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葵祭

葵祭

祭り紹介

祭り写真館 今年の様子をご覧いただけます。

7/17公開!

歴史幾多の中断を乗り越え、京都市民の力で伝統を
今につなぐ

シシゾウ:葵祭の起源を教えてください。

猪熊さん:葵祭は成り立ちが複雑で、歴史的な背景など全貌を詳しく説明すれば1冊の本になります。延暦13年(794)に平安京(京都)に遷都した朝廷が先住の古代氏族・賀茂氏の氏神をまつる賀茂社(下鴨神社・上賀茂神社)に挨拶の使者を送る儀式が葵祭です。
賀茂社の御祭神は元々、賀茂一族の本拠地である奈良県の葛城山(かつらぎさん)の麓にまつられていました。欽明天皇の治世(6世紀中ごろ)、悪天候で人々が苦しんでいたとき、賀茂の大神の祭りをせよという占いに従い、騎手にイノシシの面をかぶらせ、鈴をつけた馬を駆けさせたところ、天候が回復し、五穀豊穣に恵まれました。これが葵祭の起源といわれています。後に賀茂一族は山背国/山城国(やましろのくに=現在の京都府)に移り、賀茂社は賀茂川のそばにまつられ、山背国の守護神になります。
神話によると、山背国に移った賀茂の大神(賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと))の娘の玉依比売命/玉依媛命(かもたまよりひめのみこと)は小川で川遊びをしているときに流れてきた丹塗りの矢の力によって身ごもります。そうして生まれてきたのが賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)です。この神様は名前の通り、天候を司る神様で、上賀茂神社(正式名は賀茂別雷(かもわけいかづち)神社)にまつられています。下鴨神社(正式名は賀茂御祖(かもみおや)神社)には賀茂別雷大神の祖父の賀茂建角身命と母親の玉依比売命がまつられています。なお、賀茂別雷大神の誕生にまつわる物語は単なる神話ではないという説が有力です。葵祭は名称の由来にもなっている通り、葵祭の行列に供奉する人の衣装や冠、牛馬や牛車(ぎっしゃ)のすべてにフタバ葵(ふたばあおい)と桂(かつら)の葉を絡ませた「葵桂(あおいかつら)」が飾られます。

シシゾウ:古代から現代まで葵祭の変遷を教えてください。

猪熊さん:葵祭は長い歴史の中で何度も中断の憂き目に合っています。室町時代に起きた応仁の乱で京都は戦場になり、皇室の経済状態が悪化したことにより、文亀2年(1502)から祭りは催行されなくなりました。時は移り、江戸時代中期に葵祭復興の気運が高まり、時の支配者である徳川氏の援助のもと、元禄7年(1694)に葵祭と名称を改めて祭りが再興されました。その後、明治維新で葵祭は再び中断しますが、岩倉具視(いわくらともみ)の尽力によって明治17年(1884)に勅祭(=天皇の使者である勅使が派遣される祭り)として復活します。その後、太平洋戦争による中断を経て、昭和28年(1953)に商工会議所など京都市民が中心になって行列を復活させ、現在に至っています。

シシゾウ:15日の本祭に先立って様々な行事があるそうですね。

猪熊さん:葵祭は前儀として流鏑馬(やぶさめ)神事をはじめとする多くの関係行事が行われます。その中で最も重要なのが、5月12日に行われる下鴨神社の御蔭祭(みかげまつり)と、上賀茂神社の御阿礼(みあれ)神事です。御蔭祭は下鴨神社の北、比叡山西麓に鎮座する御蔭神社に新しくお生まれになった御祭神の神霊を御神櫃(ごしんぴつ)に移して下鴨神社に迎える儀式です。御阿礼神事は、上賀茂神社の近くの神山(こうやま)という御神体山に新しく生まれた御祭神を迎える儀式です。御蔭祭は見学できますが、御阿礼神事は非公開で深夜に行われる神秘的な祭儀です。

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みどころ平安王朝の風俗を伝える束帯などの装束に注目

猪熊さん:賀茂祭は、宮中の儀、路頭の儀、社頭の儀という3つの儀式で構成されます。宮中の儀は、天皇の使いの勅使が、天皇にこれから出発するという挨拶をする儀式です。現在は皇居が東京にあるため、省略されています。路頭の儀は、勅使一行が御所から下鴨神社と上賀茂神社に向かう行列を指します。世間では、路頭の儀を葵祭と思っていらっしゃる方が多いのですが、祭りで最も重要なのは、勅使が神社の神前で古儀に則って御幣物(ごへいもつ =供え物)を献上し、御祭文(ごさいもん =天皇の言葉)を奏上する社頭の儀です。社頭の儀は、下鴨神社、上賀茂神社それぞれで行われます。なお、三大勅祭といわれるのは葵祭、京都の石清水八幡宮の石清水祭、奈良の春日大社の春日祭です。

