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桧原マツ

桧原マツ

祭り紹介

歴史松柱を立てて行う神仏習合の儀式が名前の由来

シシゾウ:桧原マツは、いつごろ始まりましたか?

安部さん:桧原マツは、檜原山の中腹に鎮座する檜原山正平寺(ひばるさんしょうへいじ)に伝わる神仏習合の行事で、鎌倉時代に始まったといわれています。名勝・耶馬渓(やばけい)の霊峰として知られる檜原山は約1300年前に開基した山岳仏教の修験霊場です。現在、正平寺は天台宗の寺院ですが、元々は修験の道場として開基され、現在のご住職は77代目に当たられます。

シシゾウ:桧原マツの“マツ”にはどのような意味がありますか?

安部さん:かつて桧原マツの中心行事だった幣切りという儀式を指しています。幣切りは神道と仏教、さらには陰陽道の要素も混じった儀式で、高さ7メートルの松柱を立て、神様の代理を務める施主がその松柱を登っててっぺんの幣束を切り落とします。幣切りは英彦山(ひこさん)を中心とする豊前六峰(ぶぜんろっぽう)で広く行われていましたが、正平寺では施主を務める後継者がいなくなり廃れてしまい、幣切りに付随して行われた御田植式が残り、現在の祭りの姿になりました。他所の寺院も事情は同様で現在、幣切りの伝統を伝えるのは、福岡県京都郡苅田町(みやこぐんかんだまち)にある等覚寺(とかくじ)のみです。

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みどころ僧侶と僧兵を供に御神幸する神輿

シシゾウ:儀式は1週間前から始まるそうですね。

安部さん:桧原マツの開催日は、かつては4月14・15日の2日間でしたが、現在は4月の第2日曜に固定されています。その1週間前から正平寺のご住職は厳しい行に入ります。祭りの8日前に、正平寺から約30キロ離れた中津市内の三百間(さんびゃっけん)の浜で汐くみをし、翌日の早朝5時に、険しい山道を登って山頂の上宮(じょうぐう)に行き、まつられている権現様に海から汲んできた海水を捧げ、経をあげます。7日間続けられるこの行は権現様に正平寺まで降りていただくための儀式で、祭り当日、正平寺まで降りてきてくださった権現様をお乗せして3基の神輿が石段を約200メートル下ったところにある仮宮である下宮へ御神幸します。神輿を担ぐのは、正平寺の旧寺領だった上ノ川内(うえのかわうち)、福土(ふくつち)、中畑、3集落の方々です。お下りが行われるのは午前中で、下宮で法要が行われた後、午後にホラ貝の合図で神輿は正平寺へ渡御する御神幸が行われます。国東半島の天台宗寺院から参列する僧侶たちが神輿の前で読経します。その後、境内で御田植式(マツヤク)が行われます。

シシゾウ:神輿の御神幸のみどころを教えてください。

安部さん:神様が乗る神輿行列に僧侶と薙刀(なぎなた)を持った僧兵がつくこと、行列の通り道にあるのが山門ではなく鳥居であること、その鳥居の柱に仏様を表す梵字が刻まれていることなど至るところに神仏習合の名残を見ることができます。

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注目ポイント演者と観客の方言でのかけあいも楽しい御田植式

シシゾウ:御田植式について教えてください。

安部さん:御田植式は年頭や田植え前に豊作を祈って米作りの過程を模擬的に演じる神事です。米作りは88の手間がかかると昔からいわれています。そのうち、正平寺の御田植式は、稲作の一連の所作(水どめ、田打ち、くろぎり(草刈り)、しろかき、えぶり、種まきなど)の場面が地元集落の信者によって演じられます。
演者の装束は目深にかぶった編み笠に白装束という特徴的なものです。これは演じているのが人ではなく、農耕をつかさどる山の神であることを表現しています。御田植式の中でも古式を伝えているといわれるのは所作で、最初の一歩は左足から踏み出し、境内を回るときは必ず時計回りで、新しい動きに入る前には必ず神様に祈るなどいくつかの決まりごとがあります。そこには厳粛さと滑稽さが対の形で取り上げられています。静と動がミックスした愉快きわまる所作の連続が見られます。

シシゾウ:御田植式のみどころを教えてください。

安部さん:水どめでは、モグラが田んぼにあけた穴を探し回り、くさぎりではハチに刺されそうになって逃げ回るなど、モグラやハチに悩まされた昔の農夫の姿がユーモラスに表現されます。しろかきでは造り物の牛とともに子孫繁栄を象徴する妊婦が登場します。かつて行われていた農作業の様子やそこからうかがい知れる自然に対する畏敬の念など昔の人の暮らしに思いを馳せながらご覧いただくとより興趣が増すと思います。
演者と観客の間で豊前地方の方言で交わされるかけあいもみものです。水どめでは、モグラの穴を探す演者に、観客が「おい、ここに穴が開いちょるぞ」と声をかけ、演者がそれに応えて穴をつぶしにいくといったような軽妙なやりとりが繰り広げられます。楽しい場の雰囲気に誘われて、地元の人と一緒になって声をかける観光客の方も少なくありません。演者と観客の一体感もどうぞお楽しみください。

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ふるさと自慢栄養豊富な豊前海ですくすく育った「つの字はも」

シシゾウ:中津市の食の名産品を教えてください。

安部さん:魚介類の宝庫といわれる豊前海で特に味わってほしいのは鱧(はも)と牡蠣です。耶馬渓から流れ出すミネラルがたっぷり溶け込んだ豊かな海で育った鱧はサイズが大きく、トロ箱に入れるのに「つ」の字になるように折らなければならないことから「つの字はも」の異名を持っています。また、日本三大干潟の一つ、自然環境豊かな中津干潟で最先端技術により育てられている牡蠣は、味が濃くて美味しいので「ひがた美人」と言われています。少し小ぶりですが、口いっぱいに広がる磯の香りとプリッとした食感が楽しめます。もうひとつの中津名物は鶏のからあげです。中津からあげの最大の特徴は作り置きをせず、注文を受けてから揚げることです。市内にはからあげ専門店が50軒以上あり、自慢の味を競っています。

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メッセージ自然と歴史が豊かな檜原山の素晴らしさを伝えたい

安部さん:長きにわたって桧原マツを支えてきた旧寺領の集落の皆さんは先祖から受け継いた桧原マツを大事に守っていかなければならないと、強い使命感を持っていらっしゃいます。檜原山の歴史と自然を守る会は桧原マツの継承に少しでも力添えできるように、講演会開催、案内板の設置、檜原山の歴史文化や自然をテーマにした写真コンテストの開催や桜、ツツジやカエデの植樹など様々な活動を行っています。現在は道路が通じていますが長い間、檜原山は交通の難所で人の往来が困難でした。しかし、その不便さが桧原マツのような行事や自然を昔の姿で守ってきたともいえます。いにしえの豊かな四季の風情が感じられる檜原山に多くの方に来ていただきたいです。

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※祭り紹介者 檜原山の歴史と自然を守る会 会長 安部 恭一(あべ きょういち)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

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