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加茂祭

祭り紹介

歴史京都から伝わったやぶさめが地方化。古式を守る

シシゾウ:加茂祭はいつごろ始まりましたか?

野上さん:加茂神社は今から950年ほど前の平安時代に京都の下鴨神社(賀茂御祖神社)から分け御霊(みたま)をいただいて創建されました。その当時、京都で行われていたやぶさめが当地に伝えられ、歳月を経るうちに地方化していきました。京都は公家の時代から武家の時代へ移り、やぶさめは小笠原流に代表される武家の様式が主流になっていきましたが、当地のやぶさめはその影響を受けず、農耕儀礼としてのやぶさめの様式が守り伝えられてきたと思われます。京都の下鴨神社の宮司様からお聞きした話によると、現在、京都で行われているものよりも古い形が加茂神社の流鏑馬に伝承されているのではないかということでした。
地元では、やぶさめが行われる祭りということで、やぶさめがなまったやんさんま祭りの愛称で親しまれています。

シシゾウ:加茂神社では、やぶさめ用の馬を飼育されているそうですね。

野上さん:加茂神社が鎮座する下村地区はかつて街道筋の宿場町で、農耕馬だけでなく荷を運ぶ馬が多数飼育されていました。昔はそういった使役馬の中から選ばれた馬がやぶさめに奉仕しました。現在は神社隣に整備された馬事公園の厩舎でやぶさめ奉納用のサラブレッド6頭が飼育されています。乗馬の練習もその公園で行っています。
やぶさめで乗り手を務めるのは、約40年前に加茂祭に奉仕することを目的に氏子の有志の皆さんによって結成された下村愛馬クラブのメンバーで、現在は上は60代から下は中学生まで約30名が所属しています。昔の馬と違い、サラブレッドを乗りこなすには練習が不可欠です。毎年、年が明けるとメンバーは5月の祭りに向けて、やぶさめの練習を始めます。

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みどころカーブを巧みに駆け抜け、矢を放つ

野上さん:やぶさめには3頭の馬が奉仕します。これは加茂神社の御祭神が三柱いらっしゃることと氏子地区が3地区あることに由来しています。各馬は3回ずつ参道を走り、乗り手が一走ごとにひとつの的を射ます。コースは約250メートルあり、スタート地点の拝殿横から大きなカーブを描いて直線の参道に至ります。矢の的はカーブを曲がりきってすぐの難所である鳥居の直前に設置されています。コース設定の難しさに加えて、加茂祭のやぶさめ独特の弓が騎射をさらに難しくしています。一般的な小笠原流のやぶさめは弓道の弓を用いますが、加茂祭のやぶさめに使用される弓は全長が一丈二尺(約3メートル60センチ)と畳2枚分の長さがあります。この弓は祭り前日の5月3日に乗り手自身が青竹を曲げて手作りするのですが、試射は許されず、祭り本番にだけ矢をつがえて射ることができます。ですから、当日に弓を引いてみるまで弦の調子の強弱も分かりません。まさしくぶっつけ本番です。やぶさめは的に命中させることだけが目的ではないものの、乗り手の方は大変苦労されます。
やぶさめの矢は除魔招福の縁起物として昔から人気があります。氏子や参拝者は、放たれた矢が地面に落ちると同時に矢に殺到します。昔は取り合いで喧嘩になることもあったそうです。自宅に持ち帰られた矢は、神棚や床の間にお供えされます。

シシゾウ:おすすめの見方はありますか?

野上さん:加茂神社のやぶさめのみどころは2ヵ所あります。矢を射るところをご覧になりたい方は、拝殿と鳥居の間にいらっしゃることをおすすめします。馬が駆け抜けていくスピード感を味わいたいという方は、参道でご覧になると目の前を馬が疾走するので非常に迫力があると思います。3頭の馬は3回ずつ走るので、途中で場所を移動してご覧になると両方のみどころを堪能できます。

シシゾウ:やぶさめの前に行われる「走馬(そうめ)」「神馬式(しんめしき)」「九遍式(きゅうへんしき)」についても教えてください。

野上さん:走馬は昔、北陸道の宿場町だった下村地区の旧街道の端から端まで約2キロの道をやぶさめに出る馬3頭が縦列になって3往復する儀式です。今は舗装されていますが、砂利道だったときには馬が砂煙を立てて疾走する姿が見られたということです。
神馬式は、やぶさめとは別の3頭の神馬が手綱をとる口取り役の男性に引かれて、所定のコースを3周し、その後参道を駆け抜けます。口取り役は左手に手綱、右手には矢を持ちます。神馬式は、馬が元気であることを神様にお見せする意味があるとされていて、他所のやぶさめでは見られない珍しい儀式です。
九遍式(きゅうへんしき)は天下泰平と五穀豊饒を祈念し、乗り手が馬に乗り、9回所定の場所を回りながら鞍を締め直したり、弓や矢を受け取ったりして、やぶさめに向けての準備を整える儀式です。

