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星神社のお弓祭り

祭り紹介

祭り写真館

1/27
公開

歴史平安時代に始まり、約1100年間一度も中断することなく開催

シシゾウ:星神社(ほしじんしゃ)のお弓祭りは、いつごろ始まりましたか?

浜渦さん:星神社に残る古い記録に、平安時代の延喜12年(912)にお弓祭りが始まったという記述があります。そのときから約1100年間、一度も休むことなく続いてきたと言い伝えられています。
現在、お弓祭りは2年に一度、西暦の奇数年に開催されます。今から70年ほど前、私が子どもだったころも隔年の開催でしたが、それよりも昔は3年に一度の開催だったと聞いています。一説には、星神社の御祭神は三姉妹の女神様で、星神社を含む3つの神社が回り持ちで行っていたといわれています。しかし、このことを裏づけるものはありません。

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みどころ厳寒の谷川で禊をした射手たちが粛々と的に向かう三度弓

シシゾウ:お弓祭りで弓を射る射手を務めるのはどういう人ですか?

浜渦さん:星神社の氏子地区である木積地区の5集落の男性12人です。12という人数は薬師如来の十二神将になぞらえられているともいわれています。内訳は、地域を流れる奈半利川(なはりがわ)本流沿いの集落を指す主川(おもがわ)から6人、谷川(たにがわ)と呼ばれる奈半利川支流沿いの集落から6人です。
昔は、射手になれるのは一家の長男だけでした。私は三男坊にも関わらず、今から50年ほど前の28歳のときに射手を務めましたが、結婚して新居を構えるということで例外的な扱いでした。最近は若者がいないので長男に限っていません。それでも足りないので、地元に限らず地縁や血縁のある年頃の男性に幅広く声をかけてお願いしています。昔は一度しか射手を務めることはできませんでしたが、近年は2回、3回と連続して務めることができます。年齢層も広げていて、昔は若者に限っていたのが、最近は50代の人も射手をしています。
射手に選ばれるのは非常に名誉なこととされています。昔は結婚するときよりも派手に祝い、当日の夜は郷土料理の皿鉢(さわち)料理を大量に用意して訪れる人を接待しました。

シシゾウ:お弓祭りはいろいろなしきたりがあるそうですね。

浜渦さん:お弓祭りは昔からのしきたりを厳格に踏襲しており、そのひとつが禊(みそぎ)です。射手は元旦から祭り当日までの8日間、早朝のまだ夜が明けきらない時刻に奈半利川(なはりがわ)に入って身を清めます。私が射手を務めた当時は暖冬の今と違って10月になると霜が真っ白におりるくらい寒く、1月の谷川の水に入ると冷たいというよりも痛いという感覚でした。

シシゾウ:射手は弓の練習をするのですか?

浜渦さん:正月の2日から集落ごとに練習が行われ、朝早くから夕方までみっちり先輩方に指導されます。昔は今よりも練習が厳しく、和式トイレにしゃがめないほど筋肉痛になったものです。
お弓祭りの弓の作法は独特です。射手は上半身をそらせ、天を一度仰ぐようにしてから前かがみになって的を狙い弓を引きます。これは、昔の合戦で馬上から弓を射るときの射方だといわれています。

シシゾウ:祭り当日の主な流れを教えてください。

浜渦さん:午前10時が弓場入(いばいり)です。神前でお祓いを受けた射手が境内のすぐそばにある会場の弓場に入場し、所定の位置に定まります。射手は星神社の色である浅黄色の裃(かみしも)を着用します。
最初に行われるのは三度弓で、お弓祭りで一番重要な神事なのでぜひご覧いただきたいです。このときは観客の方が帽子をかぶっていたら脱いでいただきます。射手は主川組と谷川組に分かれます。まず主川の6人が順番に矢を放ち、2本射ったら谷川組に交替します。三度弓では、それを3回繰り返します。的は、1メートル20センチ角の障子紙に三重円が描かれたもので、射手と的までの距離は約20メートルあります。的の両側には松が置かれ、注連縄をかけ渡します。この注連縄の上を矢が越してはいけない決まりで、万一越してしまった場合はその射手には米一升と200円の罰金が科せられます。その後、宮司が弓場に入りお祓いをしてから弓射が再開されます。私がこれまで見てきた中でも数回ありました。
三度弓はその日初めて射る矢ということもあり、どの射手も当ててやろうと意気盛んです。一発目が命中すると気分が楽になるのですが、実際には中々命中しません。私が射手を務めたときも的に当たりませんでした。全員が所定の矢を射ると、最後に主川の最年長者が務める神頭(じんどう)と谷川の最年少者が務める雁股(かりまた)が儀式としての矢を放ちます。
三度弓が終わると、門出の祝いとして射手たちに吸物膳と鯛が1人一匹ふるまわれます。続いて、娯楽として射手が弓の腕を競う「千八筋(せんやすじ)」が行われます。

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注目ポイント競射の千八筋は矢の行方に観客が一喜一憂。当たると親族が喜びの練りを披露

