トップページ
 >  祭り紹介 >  今年応援する祭り >  古郡神楽

古郡神楽

古郡神楽

祭り紹介

歴史江戸時代、水田に水を引く堰の完成を祝い奉納された神楽が起源

シシゾウ:古郡神楽は、いつ始まりましたか?

田澤さん:文献は残っていませんが、言い伝えによると慶長6年(1601)、藤島城主に着任した最上氏の家臣、新関因幡守(にいぜきいなばのかみ)が、毎年水不足で悩まされていた農民を救うため、堰(現在の因幡堰)の開削に乗り出し、古郡集落の鎮守であった池神社に21日間おこもりをして工事の無事と完成を祈願したといわれています。その後、江戸幕府の国替えにより、領主が最上氏から庄内藩の酒井氏に変わりましたが工事は引き継がれ、着手から百年近くの歳月をかけ、1,500ヘクタールにおよぶ水田を潤す因幡堰が完成しました。この難工事の無事を祈願するとともに、工事の端緒となった新関因幡守公の遺徳に感謝して池神社に奉納されたお神楽が古郡神楽の始まりといわれています。
昭和40年頃までは、10数年ごとに総勢50名ぐらいで全ての演目を演ずる「大神楽」を組織し、池神社の秋の大祭に奉納するとともに、近郷近在の祝い事に招かれ芸を披露するという興行的なことも行っていました。その後一時途絶えそうになった時期もありましたが、平成に入って20代から60代の約30名で古郡神楽保存会を立ち上げ、近年は毎年8月15日の池神社の例大祭に奉納し、芸の伝承に努めています。

ページ先頭へ

みどころ繰物くりもの廻し物まわしもの竪物たてもので繰り出す技の数々は
セミプロ級

シシゾウ:古郡神楽の特徴を教えてください。

田澤さん:獅子舞から始まり、伊勢の太神楽の流れをくむ曲芸的な演目や三河万歳まで、内容が非常にバラエティに富んでいるところが最大の特徴です。当初は獅子舞のみだったものに後年さまざまな演目が付け加えられていき、現在の形になったようです。曲芸的な演目は、鶴岡市内にある伊勢神宮両所宮で行われていた伊勢太神楽の影響を受けたのではないかといわれており、農家の人たちが農作業の合間に楽しみながら芸に磨きをかけてきたのでしょう。現在、庄内地方の神楽で曲芸的な演目を伝えているのは、私の知る限り古郡神楽だけです。

シシゾウ:獅子舞について教えてください。

田澤さん:前と後ろのふたりで獅子舞を演じます。獅子頭は耳がピンと立った牡獅子で暴れ獅子です。始めから中盤にかけては勇壮に舞い踊り、徐々に穏やかになり、最後は静かに舞い納めます。藤島地域に伝承されている獅子舞の多くは、一人で舞う「一人獅子」ですが、古郡の獅子舞は「米一斗」の重さのある獅子頭を操る「二人獅子」で、通しで舞うと10分以上もかかり体力的にとてもきつい舞となっています。

シシゾウ:曲芸的な神楽について教えてください。

田澤さん:大きく分けて繰物、廻し物、竪物の3つがあります。繰物は今でいうジャグリングで、毬や鎌、刀などを巧みに操ります。現在、鎌と刀は作り物ですが、以前は本物を使っていました。繰物で一番難易度が高いのは、大豆と毬と鎌という重さも形もまったく違う3種類の道具を同時に操る芸で、最後に大豆を放り投げ、鎌の刃先で豆をパンとはじき飛ばす演技です。小道具に鎌や豆などが用いられるのも農村の神楽ならではと思います。
廻し物は、和傘の上で毬や古銭を回す傘廻し、菅笠やお盆の上で卵を回す卵回し、細い竹先での皿回しなど大道芸でおなじみの演目です。
竪物は他所ではあまり演じられることがない珍しい演目です。日本刀や太鼓のばち、鍬(くわ)、はしごなどを顎の上にバランスをとりながら立たせる技で、10を超える種目があります。私が子どものころは本物の日本刀が使われていたので、長刀の刃先を顎に立たせる芸では、演者の顎から血がにじみ出ていたものです。三丁継ぎといって脇差しの抜き身を弓なりに3本つなげ、顎にのせて立たせる芸なども見ごたえがあると思います。
竪物の中でひとつの到達点といわれるのが三番叟(さんばそう)です。演者は長さが1メートルほどの棒の先についた小さな皿に抜き身の小刀を十字に重ねて置き、その棒を顎にのせバランスをとりながら三番叟を舞います。それだけでも大変なのに、舞う前に顎に乗せたまま一度寝転んでから立ち上がるという技があります。本当に難しい演目ですが、難しいからこそやってみたいということで、現在2人の後継者が挑戦しています。

