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八朔祭

八朔祭

祭り紹介

歴史商家が農家をねぎらうために作った造り物が
大型山車に発展

シシゾウ:八朔祭は、いつごろ始まりましたか?

田中さん:江戸時代中期の宝暦8年(1758)です。八朔は旧暦の8月1日(八月朔日)のことです。田んぼの稲穂が出揃う時期にあたるこの日、この地方の農家の人たちは、秋の収穫の目安を立て、田んぼの水口(みなくち)に御神酒をお供えして田の神様に豊作を祈願しました。商家の人たちは、お得意様の農家をねぎらうために、酒食でもてなすとともに、余興の見世物として野山の草木を使って造り物といわれる人や動物の像を作りました。当初はそれぞれの商家が単独で作っていましたが、地区でまとまって大型の造り物を製作するようになりました。また、より多くの人に見てもらうために据え置きだった像を大八車に載せて曳き回すようになりました。それが、大造り物と呼ばれる現在の山車です。大造り物は大きなものでは高さが4~5メートル、重量は2トン近くになります。

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みどころ11台の大造り物がメインストリートを練り回る

シシゾウ:八朔祭のスケジュールを教えてください。

田中さん:9月の第1土曜・日曜の開催で、前日の金曜日の午後7時からは「朝起こし」といって、連合組と呼ばれる大造り物を出す各地区から三味線と太鼓の奏者が出て、八朔祭の音楽を演奏しながら、祭りの始まりを町内に告げて回ります。
土曜日は午前が豊作祈願祭で、午後には小学校の鼓笛隊や各種団体による踊り、神輿などのパレードがあります。日曜日の午前中も自衛隊の音楽隊などが出演するパレードが行われます。
メインイベントの「大造り物の引き廻し」は午後1時から始まります。近年は、10の連合組と地元の矢部高等学校の大造り物11台が参加し、山都町のメインストリートを太鼓・三味線・鉦が演奏するお囃子の先導によって曳き廻されます。この日は、都会に出た人たちも大勢帰省し、山車を曳きます。
大造り物は出来栄えをコンクール形式で競うところもポイントです。曳き廻しの最中、各連合組の大造り物は順次、審査会場になる祭り本部で審査を受けます。このとき、各連合組の代表が審査員に作品のテーマや使用した材料を説明します。賞の発表と表彰式は午後5時です。午後8時からはフィナーレの花火大会で、国指定重要文化財の通潤橋(つうじゅんきょう)付近で花火が打ち上げられます。

シシゾウ:下市連合組さんは、最優秀賞に相当する金賞の常連だそうですね。

田中さん:ここ十数年間は2年を除いて連続して金賞を受賞しています。審査では、完成度や技術力に加えて、使用する材料もチェック項目で、材料の種類が多ければ多いほど評価は高くなります。下市連合組はススキや竹、松や杉の木の皮、藤蔓、萩の枝など10種類以上の材料を使います。昔から伝わる技術に加えて、互いに切磋琢磨することによって各連合組の技術力は年々向上していて、リアルさが増しています。

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注目ポイント精魂傾けた力作は祭り終了後も1年間展示

シシゾウ:大造り物の製作について教えてください。

田中さん:下市連合組では、6月下旬から7月にかけて話し合いをして、その年のテーマを決めます。人物や生き物がほとんどで、その年の流行など世相を反映したものをとりあげることもあります。過去には大ヒット映画の『パイレーツ・オブ・カリビアン』をテーマにしたこともあります。
製作期間は40~50日で、製作場所は専用の大造り物小屋です。小屋がない時代は、足場を自分たちで組んでいました。昔は連合組同士の対抗意識が強く、祭り当日までテーマが知られないようにテントを張って外から見えないようにしていました。奥さんが他所の連合組の出身だと、情報漏えいを防ぐために製作期間中は里帰りさせたこともあったといいます。最近はどこの連合組もそこまでの秘密主義ではなくなっています。下市連合組では製作をオープンにしていて、他所の組の人たちが見学に訪れます。

シシゾウ:下市連合組さんが大造り物製作で特に心がけていることはなんですか?

田中さん:大造り物は床の間に飾る工芸品ではないので、躍動感を一番大切にしています。例えば、人物であれば、手の表情など動きが感じられるポーズを考えます。また、曳き廻しのときに敢えて揺れるように、台車への据えつけ方を工夫しています。多彩な材料を適材適所に使うことも意識しています。ススキは時間の経過とともに変色するので、色の変化を計算して使います。

シシゾウ:ご苦労はありますか?

田中さん:一番は人手の確保です。山都町全域にいえることですが。特に私たち下市連合組は高齢化が顕著で、一番の若手が50代です。材料集めも容易ではありません。製作と材料集めは役割分担をしていて、その日の製作に必要な材料をその都度、材料集めの班が採集にいきます。最近は町内で調達するのが難しいため、阿蘇や天草方面まで出向きます。製作が佳境に入ると本業そっちのけでかかりきりになるため、メンバーの負担は決して小さくありませんが、受け継いできた技と伝統を私たちの代で絶やすわけにはいかないという使命感で皆、頑張っています。

シシゾウ:祭りが終わった後、大造り物はどうなるのですか?

田中さん:下市連合組の場合は自分たちの大造り物小屋に1年間展示します。下市連合組の大造り物小屋は、山都町観光文化交流館「やまと文化の森」に併設されているので、常駐のスタッフにお願いすれば、説明をしてもらえます。

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ふるさと自慢先人の知恵が詰まった保存食の「巻き柿」

シシゾウ:山都町の食の名産品を教えてください。

田中さん:巻き柿は、山都町で古くから作られてきた保存食です。種を取った干し柿を10個ほど重ねて竹の皮で包み、上から縄をしっかり巻きつけたもので、干し柿単体よりも風味が長持ちします。生産者は少なくなりましたが、贈答品として根強い人気があります。

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メッセージ全国でもここだけの大きな造り物を見にいらしてください

田中さん:造り物を作る風習は全国各地にみられますが、高さが4メートル以上にもなるような巨大な造り物を作るのは山都町だけです。希少ということで大阪にある国立民族学博物館に下市連合組の大造り物が資料として展示されています。山都町にお越しいただき、私たちが伝統の技で製作した大造り物の迫力をぜひ体感していただきたいと思います。

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※祭り紹介者 下市(しもいち)連合組 代表 田中 勲(たなか いさお)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

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