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深川八幡祭り

祭り紹介

歴史江戸幕府の意を受けて始まった神輿渡御。3年に一度、五十三基の大神輿が勢ぞろい

シシゾウ:深川八幡祭りは、いつごろ始まりましたか?

鷲田さん:江戸時代前期、三代将軍・徳川家光に長男の家綱が誕生したことを祝う祝賀行事で、江戸城まで神輿を担いでいったのが始まりといわれています。
現在の神輿連合渡御が始まったのは戦後です。戦時中の空襲で多くの神輿が焼失してしまったため、当初の神輿の台数は二十基前後だったようです。その後、徐々に台数が増えていき、現在は53町会の五十三基の神輿が連合渡御に参加します。

シシゾウ:連合渡御は毎年行われないのですね。

鷲田さん:連合渡御が行われるのは3年に一度の本祭りです。例大祭の神事が8月15日に行われ、その直近の日曜に連合渡御が開催されます。連合渡御の前日には富岡八幡宮の御祭神を移した御鳳簾(ごほうれん)が氏子地区を巡幸します。本祭りの次の年は、富岡八幡宮の二の宮神輿が渡御し、その次の年は、各町会の子どもたちが主役の子供神輿連合渡御が行われます。

シシゾウ:祭りの組織について教えてください。

鷲田さん:連合渡御に参加する53の町会は7つの部会に分かれています。各町会にはそれぞれ5~8名の神輿総代という役員がいて、部会を構成します。さらに、各部会から選出された7~8名によって本部が組織されます。祭りの決め事はすべて本部で決められ、部会と町会に通達されます。3年に一度の本祭りに備えて本部と部会は毎月定例の会合を開いています。

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みどころ一基の神輿に担ぎ手は400~600人。永代橋では力強く差し上げを披露

シシゾウ:連合渡御当日の主な流れを教えてください。

鷲田さん:各町会の神輿の担ぎ手たちは、午前5時ごろから各町会の神酒所(みきしょ)に集まります。神酒所というのは、連合渡御のために道路や駐車場などに設営される御仮屋です。各神輿は神酒所を出発すると部会ごとの集合場所に集まり、そこからは部会で揃って全体の集合場所となる富岡八幡宮前の永代通りに向かいます。
午前7時、すべての神輿が揃うと神事が行われ、午前7時30分に花火の合図とともに神輿が一基ずつ出発します。順番は7部会が毎年くじ引きをして決めます。神輿の数が多いので、最後尾の神輿がスタートするのは先頭が出発してから約2時間後です。コースの全長は約8キロで、富岡八幡宮を出発した神輿は、氏子地区の深川、清澄、箱崎、新川を巡り、永代橋を渡って富岡八幡宮に戻ってきます。

シシゾウ:深川八幡祭りの神輿の特徴を教えてください。

鷲田さん:担ぐときの掛け声は「わっしょい、わっしょい」で統一しています。「わっしょい」には「和を背負う」という意味があるといわれています。浅草の三社祭で有名な掛け声「そいや、そいや」の足踏みをするようなテンポに比べると、「わっしょい」は歩幅が広く、長い距離を担ぐのに向いているように思います。神輿は午前中に1回、昼食で1回休憩をするとき以外、下ろされることはありません。そのため、一基の神輿に400~600人の担ぎ手がつき、交替して担ぎます。

シシゾウ:担ぎ手は全員、地元の方ですか?

鷲田さん:地元の人間とは限りません。私が所属する平野三丁目町会を例にとると、材木商が多い地域で、最近でこそマンション建設で住民数が増えていますが昔からの住民はわずか100世帯ほどです。その人数で600人近い担ぎ手を確保するのは不可能なので、友人や知人に声をかけて一緒に担いでもらっています。他所の町会も同様だと思います。
深川八幡祭りの神輿は女性も担ぎます。肩が揃うように女性だけで担ぐ区間をあらかじめ決めている町会もあります。

シシゾウ:おすすめのみどころを教えてください。

鷲田さん:第一のみどころは出発前、富岡八幡宮前の永代通りに五十三基の神輿が集結するところです。広い通りが揃いの祭り半纏を着た担ぎ手たちに埋め尽くされて壮観です。観客の皆さんに一番人気が高いのは永代橋です。中央区側の新川で昼食休憩をとってから隅田川に架かる永代橋を渡るのですが、手古舞(てこまい)の女性たちが神輿を先導して華やかに練り歩きます。手古舞は、辰巳芸者(たつみげいしゃ)と呼ばれた深川の芸者衆が得意にした芸で、男髷(おとこまげ)に片肌脱ぎの襦袢(じゅばん)、たっつけ袴にわらじといった男衆の装束で右手に金棒、左手に提灯を持ち、木遣りで練ります。
永代橋にさしかかると担ぎ手たちは腕を伸ばして神輿を高々と差し上げます。これは一説には、橋がなかった時代に神輿を高く差し上げて川を渡ったことの名残といわれています。

