トップページ
 >  祭り紹介 >  今年応援する祭り >  献燈祭六月灯 科長神社のからくり花火

献燈祭六月灯 科長神社のからくり花火

献燈祭六月灯 科長神社のからくり花火

祭り紹介

歴史旧島津藩領が祭り一色になる六月灯

シシゾウ:献燈祭六月灯 科長神社のからくり花火は、いつごろ始まりましたか?

前田さん:献燈祭六月灯は旧島津藩の地域で初夏に行われる行事で、第19代島津藩藩主光久公が鹿児島城下の観音堂落成の記念に燈籠を奉納したことに領民たちも倣って、燈籠を奉納したことが起源とされています。都城市は宮崎県ですが旧島津藩領で、7月に入ると市内125ヵ所の神社や公民館で、地域住民による燈籠や歌舞の奉納が行われます。六月灯に欠かせないものが花火で、ほぼ毎日といっていいくらい市内のどこかで花火が打ち上げられます。
科長神社のからくり花火は、江戸時代の末期、約160年程前に始まったといわれています。戦時中は、一時花火奉納が途絶えましたが、戦後、私の父が伝統を絶やしてはいけないと再興し、現在に至っています。
昔、からくり花火の製法は秘伝で、七家(ななけ)という氏子の7軒の家の長男から長男へ、口伝や符号で代々伝えられてきました。戦後、再開するにあたって七家の人から製法を教わったそうです。現在は、からくり花火保存会が技を継承しています。法律の規制があるため、火薬だけは専門業者から仕入れていますが、それ以外は製法も材料も道具も先人の教え通りです。

ページ先頭へ

みどころからくり花火作りは竹探しから。
すべて手作業でほぼ1年がかり

シシゾウ:からくり花火作りについて教えてください。

前田さん:科長神社のからくり花火は綱火ともいい、境内の立木を利用して縦横に張り巡らされた30本の麻綱をリレー方式で竹筒に詰めた花火が火花を吹いて走ります。
からくり花火作りでまず苦労するのが火薬を詰める竹を用意することです。地元でシノメダケと呼んでいる竹を使うのですが、内径が1.5~2センチあるサイズを探すのが大変で、鹿児島県の山まで遠征します。竹を伐る時期は竹が水分を吸い上げるのを休止する11月と決まっています。伐り出した竹は乾燥させ、いい箇所だけを選んで12センチの長さに切り、中をきれいに掃除してから火薬を詰めます。走らせる麻綱の長さによって火薬の量は精密に調整します。竹筒にまず少量の火薬を入れ、込め棒を竹筒の中に入れて木槌でトントンと叩いて固く締め、その上から柿渋を少量入れ、さらに火薬を入れて叩くといった具合に火薬と柿渋の層を作ります。この叩く作業が大変で、1本を完成させるのに叩く回数は約8000回に及びます。これでも昔に比べると少なくなったほうです。仕掛け花火は予備を含めると30本以上作らないといけないので火薬詰めだけで丸1日かかります。
花火を走らせる麻綱を張る作業は当日に行います。午前8時から始めて午後3時ごろまでかかります。麻縄は水分を吸うとたるんでしまうので何度も点火直前まで張り直しが必要で重労働です。

