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猪俣の百八燈

猪俣の百八燈

祭り紹介

歴史塚信仰に由来。先祖とともに郷土の勇将も鎮魂

シシゾウ:猪俣の百八燈は、いつごろ始まりましたか?

卜部さん:約400年前からといわれていますが文献が残っておらず、起源については諸説があります。有力なのは埼玉県児玉郡に広く伝わる塚信仰、氏神信仰に由来するという説です。人は亡くなると氏神になって山に宿ると信じられ、お盆になると山に塚を築いて火を灯し、先祖の霊を慰めたのが百八燈行事の始まりということです。その風習に、平安時代から鎌倉時代にかけて猪俣地区を地盤に活躍した武蔵武士団のひとつ、猪俣党党首、猪俣小平六範綱(いのまたこへいろくのりつな)の伝承が絡み、猪俣小平六範綱とその一族の魂を鎮魂するという現在の形に内容が変遷していったと思われます。盆の百八燈行事は全国にありますが、塚を築いて行うのはほとんど例がないといわれています。

シシゾウ:行事を取り仕切るのは子どもだそうですね。

卜部さん:満6歳から満18歳までの子どもたちが親方、次親方(つぎおやかた)、若衆組、子供組の役に分かれて準備段階から主体的に関わり、猪俣百八燈保存会や保護者がそれをサポートします。令和元年の参加者は14人で、その内、3人は女の子です。百八燈行事に女の子が参加したのはこのときが初めてです。
現在は該当する年齢の男の子は全員参加が基本ですが、昔は各家の跡取りになる長男だけが百八燈に参加しました。トラクターなど大型機械がなかったころ、猪俣地区のような農村集落では多くの作業が共同で行われたため、百八燈は子どもたちの社会訓練のひとつとして位置づけられました。また、この行事は鋤や鍬で塚を築いたり、鎌で草を刈ったりする作業が組み込まれていることから職業訓練の意味合いもあったようです。

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みどころ祭り当日は朝から塚を築き直して燈明をセッティング

シシゾウ:祭り当日のスケジュールを教えてください。

卜部さん:前日、参加者の子どもたちは昔からの習わしに則り、泊り番といって地区の公民館に寝泊まりします。午前5時、雷(らい)と呼ばれる花火が打ち上げられ、それを合図に子どもたちと関係者は、猪俣百八燈塚がある堂前山(どうぜんやま)に向かいます。108基の塚は堂前山の尾根筋に一列に並んでいますが、1年の間に風雨にさらされ、形が崩れています。それを塚築き(つかつき)といって皆で修繕します。約2時間かけて108の塚を築き直すと続いて塚の上に燈明を置きます。燈明は、灯油を入れた急須に燈心となる真綿を詰めたものです。セッティングしたあとは急須の蓋がはずれないように粘土で固めます。108基の塚の中央に位置する五重塚と呼ばれる大きな2つの塚と留塚(とめづか)と呼ばれる両端の塚だけは薪を置きます。

シシゾウ:本番は夕方からですね。

卜部さん:そうです。塚の準備は昼前に終わるので皆で昼食をとった後、夕方まで一時解散し、午後6時、高台院という猪俣一族の菩提寺に集合します。午後6時半から祭り装束をつけた子どもたちは本堂の前に整列し、笛と太鼓のお囃子を披露します。この日のために子どもたちは2ヵ月前から練習をしています。約20分の演奏が終わると親方が子どもたちを代表して挨拶し、猪俣公の御位牌に向かい、全員で一礼します。続いて提灯行列です。高台院のお燈明の火を塚まで運ぶため、大松明と子どもたちが提げる提灯に火が移され、大松明を掲げる親方を先頭に皆が列になって堂前山に向かいます。百八燈は地区の行事なので提灯行列には区長をはじめ地区の要職に就いている人たちは必ず加わります。

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注目ポイント百八燈の火を見守りながら花火も満喫

シシゾウ:点火の段取りを教えてください。

卜部さん:高台院から塚までは歩いて15分ほどの距離なので点火は午後7時過ぎには始まります。点火の前には親方の「鬨(とき)の声」の掛け声で、全員が麓に向かって「ウォー」と勝鬨(かちどき)をあげます。盆行事と勝鬨の取り合わせはユニークですが、勇猛果敢で名を馳せた猪俣小平六範綱の慰霊にはふさわしいように思います。
最初に点火されるのは中央の五重塚です。続いて留塚、残りの塚の順番です。火をつけるのは大松明を持った親方や次親方、若衆組の役目です。すべての塚に火が灯されると、五重塚の後ろにあらかじめ準備しておいた麦わらの山に点火します。塚とわら山の火が燃え盛る中、子どもたちはお囃子を演奏します。

シシゾウ:奉納花火の打ち上げもあるそうですね。

卜部さん:わら山点火の後、花火大会が始まり、奉納花火が打ち上げられます。保存会からは手持ち花火を配るので、子どもたちは打ち上げ花火と手持ち花火を楽しみながら塚の火が燃え尽きるまで約2時間を山上で過ごします。実は以前、花火大会の規模が大きくなりすぎて大型の尺玉を打ち上げていた関係で塚付近は保安上、立入禁止エリアになり、点火するとすぐ山を下りなければなりませんでした。百八燈がメインなのに、それでは本末転倒だということで花火大会の規模を縮小し、昔のように塚の火を最後まで見届けることができるようにしました。また、子どもたちに行事をより一層楽しんでもらえるように美里町商工会青年部が焼きそばやかき氷の屋台を出店します。
保存会では参加して楽しい祭りを目指し、提灯行列の一般参加者も募っています。安全面を考えて一般参加の方の提灯はLEDの電球ですが、希望者には祭りの半纏をお貸しします。麓からでも百八燈は鑑賞していただけます。花火大会の観覧席にもなっている武蔵野市場という農産物直売所の駐車場がベストポジションです。

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ふるさと自慢植栽面積日本一を誇るブルーベリー

シシゾウ:美里町の食の名産品を教えてください。

卜部さん:美里町はブルーベリーの植栽面積日本一で、町のマスコット、ミムリンはブルーベリーをモチーフにしています。旬は夏で、シーズンに入ると町内の観光農園で摘み取り体験ができ、農産物直売所にはブルーベリーがずらりと並びます。ジャムやジュースなど加工品も販売されます。

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メッセージ百八燈がコミュニティの絆になることが目標です

卜部さん:猪俣百八燈保存会は祭りの伝統を守るだけでなく、百八燈を通じて子どもたちの地元愛を育むことを最大の目的として活動しています。また、子どもを介して保護者の皆さんには保存会への参加を働きかけています。百八燈がコミュニティの絆づくりに役立てれば幸いです。

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※祭り紹介者 猪俣百八燈保存会 会長 卜部 正明(うらべ まさあき)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

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