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市木古式十五夜柱松 「火祭」

祭り紹介

歴史300年以上の歴史を持つ地区固有の行事が復活

シシゾウ:市木古式十五夜柱松「火祭」は、いつごろ始まりましたか?

長野さん:300年前から行われていたようですが、文献などが残っていないので正確なところは分かりません。かつては市木地区内の数ヵ所で行われていましたが、担い手が減少したことにより途絶えてしまいました。その後、自治会長さんを中心に地域振興のために市木地区全体の祭りとして復活させようという声が高くなり、約20年の中断を経て平成4年に復活しました。
私は小学生のころ、海に近い集落の藤地区の柱松を見た記憶があります。市木地区の中で最後まで柱松の行事を行っていた地域です。いくつもの松明の火が飛び交って子ども心に荘厳な印象を受けました。

シシゾウ:柱松の火祭りはどのような目的で行われるのですか?

長野さん:柱松という松の柱を大蛇に見立て、それに火をつけて燃やして退治することで五穀豊穣と無病息災を祈願します。
柱松を行うのは旧暦の8月15日に近い日曜日です。昔だと、ちょうど稲の刈り入れが終わり、農作業が一段落する時期で、五穀豊穣のお礼を兼ねて行われたのではないかと思います。

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みどころ古式にのっとり人の手で約30メートルの柱を立て起こす

長野さん:最初のみどころは、午後7時から行わる柱松の建立です。メインは松明で火をつける火祭りですが、私個人としては柱松を立てるところが一番のみどころだと思っています。巨大な柱を人の力だけで起こしていくので、垂直に立って固定されるまで見ている側はハラハラドキドキします。この建立からご覧いただくと、より柱松の良さを分かっていただけると思います。
柱松は、松の木にシイの木と竹を縄で縛って接いで約30メートルの柱にし、先端に扇を飾ります。土台になる松の木は幹がまっすぐで長さが25メートル前後の大木を用います。昔は地元の山で伐り出し、皆で担いで山から下ろし、会場まで曳いていきました。最近はそれだけ大きな松の木が地元では入手できず、範囲を広げて探しています。この松探しが一番苦労するところです。
柱松の一番先端になる竹には巣と呼ばれるカゴをつけます。乾燥させたカヤを編んだもので大蛇の口に見立てられます。巣には松明の火が入ったときに燃えやすいように藁が詰められ、花火も仕掛けられます。

シシゾウ:柱松はどのように立てるのですか?

長野さん:勢子(せこ)と呼ばれる地区の男性たちが、仮又(かりまた)という支え棒を使って立たせる昔のやり方を踏襲しています。同じ串間市内の都井岬(といみさき)火祭りも柱松と同じように柱を立てるのですが、あちらはクレーンを使います。
仮又は丸太を二本交差させて組んだものです。一番仮又、二番仮又、三番仮又の3種類があり、数字が大きくなるほどサイズが大きくなります。ひとつの仮又には勢子が6人つきます。最初に一番仮又を柱の下側に差し入れて押し上げ、続いて二番仮又を差し入れてさらに角度が高くなるように押し上げます。最後に一番大きな三番仮又を差し入れて押し上げ、まっすぐ立ったら東西南北にロープを張って固定します。建立に要する時間は約30分です。

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注目ポイント大蛇の口に一番早く火を入れたら名誉

長野さん:柱松が立つと、勢子の人たちは岩折神社の宮司さんのお祓いを受け、火祭りが始まります。危険防止にヘルメットを着用した勢子たちが大蛇の口に見立てた巣をめがけて、手松と私たちが呼んでいる松明に点火して投げ入れます。手松は、割箸くらいの太さに割った松の木を束にして空き缶に差し込んだもので、それだけでは軽すぎて高く放り上げられないので重りとして粘土を詰め、紐をつけます。この手松を100個ほど用意します。
手松を地上20メートル近くにある巣に届くように高く放り上げるのは力がいります。勢子たちは手松の紐をつかんでクルクル回して勢いをつけ、遠心力を利用して力いっぱい放り上げます。夜闇に手松の炎が円や放物線を描き、とても幻想的です。

シシゾウ:巣に点火するまでにどのくらいの時間がかかりますか?

長野さん:手松が巣の中に入って燃えるまで早いときで10分程度、長いときには30分ほどかかります。昔は1時間近く投げても手松が巣に入らないときには、勢子たちが海に行き、海水で身を清めたそうです。
手松が巣に入りそうになるたびに観客から歓声が湧き、最初に巣の中に松明を入れた勢子は一番火(いちばんび)といわれます。一番火は非常に名誉なこととされ、記念の盾が贈られます。
手松の火が巣に燃え移ると中に仕掛けられている花火がポーンポーンと上がります。ただし、花火の点火がうまくいかずに不発の年もあります。巣から竹に火が燃え移ってしばらくすると、竹がはぜてパーンと音を立てて割れます。それが終わりの合図となり、勢子たちがロープを引いて柱を倒します。

シシゾウ:そのほかにみどころはありますか?

長野さん:柱松に先立ち、会場になる岩折神社前の多目的運動公園ではいろいろな催しが行われます。午後5時からは子供柱松が行われます。地元の小学生たちが大人と同じように仮又を使ってミニサイズの柱松を立て、火を使わずに縄で作った手松を投げます。それが終わると柱松の行事に欠かせない伝統の松の下笹踊りが子どもたちによって奉納されます。続いて、会場の特設ステージでカラオケや踊りなどの演芸大会が行われます。
地元の皆さんはござを引き、食事をしながら見物する人が多いです。会場では、小学校のPTAの方々がうどんやそばを作って販売しています。そういうものを食べながらご覧いただくのも楽しいと思います。

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ふるさと自慢ネバネバで健康増進。南国育ちのオクラ

シシゾウ:串間市の食の名産を教えてください。

長野さん:市木地区は農業が盛んな地区で、オクラとごぼうが特産です。特にオクラは串間市の生産量のほとんどを占めています。オクラは実が軽いので高齢者でも作業がしやすく、高齢化が進んでいる市木地区の農家の方々の貴重な収入源になっています。オクラのネバネバは体に良い成分を含んでいるということで、地元ではオクラの消費拡大を目指して、オクラを使ったメニューや加工品の開発に取り組んでいます。地元のレストランでもオクラを使ったメニューを出しています。

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メッセージ柱松が地区の人たちの心をつなぎます

長野さん:市木地区は三方を山に囲まれ、一方が海に面した小さな集落で、少子高齢化や若者の流出により、地域の将来が危ぶまれていました。そこで地域活性化の願いを込めて復活したのが柱松の行事で、市木地区を明るく元気にしたいという思いをひとつに、地域の老若男女が力を合わせて取り組んでいます。
明るい話題もあります。市木地区は串間市内の中でも移住者が多い地域で、特に東日本大震災以降は美しい自然を求めて移住してこられる若い世代が増えています。そういう新しい住民の方々にも柱松に参加してもらえるように声をかけています。柱松が新旧の住民が親睦を深める場になってくれることを大いに期待しています。

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※祭り紹介者 市木柱松実行委員会 会長 長野 秀明(ながの ひであき)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

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