シシゾウ:鷲田さんの神輿にまつわる思い出をお聞かせください。

鷲田さん:神輿は長く担いでいると肩の皮が剥けてボロボロになりますが、毎回どれほど痛い思いをしても神輿を担ぐのはやめられません。心底、神輿が好きなのだと思います。今でも必ず一度は担ぎ棒に肩を入れます。私の町会は材木関係の仕事に就いている人が多く、フォークリフトが普及してなかった時代には材木を肩で担いでいたので担ぎ慣れているようですが、材木と神輿では勝手が違って肩の皮がむけるのは一緒です。そこで、神輿を担ぐときには仕事に差し障りのないように普段は使わないほうの肩で神輿を担ぐのですが、夢中になると両方の肩を使ってしまい、両肩の皮が剥け、祭りが終わってしばらくは痛くて仕事にならないという人が大勢いたものです。

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注目ポイント沿道からの清めの水で担ぎ手も観衆も共にびしょ濡れ。一体になって盛り上がる

シシゾウ:深川八幡祭りは「水掛け祭」の異名がありますが、由来について教えてください。

鷲田さん:真夏に長い距離を担ぐので、神輿の担ぎ手たちの体を冷やすために、清めの水として神輿と担ぎ手たちに水を掛けるところからその名がつきました。交差点などの見せ場では、消防団が待機して消火栓から滝のように放水したり、荷台にブルーシートを張って水を溜めたトラックを待機させて、男たちがバケツで豪快に水をかけたりします。観客が一番集まる永代橋では、神輿が橋を渡りきったところで消防車が盛大に放水します。遠くからでも水しぶきが見える迫力です。各町会も水とバケツを数ヵ所に用意しており、水掛けは観客の皆さんも参加できます。水とバケツが用意されているところに行って、担ぎ手たちに水をかけてあげてください。

シシゾウ:本祭りの翌年に渡御する二の宮神輿はどのような神輿ですか?

鷲田さん:富岡八幡宮には「日本一の黄金神輿」と呼ばれる一の宮神輿と二の宮神輿があります。平成3年に奉納された一の宮神輿は重量が約4.5トンあり、純金の屋根にダイヤなどの宝石を目にはめ込んだ鳳凰や狛犬で装飾された、日本一豪華な神輿です。ただし、あまりにも重すぎて長い距離を担げなかったため、平成9年に軽量な二の宮神輿が製作されました。二の宮神輿も金の屋根やダイヤをはめ込んだ鳳凰で装飾された豪華な造りです。
二の宮神輿の渡御は、本祭りのコースとは違い七部会に行き渡るように各部会で決めたコースを受け持って担ぎます。本祭りのときには、神輿総代や祭り好きの有志で結成された睦会(むつみかい)のメンバーは指揮や警備に追われて町会の神輿をほとんど担げないので、このときに思う存分神輿を堪能します。

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ふるさと自慢伝統の江戸前の味「深川めし

シシゾウ:深川地区の食の名産を教えてください。

鷲田さん:深川名物といえばあさりです。隅田川河口の深川地区は埋め立てられる前は一帯が海で、あさり漁が盛んでした。今でもわずかですが漁が行われています。
深川のあさりを使った名物料理が深川めしです。起源は江戸時代の漁師めしで、朝が早い漁師さんたちが手早く食べられるように、アサリとザックリ切ったネギを味噌で煮込んで、ご飯にぶっかけたものです。現在は、むき身のあさりを炊き込んだご飯も深川めしと呼ばれます。深川には、深川めしを出す料理屋さんが何軒もあります。

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メッセージ濡れてもよい格好で気軽に見にいらしてください

鷲田さん:気軽に見に来ていただきたいです。水掛けにもどんどんご参加ください。観客の方が多いと神輿の担ぎ手たちも盛り上がります。お越しになる際は濡れてもいいようにTシャツ、コットンパンツなど軽装でいらしてください。

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※祭り紹介者 富岡八幡宮神輿総代連合会 会長 鷲田 信夫(わしだ のぶお)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

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