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春日神社 御とう(飯の食偏に「同」)神事

春日神社 御とう(飯の食偏に「同」)神事

祭り紹介

歴史神事の記録は1572年から

シシゾウ:御とう(飯の食偏に「同」)神事は、いつごろ始まりましたか?

吉野さん:御とう神事は、檜原村の本宿(もとしゅく)地区、上元郷(かみもとごう)地区の氏神様の春日神社に伝わる神事です。御とう神事を記録した御とう帳の一番古い日付は1572年(元亀3)で、そのころから行われていたことが分かっています。
御とう神事は、お当番と呼ばれる男性たちが、深夜に川で禊をすることが知られています。お当番以外にも御とう神事には様々な役があります。お当番以外の役は世襲で、現在、地区に住んでいない人も神事のときには必ずやってきて、自分の役を務めます。
お当番は少ないときで4、5名、最大12名までが参加します。資格や条件は特になく、地区外からの参加もあります。昔の記録をみると、現在のあきる野市の僧侶が参加したこともあったようです。願掛けの人も少なくなく、昔は戦場の弾除け祈願に参加した人もいたそうです。お当番は一生に何度でも経験できます。私はこれまでに3回務めましたし、多い人になると20回近く務めた方もいらっしゃいます。

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みどころ切り火、寒中の禊を経て、火起こしに臨むお当番

シシゾウ:当日までにもいろいろな行事があるそうですね。

吉野さん:重要な行事は2月15日に行われる「トコロ渡し」です。その年、お当番を務める人たちが、神事に必ず参加することを誓う儀式です。トコロは「野老(ところ)」というヤマノイモ科の植物です。野山に自生していて、食すと苦味があります。昔から飢饉のときにも「これを食べてでも参加する」という意味や、長期保存ができ変質しないため、「心変わりせず御とう神事に参加する」といった意味があります。トコロ渡しでは、野老の根を掘り起こして乾燥させたものを紙に包んでお当番を務める人たちに渡し、契約を交わします。このときに、「切り火」をはじめとするお当番の心得も伝達されます。
「切り火」は、神事の4日前から始まります。食事やお風呂など自分で起こした火しか使うことは許されず、料理もお風呂にお湯をためるスイッチを押すのも自分で行わなければなりません。タバコの火を人からもらうのも当然禁止です。食事内容に関しても四つ足の肉は口にできません。加工品は材料に何が使われているのか分からないので、材料を買ってきて自炊をすることになります。

シシゾウ:お当番の神事当日の役割を教えてください。

吉野さん:3月2日の0時半、太鼓を合図に、下帯だけをつけたお当番たちは、地域を流れる秋川に「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」を唱えながら入り、川の水で斎戒沐浴をし、お稲荷さんの裏手にある井戸でお米を研ぎます。それから、神社に戻ると、神様にお供えするご飯を炊く火を起こすために火打石で火を起こし、お米を炊きます。4人のお当番が2人1組になって、火がついた時、お米が炊けた時、そして飯盛り役を呼びに行く時と3回お触れに回ります。本宿地区と上元郷地区に出向き、「御とうにおであいますよー」と触れて回ります。このときも、お当番は下帯姿です。氏子の皆さんはお当番のお触れで「ああ、今年も無事に火がついてご飯が炊けたのだな」と分かります。飯盛り役の家は山の中腹にあり、承知したという合図に家の前の提灯に灯を入れてから神社にやってきます。飯盛り役は、炊きあがったご飯を、7つの木椀にお高盛りにします。その椀を仮の祭壇に置いて、神事の用意が完了です。お当番は早朝から始まる神事に備えて、仮眠をとります。真夜中の禊や火打石で火を起こすところが有名になりすぎて、それが神事の内容と勘違いされている方もいらっしゃるようですが、ここまではあくまで準備段階です。
御とう神事の本番は午前6時から始まります。宮司が祝詞をあげ、天下泰平、家内安全、五穀豊穣を祈願し、椀に盛られたご飯を神饌(しんせん)として神様に献上します。お当番は烏帽子白丁の装束を着け、神社関係者と一緒に参列します。この神事が終わると、関係者が酒食をする直会(なおらい)、と地区の人が参加する「おまつり」があります。直会とおまつりに欠かせない料理としてお当番は「ヒバッチル」と「シラヤ」を用意します。ヒバッチルの「ヒバ」は干した大根葉のことで、それを汁物に仕立てたものです。シラヤは豆腐の白和えです。

シシゾウ:神様に献上したご飯はどうなるのですか?

吉野さん:神事が終わった後、小さな器に入れて小分けし、氏子全戸に配ります。各家庭では、そのご飯を炊いたご飯に混ぜ込んで食べたり、神棚にお供えしたりします。

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注目ポイント火がつかなかったら川に戻って禊からやり直し

シシゾウ:おすすめのみどころはありますか?

