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御願神事(竹割まつり)

御願神事(竹割まつり)

祭り紹介

歴史明治以前は丁々発止と青竹で叩き合い。
剣道発祥の神事とも

シシゾウ:御願神事は、いつごろ始まりましたか?

野根さん:御願神事は菅生石部神社の例祭で、白鳳5年(677)、天武天皇が国家の安泰を御立願したことに基づき、世の中が平和であっても戦乱に備えて武芸のたしなみは忘れないようにと、日本神話に登場する山幸彦の炎出見尊(ほほでみのみこと)と海幸彦の酢芹尊(すせりみこと)の神軍の戦いにならって行われるようになりました。旧正月に行われることから、年頭の祈願をする意味も込められているといわれています。

シシゾウ:竹割まつりという呼び方もあるそうですね。

野根さん:竹割まつりは俗称で、若衆たちが長さ約2メートルの孟宗竹を地面に叩きつけて割ることに由来しています。竹割が行われるようになったのは明治時代になってからで、それ以前は、氏子地区が二手に分かれ、細い真竹を竹刀のように扱い、叩き合って勝敗を決めていたそうです。このことから、御願神事は剣道発祥の神事ともいわれています。
開催される時間帯も昔と今で違います。現在は午前中に行われますが、明治時代の中ごろまでは夕刻にかがり火を焚いて行われました。

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みどころ流血も辞さず、豪快に竹を叩き割る

シシゾウ:竹割に参加される若衆はどのような方々ですか?

野根さん:神社の東側に位置する敷地(しきじ)地区と西側の岡町地区の各青年団が中心になります。ただし、年齢制限はなく、厄祓いのために参加される中高年の方もいらっしゃいます。人数は年によって違いますが、平均すると30~40人が参加します。若衆は上下とも白の上着に短袴、白鉢巻を身につける慣わしで、青年団の団長だけは赤鉢巻を締めます。

シシゾウ:竹割が始まるまでの流れを教えてください。

野根さん:当日の朝、竹割に参加する若衆は精進潔斎を行います。自宅で塩を入れたお風呂に入って身を清めた後、神社の祈願祭に出席し、お祓いを受け、お守りを授かります。
神社では2月1日から潔斎が始まり、鳴り物が一切禁止されます。そのため、賽銭箱の上の鈴は外され、祈祷の際も太鼓を鳴らしません。
若衆たちが、神社の近所に若衆宿として用意されている民家に移動し、竹割の開始を待つ間、境内では青年団OBの皆さんが務める白丁が中心になって竹の準備などが行われます。竹割に使われる孟宗竹は切らない状態のものが約150本、前もって境内に奉納されています。昔は、氏子の一軒一軒から竹が奉納されましたが、現在は岡町地区の皆さんが神社裏手の山から伐り出して用意します。竹は長いまま奉納されているので、竹割に使えるように鉈で3~4等分されます。
竹割には、忌火(いみび)と呼ばれる神聖な火が欠かせません。この火は忌火司と呼ばれる火元を世襲する家でおこされ、境内に持ってこられ、その火でアズマヤが燃やされます。アズマヤというのは竹を三角錐に組んだ骨組みの上に藁をかぶせた小屋状のものです。
午前11時、例祭の祭典が拝殿で始まります。お祓いを受けた参列者が拝殿に整列し、ご神前の御扉を開く開扉(かいひ)、供物を捧げる献饌(けんせん)、祝詞奏上(のりとそうじょう)、献幣使(けんぺいし)の祭詞奏上が行われ、国と地域の平和と隆盛、五穀豊穣が祈願されます。そのころ、若衆たちは神社の神門の前で、竹割開始の合図を今か今かと待ち構えています。
神職によって版木/盤木(はんぎ)と呼ばれる木板が打ち鳴らされると、竹割の開始です。アズマヤに忌火が点火され、若衆たちは歓声を上げて神門の階段を駆け上がります。境内になだれこんだ若衆たちは燃え上がるアズマヤをくぐり抜け、「ワッショイ、ワッショイ」など掛け声をかけながら、境内に積まれた竹をものすごい勢いで境内の石畳に叩きつけて割っていきます。竹割は境内だけでなく、拝殿の中でも行われます。そのため、拝殿には竹を打ちつけられるように石が数個用意されています。
鉈を使って短くした竹は、切り口がとがっているため、叩き割るときに誤って手を切る若衆が毎年出てきます。昔は奉納される竹に水引がかけられていて、竹で手を切ると水引を使って止血したという話を古老の方からうかがったことがあります。
観覧される際、若衆に近づきすぎると竹の破片や稀に竹そのものが飛んでくることがあるので、安全な距離をとってご覧いただきたいと思います。

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注目ポイント大蛇に見立てた大縄を川に流して厄祓い

野根さん:開始から20分ほどで、若衆たちは用意された竹のほとんどを叩き割ります。次に、若衆たちは拝殿に用意されていた大縄を引きずり出します。祭りの数日前に敷地地区の皆さんが稲わらをなって作ったもので、長さが約20メートル、重さは約120キロあります。若衆たちは、この大縄を大蛇に見立て、地面に叩きつけながら境内をひきずり回します。これは、この土地に棲んでいた大蛇が若い娘を人身御供に出さないと田畑を荒らすと脅したため、皆で退治をしたという伝説に基づいて行われるものです。大縄を引き回すようになったのは明治以降で、それより前は大縄を使って綱引きが行われたということです。年占いの行事として行われたもので、東の敷地地区と西の岡町地区の対抗戦で、勝ったほうが豊作になるとされたようです。