ページ先頭へ

注目ポイント小学生で神楽デビュー。
春の「お頭様かしらさまの氏子廻り」は若者の必修科目

シシゾウ:神楽の伝承はどのようになさっているのですか

田澤さん:古郡神楽には唯一、子どもが演じる剣(つるぎ)の舞という演目があります。古郡地区の男の子は小学生になったら全員、剣の舞を習い神楽に出演します。小学校を卒業するといったん神楽から離れますが、学業を終え社会人になって地元に残る人は、春4月に行われる「お頭様の氏子廻り」で、笛や太鼓、獅子舞の役者となって神楽に再デビューします。これは毎年4月15日前後に行われ、古郡集落の全戸と近郷の氏子の家などを門付(かどづけ)して回ります。獅子舞を演じる役者は、3月になると笛・太鼓・獅子舞のそれぞれのお師匠さんより指導を受け、この氏子廻りと5月2日の池神社春季例大祭の本番に臨みます。
また、8月15日の秋季例大祭で奉納する獅子舞や剣の舞、曲芸もの、太夫才蔵の三河万歳などを演じる全メンバーは、7月に入ると古郡公民館内にある神楽伝習室に集まって、先輩たちの教えをいただきながら週に2~3回稽古に励んでいます。

シシゾウ:田澤さんの古郡神楽にまつわる思い出を聞かせてください。

田澤さん:小学生のとき、東京や仙台で催された「伝統芸能大会」に出演して剣の舞を披露したのは懐かしい思い出です。他所に行けることがとても嬉しかったのですが、それと同時に、ふるさとを代表して神楽を舞うことに子どもながらも誇りを感じていました。今、子どもたちに剣の舞を指導していますが、舞うことを通じて子ども心に郷土意識のようなものが芽生えてくるのが感じられるので頼もしいなと思って見守っています。社会人になって他の演目に挑戦するときも、子ども時代に剣の舞で神楽に慣れ親しんだ経験があるからこそ、スムーズにその世界に入っていただけるような気がしています。そして、先輩の背中を追いながら、それぞれが選んだ演目を極めていきます。そういう流れができていることにより、古郡神楽は今まで途切れることなく続いてきたのだと思います。

ページ先頭へ

ふるさと自慢山形の人気ブランド米「つや姫」の生まれ故郷

シシゾウ:鶴岡市の食の名産品を教えてください。

田澤さん:庄内平野のほぼ真ん中に位置する藤島地域は全国屈指の米どころです。山形のブランド米で全国的に人気が高い「つや姫」は、古郡地区のすぐそばにある山形県の水田農業試験場で誕生しました。この「つや姫」は、山形県内ではマイスターと呼ばれる高い技術を持った生産者に限定して減農薬減化学肥料の特別栽培を行っており、安心安全なおいしいお米として、今や全国のトップブランドの評価をいただけるようになりました。

ページ先頭へ

メッセージ検討会を立ち上げて、より良い継承の形を考えていきます

田澤さん:保存会には20代の若いメンバーもいますが、今後少子高齢化による人手不足は避けられません。そこでこのほど、池神社の祭礼や古郡神楽を次の世代につなぐため、集落の各世代や女性にも加わっていただいて、「祭り検討委員会」を立ち上げました。皆で時間をかけて話し合い、伝統を良い形でつないでいける方向を探っていきたいと考えています。
今回、「ダイドーグループ日本の祭り」に取り上げていただいたことは大変名誉なことであり、これまで綿々と続いてきた古郡神楽の伝統を次世代に引き継いでいくためにも、良いきっかけとなってくれるものと感謝しています。

ページ先頭へ

※祭り紹介者 古郡神楽保存会 世話役 田澤 繁(たざわ しげる)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

  • これまで応援した祭り
  • 注目の祭り
  • ダイドーグループ日本の祭りチャンネル
  • 祭り写真館
  • 祭りカレンダー
  • 吉村作治先生の祭り考察
  • 日本の祭り 名産品
  • DyDo online shop

日本の祭りポスターをプリントしよう!

ダイドーグループは「NPO(特定非営利活動法人)日本の祭りネットワーク」に加盟しています。

(ピックアップ!)関連する祭り

関連ワード過疎地の神楽

ダイドーグループ日本の祭りが応援してきたアーカイブから関連する祭りをご紹介します。