ページ先頭へ

注目ポイント点火からフィナーレのナイアガラまで3分15秒の花火リレー

シシゾウ:からくり花火当日のスケジュールを教えてください。

前田さん:六月灯の行事として、氏子3地区による舞踊奉納が夕方から午後9時まで行われます。境内にある舞台で、子どもたちによる浦安の舞を皮切りに、3地区がそれぞれ8演目を披露します。それが終わるとからくり花火の奉納です。
午後9時、宮司が御神火にて社殿スタートの花火に点火すると、麻縄に通した竹筒につけられた花火は火花を勢いよく散らしながら綱を伝って走ります。綱と綱の中継点に着くと、火花で次の花火の導火線が点火します。同時に中継点に仕掛けられた竹鉄砲という仕掛け花火が華々しい炸裂音を立てます。そうやって、境内にクモの巣のように張り巡らされた30本の麻綱を仕掛け花火が順々にリレーし、境内全域を祓い清め駆け巡ります。又中間には火車四連仕掛け、最後の花火は神社拝殿の背面を通り、ゴールのナイアガラの仕掛けに点火し、華々しいフィナーレを迎えます。花火作りはほぼ1年がかりですが、最初の点火から最後のナイアガラに着火するまでわずか3分15秒です。

シシゾウ:成功率はどのくらいですか?

前田さん:私がからくり花火作りに参加するまでは一度も成功したことがなかったそうです。昔ながらのやり方にこだわっていることだけでなく、試技ができず、ぶっつけ本番という点も条件を難しくしています。成功させるために私は花火作りのすべてを記録に取り、失敗の原因を探りました。そうして、少しずつ改善を重ねることによって、途中で止まらずに最後まで行くことができるようになりました。それでも約40年間で成功したのはわずか6回です。経験を重ね、毎年同じようにやっているつもりなのに失敗してしまう事が多々有ります。だからこそ成功したときの喜びはひとしおです。

シシゾウ:花火が途中で止まったらどうなるのですか?

前田さん:保存会のメンバーがはしごを使って止まった花火に再点火して仕切り直しをします。失敗すると、他所から来られた方からたまにお叱りを受けることもありますが、氏子の皆さんは、成功させることがいかに難しいかをよくご存じなので、温かく見守ってくださいます。綱から綱へと走る花火を境内にいる全員が祈る思いで見つめる時間はかけがえのないものです。成功したときは参拝者の皆さんから「万歳」の声が上がり、拍手喝采です。なお、昔からの言い伝えで、からくり花火の火花を浴びると健康になるとされています。

ページ先頭へ

ふるさと自慢和牛のトップブランド、都城和牛

シシゾウ:都城市の食の名産品を教えてください。

前田さん:特産は黒毛和牛の都城和牛で、トップブランドとして全国的に有名です。からくり花火保存会のメンバーにも生産者がいます。焼酎の原料になるサツマイモの生産も昔から盛んです。

ページ先頭へ

メッセージ神様に喜んでいただくことが氏子の幸せ。
安全第一でからくり花火の伝統を守ります

前田さん:からくり花火は、科長の神様に氏子の皆さんの五穀豊穣や無病息災、延命長寿、家内安全を祈念して奉納する特殊神事です。神職として、また、からくり花火保存会の一員として、神様に喜んでいただくことで私たちも幸せをいただけるという思いで毎年、からくり花火作りに取り組んでいます。正直、失敗が続いた時期は何度もやめようと思いました。それでも六月灯の季節が近づいてくるとソワソワしてきて、「今年も頑張ろう」という気持ちになります。現在は平均年齢が高かった保存会に若い世代が加わってくれているので心強いです。これからも氏子の皆さんが祭りを通して地域を誇りに思い、多くの人々が喜んでくださることを励みに安全第一で伝統を継承していきたいと思います。

ページ先頭へ

※祭り紹介者 科長神社 宮司/からくり花火保存会 会長代行 前田 瑞臣(まえだ みずおみ)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

  • 日本の祭り 名産品
  • 祭り写真館
  • 祭りカレンダー
  • 注目の祭り
  • 吉村作治先生の祭り考察
  • これまで応援した祭り
  • ダイドードリンコ日本の祭りチャンネル
  • DyDo online shop

日本の祭りポスターをプリントしよう!

ダイドードリンコは「NPO(特定非営利活動法人)日本の祭りネットワーク」に加盟しています。

(ピックアップ!)関連する祭り

関連ワード創作花火

ダイドードリンコ日本の祭りが応援してきたアーカイブから関連する祭りをご紹介します。