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注目ポイント田の神を乗せた牛をひざまずかせ、五穀豊饒を祈る牛乗式

野上さん:やぶさめが注目されることの多い加茂祭ですが、実は一番中心になる神事は、流鏑馬の前に行われる牛乗式(うしのりしき)です。
王鼻(おうばな)と呼ばれる田の神様が武者の姿をとり、牛に乗ってこの地にやってきたという設定で、王鼻に扮した氏子を乗せた牛を若連中が境内の順路を3周引き回し、最後に社殿の前でひざまずかせます。牛を座らせることによって田の神様にこの地にとどまっていただき、五穀豊饒や天下泰平がもたらされることを願う意味があるとされています。田の神の王鼻という呼称は、鼻の大きな面をつけることに由来しています。
牛を思い通りに歩かせるのは簡単ではありません。若連中たちが押しても引いても一歩も動かないときがあります。ひざまずかせるのはさらに一苦労で、無事に座らせられると観客から拍手が起こります。若連中たちの奮闘ぶりも含めて、全国唯一の神事ということで一見の価値があると思います。
神幸式もみどころです。神社の例大祭で神様が渡御するときは神輿に御神霊を遷すのが一般的ですが、加茂神社の場合は神様自らが御本殿からお出ましになり、氏子の皆さんの前を練って御旅所まで進まれます。御神体には、御装束として和紙の里として知られる五箇山(ごかやま)産の和紙で作った御幣を何重にも重ねてつけているので、直接お姿を見ることはできませんが、全国でもあまり例のない珍しい形式だと思います。

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ふるさと自慢シロエビ、ズワイガニなど高級魚介が豊富

シシゾウ:射水市の特産物を教えてください。

野上さん:日本海に面している射水市は漁業が盛んです。特に初夏のホタルイカ、夏のシロエビ、冬のズワイガニや寒ブリは有名です。シロエビは近年高級食材としてひっぱりだこですが、地元では家庭でよく食べられていた食材で、私が子どものころは朝食のお味噌汁に具としてよく入っていました。ほかにもいろんな種類の魚が豊富に水揚げされるので射水市にいらっしゃると新鮮な魚を存分に味わっていただけると思います。漁港がある新湊地区にはおいしいお寿司屋さんが多いです。

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メッセージ祭りを継承していこうという氏子の心意気を感じとってください

野上さん:加茂祭は、古来の形が約950年にわたって守り継がれてきました。氏子の皆さんは、祭りを通じて京都とつながっていることに誇りを持っていらっしゃいますし、その思いが祭りを伝承していく上で原動力になっています。ゴールデンウィークのまっただなかですが加茂祭にお越しいただき、氏子たちが一生懸命伝統の祭りを守り継ごうとしている気持ちを感じ取っていただければ幸いです。

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※祭り紹介者 加茂神社 宮司 野上 克裕(のがみ かつひろ)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

TV番組情報

TUT チューリップテレビ

ダイドードリンコスペシャル

やんさんま
~平安時代の農耕儀礼を守る~(仮)

5/28(日)14:00〜14:54
TUT チューリップテレビにて放送!

950年前に京都の下鴨神社から勧請された下村加茂神社。5月に行われる加茂祭は一年で最も重要な祭礼で、全国でも珍しい神事が多く行われています。氏子が田の神様に扮した王鼻として登場する牛乗式は、若衆が田の神様を乗せた牛をひざまずかせ五穀豊穣を願うものです。番組では、今年はじめて田の神様の王鼻に扮する男性に密着します。彼の牛乗式にかけた知られざる思いとは…。土を蹴る蹄と風を切る弓矢の音。加茂祭のクライマックスは流鏑馬です。この地域では「やんさんま」と呼ばれ親しまれています。加茂神社の流鏑馬は、小笠原流に代表される武家様式のものとは違い、平安時代の農耕儀礼を色濃く残しています。今年の流鏑馬の騎手を務める20歳の若者の姿をドキュメントで伝えます。

番組の放送局サイトへ

制作担当者からのメッセージ

流鏑馬神事は全国に120以上あるといわれています。しかし下村加茂神社の流鏑馬ほど難易度が高いものはおそらくないでしょう。加茂神社の参道は、直線ではなくカーブを描いているため、非常に高度な馬術が要求されます。さらに青竹でできた弓は重い上に3.6メートルと長く、疾走する馬上で手綱を持たずに大きな所作を行うのは、騎手にとってまさに命懸け。伝統の流鏑馬に挑む若者の姿とそれを支える地域の人の情熱を伝えます。

報道制作局 専任部長 笹林英之

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TV番組情報

ダイドードリンコスペシャルやんさんま
~平安時代の農耕儀礼を
守る~(仮)

5/28(日)14:00〜14:54
TUT チューリップテレビにて放送!

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