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一年の収穫に感謝し、五穀豊穣を祈願する、鳩間島最大の祭りです。祭り当日は、人口数十人の島に、何百人もの島出身者や観光客が訪れます。1日目は夜通し神に祈りを捧げるユードゥシ(夜通し)。2日目はミルク行列、奉納芸能の披露、パーレー※などが行われ、3日目は綱引きと、盛りだくさんの行事が繰り広げられます。


シシゾウ:鳩間島豊年祭はいつごろ始まったのですか?
通事:鳩間島は八重山諸島のひとつで、西表島の約7km北にある小さな島です。島に人が住むようになったのは18世紀初頭と言われています。豊年祭(プール)は、八重山地方で広く行われている五穀豊穣を感謝・祈願する祭りで、文献が残っていないのではっきりしたことは分かりませんが、15~16世紀に始まったものではないかと言われています。
豊年祭は鳩間島で最大の祭りです。島の人口は普段50名ちょっとですが、祭りのときには郷友会の人たちが帰ってきて、人口が普段の5、6倍にふくれ上がり、いつもは静かな島が一気に賑やかになります。
シシゾウ:3日間のスケジュールはどのようになっているのですか?

通事:豊年祭は、旧暦の6月に3日間かけて行われます。1日目は夜通し(ユードゥシ)と言って、島にいくつもある祭祀場・御獄(おたけ)の中で第一の聖地とされる友利御獄(ともりおたけ)で、夜から早朝にかけ夜を徹して祈願します。2日目は当日(トゥーピン)と言って、祭りのメインイベントの奉納芸能と爬龍舟(はりゅうせん)競漕(パーレー※)が行われます。3日目は綱引きの日(シナピキヌピン)で、大綱引きが行われます。豊年祭は本来、3日連続で行うのですが、今は1日目の夜通しと、2日目と3日目を分けて行っています。これは島の過疎と関係していて、島の人口が少なくなったせいで、行事を行うには鳩間島の出身者で作る郷友会(きょうゆうかい)の人たちに協力してもらわないといけないため、島に帰ってきやすいように主要な催しのある2日目と3日目に土日を当てているからです。しかし、1日目の夜通しは必ず壬(みずのえ)か癸(みずのと)という水のつく日に行うという決まりになっているので、行事のメインの日の10日前くらいの壬か癸の日を選んで夜通しを行っています。

シシゾウ:鳩間島豊年祭のみどころはどこですか?
通事:2日目に行われる奉納芸能と爬龍舟競漕です。翌日の大綱引きもそうですが、豊年祭の行事は、ほとんどが島の東の集落と西の集落の対抗戦のような形で行われます。ちなみに東は青、西は赤が集落のカラーになっています。
シシゾウ:2日目の行事はどのような順番で行われるのですか?
通事:2日目の行事は祈願から始まります。祭り関係者は、島内の各御獄で祈願を行った後、歌を歌いながら友利御獄に集まり、島の繁栄を祈願します。その後、サンシキと呼ばれる広場で奉納芸能、続いてサンシキの前の浜で爬龍舟競漕が行われます。これらの行事は全て歌とともに行われます。そのため鳩間の豊年祭は、“歌で始まり、歌で終わる”と言われています。
シシゾウ:奉納芸能にはどのようなものがあるのですか?

