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二窓の神明祭

二窓の神明祭

祭り紹介

歴史約400年の伝統を持つ竹原の新春の風物詩

シシゾウ:二窓の神明祭は、いつごろ始まりましたか?

新本さん:戦国時代末期、竹原地方を治めていた戦国武将の小早川隆景は豊臣秀吉の命で小早川水軍の長として勇名を馳せた重臣の乃美(浦)宗勝を伴って朝鮮出兵しました。その際、戦勝祈願のご神体を作り、厚く信仰していた伊勢神宮の御神霊である神明(神明さん)をまつりました。凱旋後、神の加護に感謝して小正月に行う火祭りの左義長(とんど)を櫓の形にしたのが神明祭の始まりといわれています。竹原市には神明さんと呼び習わすご神体を作って燃やす風習が広く伝承されていて、新春には各地で神明さんが燃やされます。二窓の神明祭は市内で90近く作られる神明さんの中で最も規模が大きいといわれています。

シシゾウ:広島県のお隣の山口県にも起源が同じ神明祭があるそうですね。

新本さん:戦国時代、二窓集落のある忠海(ただのうみ)地区には、浦氏の居城がありました。江戸時代になり小早川家が断絶すると、浦氏は山口県に国替えになり、新しい所領になった阿月(現在の柳井市)と上関(現在の上関町)に神明祭を伝えました。これが山口県の阿月神明祭と上関神明祭です。山口県に残る文献から神明祭の起源が明らかになりました。歴史をひもとくと意外なところに土地と土地のつながりがみつかり、面白いなと思います。

シシゾウ:二窓の神明祭は成人式としての意味合いもあるそうですね。

新本さん:いつのころからか、神明さん作りから祭りの運営まですべて新成人にまかされるようになりました。40年ほど前、私が成人したときは先輩方に教わったり、叱られたりしながら祭りを執り行いました。今は若者が数えるほどしかいないので祭りの執行は小丸居神社奉賛会を中心に行いますが、神明さんが練り歩くときの太鼓打ちやお神酒の接待役は20歳の若者の役割です。

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みどころ神明さんの製作期間は約2日。釘は一切使わず、松と竹を縄でぐるぐる巻き

シシゾウ:二窓の神明祭で作られるご神体の神明さんの特徴を教えてください。

新本さん:竹原の神明さんは、地区によって大きさや形に個性があります。二窓の神明さんの最大の特色は大きさで、高さが約20メートルあります。「モチ」と呼ばれる竹のわっかで作った3つの大中小の円盤がつくところも特徴です。そのまわりには、地元の子どもたちが中心になって作る色とりどりの色紙飾りで飾りつけられます。

シシゾウ:神明さんの製作にはどのくらいの時間がかかりますか?

新本さん:準備は数ヵ月前から始めますが、製作自体は、祭り1週間前の土日の2日間で行います。神明さんの主な材料は松と竹です。芯になるのは松です。竹を大小の松と組み合わせ、太い縄や漁に使うロープをぐるぐる巻きつけて骨格を作ります。このことから神明さんを作ることを地元では「まく」と表現します。なお、神明さんを燃やすことは「は(燃)やす」といいます。
巨大なご神体の組み立てや飾りつけは地面に寝かせた状態で行います。垂直に立てるのは完成してからで、綱を引いて起こします。昔は当然のことながら人力でした。土曜日に作り始めて夜通し作業を続けて朝方に完成させ、朝日が昇るときに起こすのが習わしで、明け方、青年と子どもたちは「神明さん、起こすから来てつかぁーさい」と太鼓を叩きながら地区を触れ歩き、人が集まってくると「わっしょいわっしょい」と皆で綱を引いて起こしました。

シシゾウ:神明さんの製作で苦労することはありますか?

