亡者たちが賽の河原で石を積んで遊んでいるところに黒鬼、赤鬼がやってきて亡者たちを追い立てます。そこに地蔵菩薩が現れ、鬼たちを追い払い、亡者たちを救います。「釜入れ」では閻魔大王の裁きを受けた女亡者が黒鬼、赤鬼、鬼婆によって釜茹でにされます。「死出の山」では、女亡者が黒鬼、赤鬼に死出の山に追い立てられ、責め苦を受けます。そこに観音菩薩が現れ、女亡者を救い、極楽浄土へと導きます。

シシゾウ:演じるのが難しい役はありますか?

道澤さん:黒鬼と赤鬼はほかの役に比べて動きが激しいので、若い人が務めます。「鬼来迎」というタイトルにも鬼という文字が入っていますし、ある意味、主役といってもいいかもしれません。「賽の河原」に登場する幼児の死者は、虫生地区や近隣地区の子どもたちに出演してもらっています。

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注目ポイント鬼婆に抱いてもらって、赤ちゃんの健やかな成長を祈願

シシゾウ:鬼来迎で特に注目の場面はありますか?

道澤さん:鬼来迎は地獄の様子をリアルに描いていることから地獄劇といわれることが多いのですが、劇の主題は仏を信じれば救われるという仏教のすばらしさです。だから、「賽の河原」の段で地蔵菩薩、「死出の山」の段で観音菩薩が登場し、苦しんでいる亡者を救うシーンが一番重要なシーンだと思います。

シシゾウ:登場人物のひとりである鬼婆が一般参拝客の赤ちゃんを抱きますが、どのような意味があるのですか?

道澤さん:鬼来迎の鬼婆は、死者が渡るとされる三途(さんず)の川にいる奪衣婆(だつえば)です。この老婆の鬼に赤ちゃんが抱かれると、夜泣きをさせる「疳(かん)の虫」を封じることができるといわれています。昔は地元の赤ちゃんだけでしたが、近年はわが子の健やかな成長を願う親御さんが遠方からも訪れるようになりました。最近は毎年20人ほどの赤ちゃんが来られるので「大序」が始まる前にそのための時間を設けています。

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ふるさと自慢加工場直送の豚モツは鮮度良好。もつ鍋、もつ煮が名物

シシゾウ:横芝光町の食の名産を教えてください。

道澤さん:横芝光町は地理的には海が近いのですが農業が主体の町です。特産は長ネギで、トウモロコシ、トマトなども生産しています。養豚業も盛んで、町内には町営の食肉加工場があります。食肉加工の副産物として出てくる新鮮な豚モツを使ったもつ鍋やもつ煮は地元でよく食べられる家庭料理で、もつ鍋やもつ煮が名物の人気店もあります。

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メッセージ盆行事として淡々と営んできたことが長く続いてきた秘訣です

道澤さん:虫生集落の皆さんは全国で唯一現存する古典仏教劇を伝承していることに誇りを持っておられますが、特別な気負いはなく、昔からしてきたように虫生集落24世帯で結束し、淡々と続けていくのみだと日頃からおっしゃっています。小さな集落で大がかりな伝統芸能を継承するのは容易なことではありませんが、理屈抜きに行うべき行事として自然体で取り組んでいるところが長く続いてきた秘訣だと思います。
虫生集落の皆さんにとって鬼来迎は大切な盆行事であり、楽しみのために行う祭りではありませんが、一般の方もご覧いただけます。私は県外の出身なので社会人になってから鬼来迎を初めて見たのですが、昔ながらの仮面劇が廃れることなく伝承されていることに感動しました。興味のある方は暑い時期ですがぜひお越しください。

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※祭り紹介者 横芝光町教育委員会 社会文化課 道澤 明(みちざわ あきら)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

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