通事:儀式や舞踊、民謡、太鼓、武術の演武などが約2時間かけて行われます。まず東西の旗頭(はたがしら)が入場します。旗頭は集落のシンボル的なのぼり旗で豊年祭には欠かせないものです。続いてミルク様がお供の子供たちを引き連れて登場します。ミルクは、神々が住むとされる東の海の彼方にあるニライカナイの、五穀豊穣と幸福をもたらす神様として沖縄の祭りではおなじみの存在です。ミルク様が登場しないことには、豊年祭は始まりません。ちなみにミルクという名前は弥勒菩薩(みろくぼさつ)に由来しているとされ、ミルクを演じる人は布袋様のような顔つきの白い仮面を被ります。続いて、黄色い着物を着て杖をついた翁が、クバ扇(くばせん)と呼ばれるクバの葉を加工して作った扇で子供達の頭をなでて子孫繁栄を祈願する、鳩間島だけに伝わるカムラーマという儀式が行われます。
奉納芸能は内容が変化に富んでおり、見ていてとても楽しいものです。その中で特にご注目いただきたいと思うのは、棒術の演武です。六尺棒を扱って2人1組で演じるのですが、ごく一般的な振り棒と呼ばれる棒術だけでなく、傘棒(かさぼう)や柵棒(さくぼう)といった珍しいものも継承されています。これらは全て、沖縄本島北部のやんばる地域から伝わったものと推察されますが、昔の形を留めているのは鳩間島だけだと言われています。昨年、離島の民俗芸能を保存する会の方々が見に来られたのですが、このような棒術が残っていたとは思わなかったと、たいへん感激しておられました。鳩間の棒術の特徴は技のスピードとキレで、見ていてとても迫力があります。
シシゾウ:爬龍舟競漕はどのように行われるのですか?

通事:東と西の爬龍舟が2隻で競漕します。スタートは、「よーいどん」の号令ではなく、東西の船の漕ぎ手がそれぞれに歌を歌いながら舟を周回させ、歌い終わると同時に出発します。真剣勝負で、漕ぎ手たちは全力で漕ぎますのでスピードはかなりのものとなり、海面をすべるように進んでいきます。スタートから沖にある旗を回って浜に戻ってくるまでわずか10分程ですが、興奮が凝縮したような感じで、その場にいる人たちは最高にエキサイトします。婦人部の皆さんも浜に下りて声援を送ります。このときが祭りのクライマックスです。先に浜についたほうが祭りをつかさどる司(つかさ)から御神酒をいただくと勝利が決定し、その後、全員で歌を歌いながら舟の周りを回って豊漁と航海の安全を祈願します。

通事:3日目には大綱引きを行います。綱引きの前には、今年は東の集落ではこういうことがあった、西の集落ではこういうことがあったと、踊りながら互いにホラを言い合うイジクナという儀式や、ガーリという踊りが女性たちによって行われます。
大綱引きに使う綱は、直径10~15cm、長さ約50mで、東から雄綱、西から雌綱を寄せていって2つの綱を絡み合わせます。大綱引きも東西に分かれて行うのですが、その場にいる人は誰でも参加できますので、観光客も島の人たちと一緒に綱を引く光景が当たり前に見られます。勝負は3回行い、最終的に東が勝てば今年1年は豊漁、西が勝てば豊年ということになっています。最後には勝敗に関わらず、綱を西に寄せて西が勝ったような形にする習わしです。

シシゾウ:鳩間島で通事さんおすすめの観光スポットや特産物を教えてください。
通事:鳩間島は小さな島で、これといった観光スポットや特産物はありませんが、海が美しいことがなによりの自慢です。浜で海を眺めながらのんびりするのもいいですし、シュノーケリングで美しいサンゴ礁をご覧いただくのもいいかと思います。島巡りでは、島のちょうど中央にある鳩間中森にぜひ足を伸ばしていただきたいと思います。島で一番標高の高い丘陵地の森で燈台があり、眺めも最高です。


通事:日本全国に同じような地域はたくさんあると思いますが、こんなに小さい島にも祭りはあって、地域の人間は誇りを持って伝統を守っているんだということを知っていただければ嬉しいです。
もし、見に来ていただけるのであれば、ルールを守ってご覧いただければ嬉しく思います。写真を撮影するときなど、そばに近づきたくなるお気持ちはよくわかるのですが、棒術など近付くと危険な場合もありますので、決められた場所でご観覧いただきますようお願いいたします。
※沖縄の地区によって、ハーリー、ハーレーなど呼び方が異なる。
八重山地方では、パーレーという。
竹富町役場ホームページ
竹富町観光協会「ぱいぬ島ストーリー」
鳩間島イエローページ
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