新本さん:材料の松を集めることです。近年は松枯れ病の影響で近在では適当な松がみつからなくなり、専門の業者さんに調達のお手伝いをしていただいています。材料集めなど負担が小さくないので数年前から神明さんをサイズダウンしてはどうかという話が出ていて、あれこれ議論はするものの結局、従来通りの大きさのご神体を作っています(笑)。

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注目ポイント練り歩きは約2時間。点火から燃え尽きるまではわずか数分

シシゾウ:祭り当日の流れを教えてください。

新本さん:神明さんに点火するのは日が沈んでからですが、祭りは午後2時から始まります。地元小学生による太鼓演奏や餅まきに続いて、神明さんの練り歩きが行われます。巨大な神明さんを50人ほどの男衆たちで「わっしょいわっしょい」と約2時間引き回します。私の知る限り、竹原の神明祭で神明さんを動かす地区は数えるほどしかありません。現在は祭り会場の旧忠海東小学校のグラウンド内を移動させますが、私の子ども時代は校庭のすぐそばにある二窓漁港の潮の引いた浜に太鼓を打ち鳴らしながら神明さんを皆で担いでいき、は(燃)やしていました。その浜は現在、埋め立てられてしまっています。

シシゾウ:練り歩きと点火の詳細を教えてください。

新本さん:練り歩きはグランドの端に立てられた神明さんを点火する中央まで移動させます。担ぎ手の有志の男衆は、背中に「神明さん」の文字が入った揃いの柔道着を着ます。2トンとも3トンともいわれる神明さんは車輪がついていないので、全員が力を合わせないと動かすことはできません。「わっしょいわっしょい」と顔を真っ赤にして前後についたかき棒に取り付く男衆を鼓舞するのは二窓に伝わる太鼓です。合戦太鼓の流れをくむといわれる勇壮な太鼓で進むとき、休むとき、移動を再開するときなど場面ごとに打ち方が変わります。
移動は直線ではなく、円を描くように進みます。また、ご神体を楽しませるという名目で、前方の担ぎ手たちが進もうとすると後方の担ぎ手たちはブレーキをかけるなど自分たちも面白がりながら、グラウンドを3周します。皆が疲れてくると休憩タイムで、新成人の女性たちが「ご苦労様です」と持ってきてくれるお神酒と大根なますで燃料補給します(笑)。
点火は日没後です。松明の火が神明さんの足元に移されると瞬く間に神明さんは炎に包まれます。その火に向かってグラウンドにいる皆は手を合わせて無病息災や家内安全などを祈願します。燃え尽きるまでわずか数分です。
神明さんは燃え方で吉凶も占われます。下から上まで勢いよく火が昇っていくと良い年になるといわれていて、「今年はよう燃えたけえ、ええのお」と皆で喜びます。

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ふるさと自慢忠海で育つ海ぶどうは竹原市の新名物

シシゾウ:竹原市の食の名産品を教えてください。

新本さん:忠海に養殖場のある海ぶどうです。地元の漁業従事者が高齢化する中、漁以外の収入源として数年前から試験養殖が始められ、出荷が本格的に開始されました。瀬戸内海での海ぶどう養殖は珍しく、竹原市の新しい特産品になることが期待されています。

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メッセージ地区の一体感が感じられる祭りを大切に守っていきます

新本さん:長年、神明さんの祭りに携わる中で、組み上げた神明さんが無事に立ち上がったときや燃やし終わったとき、年長者の方が感極まって涙をポロっと流す場面を幾度か目にしてきました。多大な費用と時間・労力をかけて作ったご神体を数分で燃やしてしまうこの祭りに大の男たちが時に涙し、時に熱狂する姿は他所の方からすると不思議に感じられるかもしれませんが、忠海に来て実際に祭りをご覧いただくとご理解いただけると思います。忠海の暮らしに根差し、地区の一体感を味わえるこの祭りをこれからも大切に守っていきたいですし、他所の方にも関心を持っていただきたいです。

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※祭り紹介者 小丸居神社奉賛会 新本 直登(しんもと なおと)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

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