吉野さん:お当番が川で禊をした後、神社に戻り、ご飯を炊く火を起こすため、順番に火打石を打つところがハイライトです。禊の前に、お当番は火打石を打つ順番をクジで決めています。大抵の人は火打石を使った経験がないので、禊の前の空き時間に練習をします。1人が打てるのは3回までで、それで火がつかなければ次の人に順番が回ります。うまく火がついても、火を大きくする係が失敗すれば、やり直しです。10年に一度くらいは、一巡しても火がつかないことがあります。その場合は、川に戻り、禊をするところからやり直しです。私は一度だけ、禊を2度した経験があります。最初は御神酒を飲んだ勢いもあり、気分も高揚しているので「冷たいな」という程度でそこまで辛くはありませんでしたが、再度入るときは冷たいのを通り越して痛いという感覚でした。初めてお当番を務めたときは、自分が火をつけたいので自分の番が回ってくるまで誰もつけないでくれと心の中で願っていましたが、3度目にお当番を務めたときは、失敗が続くと、「誰でもいいから着けてくれ」と祈る思いでした(笑)。そんなこともあって、無事に火が着いたときのお当番たちの喜びぶりは大変なもので、場の雰囲気も一気に盛り上がります。見学している方々からも歓声と拍手が湧き起こります。

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ふるさと自慢特産のじゃがいもを使ったオリジナル商品を開発

シシゾウ:檜原村の食の名産品を教えてください。

吉野さん:平坦な土地がほとんどない檜原村の水はけが良い斜面地はじゃがいもの生産に適しています。特産品のじゃがいもは、オリジナル商品、じゃがいもアイスクリーム、じゃがいもクッキー、じゃがいも焼酎などに商品化もされています。

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メッセージ御とう神事を通じて地域が元気になることを期待しています

吉野さん:御とう神事は、次の世代に伝えていかなければならない神事です。神社総代としての望みは、この神事を守っていくことでコミュニティが存続し、地域の皆がひとつにまとまることです。
昔は積極的に公開していなかった御とう神事ですが、東京都の無形民俗文化財の指定を受けてからは外に向けて情報発信をするようになり、村外から見学に来られる方が増えました。見に来られるときは防寒対策をしっかりして、懐中電灯も用意してきてください。御とう神事を見て、檜原村を好きになってくださったら嬉しいです。

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※祭り紹介者 春日神社 筆頭総代 吉野 一成(よしの かずしげ)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

TV番組情報

放送局

ダイドードリンコ日本の祭り

闇夜につむぐ村人の絆
東京都檜原村御とう(飯の食偏に「同」)神事(仮)

4/7(日)17:00~17:55
MX 東京メトロポリタンテレビジョンにて放送!

東京都で島しょ部を除いた唯一の「村」檜原村の春日神社に1572年から続く「御とう(飯の食偏に「同」)神事」にスポットを当てる。選ばれた男たちが奥多摩の山を下る寒風を受けながら、ふんどし姿で川の水で体を清め、火打ち石で起こした火で、神様に献上するお米を炊き、お供えをし、精進料理と共にいただく、人間界に迎え入れた神様と、同じ食べ物を食べ、一緒に「五穀豊穣」と「無病息災」を願い神様に天へ帰っていただく…。なぜこんな祭りが始まったのか?神事の起源が記された書物は郷土資料館に残されておらず、未だ正確には解明されていない。番組は447年続いている祭りのルーツを紐解ぎながら、山間の村「檜原村」の歴史を探ると共に、先人から引き継がれている伝統とその背景にある、村人たちの絆にも迫ります。

番組の放送局サイトへ

制作担当者からのメッセージ

2017年は下町の祭り、2018年は大都会の祭り、2019年は「ここも東京」をテーマに東京の島しょ部以外で唯一の村、檜原村の祭りを紹介します。山間の村の人口は2000人あまり、冬になると村内にある滝が完全結氷する寒さ厳しい場所です。しかし、そこには人知れずある神事が500年近く村民だけで続けられていました。この五穀豊穣を願う同じ様な神事は、周辺地域では行われておらず、起源が記された書物も残されていません。
番組は、地元の人とこの祭りの起源を調査・取材しながら、歴史を辿っていきます。
とても古くて新しい「東京の祭り」を是非ご覧ください。

東京メトロポリタンテレビジョン 制作局制作部 担当部長
大崎雅之

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TV番組情報

ダイドードリンコ日本の祭り闇夜につむぐ村人の絆
東京都檜原村御とう(飯の食偏に「同」)神事(仮)

4/7(日)17:00~17:55
MX 東京メトロポリタンテレビジョンにて放送!

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