シシゾウ:大縄は川に流すそうですね。

野根さん:若衆たちは大縄を抱えて境内を何周かすると神門から外に出て行き、約300メートル離れた大聖寺川(だいしょうじがわ)に向かいます。その頃になると、若衆たちは疲労困憊し、息は上がっています。川に架かる敷地天神橋に着くと、若衆たちは最後の力を振り絞って欄干ごしに大縄を川に放り込み、厄を祓います。大縄はそのまま下流へ流すので、稲わら以外の材料は使っていません。大縄が浅瀬にひっかかったりして流れていかないときには、若衆が冷たい川の中に飛び込んで大縄を動かします。この大縄は縁起物で、昔は漁網に結びつけると大漁になるといわれ、漁業関係者に人気があったそうです。竹割の竹にも御利益があるとされ、箸にすると身体健康や病気回復、虫歯予防、玄関先に飾ると魔よけ、天井裏に置くと雷よけになるなどいわれています。若衆たちが神社を出て行った後も拝殿では例祭の神事の続きが行われます。正午にはすべての神事が終了するので、参拝される方はそれから神様にお参りいただくのがよいかと思います。竹は希望者にお譲りするので参拝の記念にお持ち帰りください。

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ふるさと自慢藩政時代からの伝統猟で捕られる希少な天然鴨。

シシゾウ:加賀市の食の名産品を教えてください。

野根さん:加賀市では藩政時代に藩主が武芸のたしなみとして藩士に奨励した鴨猟が伝統文化として継承されています。池から飛び立った鴨にV字型の網を投げてつかまえる坂網猟(さかあみりょう)という独特の猟で、市内にある片野鴨池という池周辺で行われます。猟期は冬の3ヵ月間だけです。市内には貴重な天然鴨を扱う鴨料理の専門店があり、治部煮(じぶに)などの料理を提供しています。
加賀市は米の名産地です。近くに好漁場があることから漁業も盛んで、市内の橋立漁港は北陸屈指のズワイガニの水揚げ港です。

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メッセージ新年の願いを込めて参拝にお越しください

野根さん:御願神事は願いの神事で、国と地域の平和と隆盛とともに、五穀豊穣や一年の無事も祈願されます。竹割を見に参拝される際には、平和への願いとともに年始めならではの様々な願いを祈っていただきたいと思います。若衆たちの励みにもなりますので、大勢の方に足を運んでいただけるとありがたく存じます。

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※祭り紹介者 菅生石部神社 宮司 野根 茂治(のね しげはる)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

TV番組情報

MRO 北陸放送

ダイドードリンコスペシャル

春を呼ぶ 竹割りの音
御願神事(仮)

3/21(水・祝)(仮)13:55〜14:45(仮)
MRO 北陸放送にて放送!

御願神事(ごんがんしんじ)別名「竹割まつり」は、毎年2月10日に行われる加賀市大聖寺の奇祭です。白鳳五年(676年)に「平和な世においても武芸を怠らぬように」と始められた1300年あまりの歴史ある祭りで、石川県無形民俗文化財に指定されています。祭りでは、白装束の青年達が版木を打ち鳴らす合図と共に境内に乱入、長さ約2メートル・400本あまりの青竹を境内の石段や石畳に叩きつけ割り尽くします。その後、大蛇に擬した長さ約20メートル直径約30センチ・重さ約180キロの長縄を拝殿から引きずり出し、境内や拝殿を何周も引き回して大聖寺川に投げ込みます。番組では、力いっぱい青竹を割る若衆たちの勇壮な姿や、歴史と伝統を守り伝える氏子たちの営みを伝えます。

番組の放送局サイトへ

制作担当者からのメッセージ

竹割まつりの様子は毎年ニュースで見ていましたが、「実際はどんな祭りなのだろう?」と、2年前に話を聞きに行きました。ちょうど、大蛇に見立てた大縄をなう作業があると聞いていたので、その日に合わせて伺うと、「あんたもやってみる?」と誘われ、作業のお手伝いをすることに。そして話を聞きながら作業を手伝ううちに、「何なら当日も出てみんか?!」と祭りへの参加をすすめられました。(半ば決定事項)当日は雪こそ降りませんでしたが真冬の気温。薄い白装束での参加で凍えながらも、頭上から思いきり竹を振り下ろし、叩き割るのは思いのほか爽快で、日頃たまったストレスが…あ、いえ、心の穢れが浄化されるような清々しい思いがしました。まつりの最後、大蛇に見立てた大縄を川に投げ込むと、血気盛んな若衆は極寒の川に飛び込んで猛者ぶりをアピールします。「あんたも飛び込んでいいんやぞ!」と勧められましたが、さすがにこればかりは年寄りの冷や水。遠慮しました。
まつり当日は1時間ほどで終わってしまう短い祭りですが、1300年以上も続いている奇祭を支え受け継ぎ、生き生きと躍動する祭り人たちの様子を是非ご覧いただきたいと思います。

報道制作局 テレビ制作部
チーフディレクター 太田 武志

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TV番組情報

ダイドードリンコスペシャル春を呼ぶ 竹割りの音
御願神事(仮)

3/21(水・祝)(仮)13:55〜14:45(仮)
MRO 北陸放送にて放送!

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