シシゾウ:千八筋の内容を教えてください。

浜渦さん:千八筋というのは1008本の矢という意味です。射手がいろいろな的を狙って矢を放ち、見事命中させると褒美が出ます。1008本という数は厳密なものではなく、私が子どもだったころは1008本以上矢を射っていたと思います。現在も1000本近い矢を射ます。狙うのは勝負の的といって、地元の人や祭りに協賛してくれる人たちが奉納する人形やぬいぐるみなどです。昔は、箸の頭の飾りについた人形のように小さなものが的になっていました。射手は、地面に2~3体置かれた人形やぬいぐるみを狙い、命中するとそのぬいぐるみを奉納した人が用意した布一反を与えられます。今はものが豊富な時代ですが、昔は布が貴重品だったので賞品の反物で洋服や布団生地などいろいろなものを作っていました。的になった人形やぬいぐるみはお守りとして大切に持ち帰られます。今は廃れましたが、昔は射手の親族が、射手が欲しいものを用意しておいて、射手に贈る「贔屓(ひいき)の的」もありました。

シシゾウ:千八筋のみどころはどこですか?

浜渦さん:射手が的に命中させたとき、親族が弓場に引っ張り出され、もみくちゃにされて喜びを表現する「練り」はみものです。本来、弓場に女性は入れませんが、練りのときだけは例外です。昔はお酒を酌み交わしながら見物している人が多く、練りがエスカレートして喧嘩が始まることがよくありました。そのために警護という役職の人間が2人いて、喧嘩が始まると弓場から引きずり出します。矢が命中するたびに練りが行われ、弓射が中断するので、当たれば当たるほど時間も長くかかります。
千八筋はお楽しみなので、三度弓のときよりも会場はぐっとくだけた雰囲気です。射手の親族は弓場の後ろに陣取り、来場した人たちのために火をおこしてお餅を焼いたり、用意した寿司などの料理をふるまったりしてかいがいしく接待します。
お弓祭りを締めくくるのは「毘沙門(びしゃもん)の的」です。主川と谷川が、三重丸が描かれた勝負の的を射って当たった点数を競い、その勝敗で一年の作柄を占います。昔から谷川が勝つとその年は豊作になるといわれています。

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ふるさと自慢幕末の志士、中岡慎太郎が栽培を奨励したゆず

シシゾウ:北川村の特産物を教えてください。

浜渦さん:北川村と言えばゆずです。江戸時代末期、北川村に生まれ育ち、後に幕末の志士として活躍した中岡慎太郎がふるさとの産業振興のためにゆず栽培を奨励したことに始まり、現在は高知県有数の生産量を誇っています。星神社の氏子地区でも多くのゆずが栽培されています。ゆず農家は出荷用とは別に自家用のゆずの木を持っていて、ゆずの果汁を絞って料理に使います。焼き魚や鍋料理に自家製のゆず果汁は欠かせません。ゆず果汁で割った焼酎は、晩酌に最高です。

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メッセージ氏子がお弓祭りに注ぐ情熱を感じ取ってください

浜渦さん:星神社のお弓祭りは高知県の無形民俗文化財に指定されています。映像などでご覧になる機会があるかもしれませんが、ぜひ実物を見に来ていただきたいです。弓場入りなど昔からのしきたりが守られているところをご覧いただければ、氏子たちがいかにこの祭りを愛し、続けていくためにどれだけ努力しているかを感じ取っていただけるのではないかと思います。

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※祭り紹介者 お弓祭り保存会 総代 浜渦 純章(はまうず よしゆき)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

TV番組情報

KUTV テレビ高知

ダイドードリンコスペシャル

神の子たちの八日間
~高知県北川村・星神社のお弓祭り~

1/29(日)15:00〜15:54
KUTV テレビ高知にて放送!

高知県東部 周囲を山々に囲まれた北川村。古くからゆずの栽培が盛んなこの村では2年に1度、元旦から8日間だけ繰り広げられるドラマがある。星神社お弓祭り。千年以上の歴史を誇るこの祭りは元旦の日の出前から当日まで神社の下を流れる奈半利川で禊を続けてきた村の若者たち12人が豊作や悪魔退散を祈願し、千八筋の矢を射っていく。矢が当たれば祝いの練りが始まり、境内の酒宴が盛り上がる高知らしい豪快な祭りだ。8日間、学校や仕事を休み、禊と練習を繰り返し、この期間中射手は四つ足の食べ物も食べず、ただただ弓を弾くことだけを考えます。どの地域の祭りでも問題になっている高齢化や少子化、そして資金問題。それでも千年続いた伝統を守り伝えていこうとする住民の祭りへの思いを伝えていきます。

番組の放送局サイトへ

制作担当者からのメッセージ

高知といえば「夏の海」というイメージですが、このお祭りは 海に面していない、総面積の約95%が山である北川村で真冬に行われます。
少子高齢化、過疎化により、どの地方の祭りも抱えている後継者不足に悩まされているお弓祭りですが、射手である12名は約1000年前から今現在も北川村出身の男性が勤めています。そして今回は中学二年生が3名初参加する予定です。彼らが1000年受け継がれていると言われるこの祭りにどのように向かい合い、どのように成長していくのか。地域と祭りとの深いつながり、そして厳粛な射場と高知らしい豪快な酒宴の雰囲気を伝えていきたいと思っています。

ディレクター 原田征毅

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祭り冊子を持って、祭り会場へ行こう!

TV番組情報

ダイドードリンコスペシャル神の子たちの八日間
~高知県北川村・
星神社のお弓祭り~

1/29(日)15:00〜15:54
KUTV テレビ高知にて放送!

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