シシゾウ:路頭の儀のみどころを教えてください。

猪熊さん:行列は勅使を中心とする本列と斎王代を中心とする斎王代列(女人列)に分かれます。平安時代、勅使に選ばれるのは容姿端麗な青年貴族で、毎年、誰が勅使に選ばれるかが貴族の女性たちの関心の的でした。そのほか、主要な役として検非違使志(けびいしさかん)、山城使(やましろのつかい)などがあります。検非違使志は現在の警察機構に相当し、行列の前方に位置して警備を統括します。山城使は現在の京都府副知事に相当します。そのほか、今でいう総理府や宮内庁などの役人たちも参列します。束帯をはじめとする装束はみどころのひとつで、黒、蘇芳(すおう =緋色)、縹(はなだ =青)など位階によって色が決まっていた平安時代後期の風俗を見ることができます。
余談になりますが、路頭の儀の行列で下級職の役を務めるのは、大学生のアルバイトです。学生アルバイトの採用は昭和30年前半から始まりました。京都で学生時代を過ごした人の中には、大学時代の一番の思い出が葵祭のアルバイトという人が少なくありません。

シシゾウ:路頭の儀を見るのにお勧めの場所はありますか?

猪熊さん:ゆっくり座って行列をご覧いただけるのは、京都御苑と下鴨神社参道に設けられる有料観覧席です。昔の行列の雰囲気が味わえておすすめなのは、行列が下鴨神社から上賀茂神社に向かうときに通る賀茂川堤です。

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注目ポイント十二単に身を包む、華やかな葵祭のヒロイン、
斎王代

シシゾウ:斎王代について教えてください。

猪熊さん:勅祭である葵祭の主人公は勅使ですが、路頭の儀で観客に人気が高いのは十二単(じゅうにひとえ)をまとって腰輿(およよ)に乗る斎王代です。勅使をヒーローとすれば、斎王代はヒロインという役どころです。
斎王代は斎王の代理という意味です。賀茂社に斎王が誕生したのは9世紀初め、嵯峨天皇が賀茂の神様に戦勝祈願をし、それがかなえられた御礼に、内親王(天皇の娘)を神に奉仕させるために遣わしたのが始まりです。斎王の制度は約400年続いた後に廃止されましたが、路頭の儀に女人の行列を復活させたいという声が市民から上がり、斎王の代理である斎王代の行列が昭和31年(1956)から加えられました。
斎王代列は、腰輿に乗った斎王代を中心に、内侍(ないし)、命婦(みょうぶ)、馬に騎乗する騎女(むなのりおんな)などの様々な所役の女官たちが連なります。傘をさしかけられているのは高位の女官です。

シシゾウ:斎王代に選ばれるのは、どのような女性ですか?

猪熊さん:未婚の女性であることが第一の条件です。教養と品格を持ち、十二単を着用することから着物が似合うことも条件のひとつです。祭り当日は長時間座っていなければならないため、歴代の斎王代は茶道のたしなみがある女性が多いです。

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メッセージ葵祭は日本の祭りの中で極めて重要な役割を
もっています

猪熊さん:極めて古くから現代まで続く葵祭は、厳格に伝統が守られてきました。日本の祭りは葵祭の存在を抜きに語れないと言っても過言ではありません。日本の祭りへのご理解を深めていただく際には、ぜひ葵祭の歴史を紐解いてみてください。

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※祭り紹介者 葵祭行列保存会 会長 猪熊 兼勝(いのくま かねかつ)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

TV番組情報

放送局

ダイドードリンコスペシャル

葵祭
〜1400年の歴史、伝統と文化をつないでいく〜

6/8(金)24:25〜25:25
MBS毎日放送にて放送!

京都三大祭りの一つ葵祭。行列が御所から出発する日本で唯一の祭りです。平安時代の王朝行列、約500人と4頭の牛、36頭の馬に牛車2台が都大路を練り歩きます。元々は五穀豊穣を祈る神社だけの祭儀でしたが平安時代になると神社に向かう絢爛豪華な行列見たさに各地から人々が押し寄せ、源氏物語にも見物の場所取り騒乱が紹介されるほどでした。そんな朝廷や時代の天下人からも敬われた祭りは今、伝統技術が支えています。祭りのヒロイン斎王代の化粧や着付けを60年以上担う女性髪結い師や行列で履く「わらじ」を作る人。また牛や馬を飼育し祭り用に調教する人がいます。胸に秘めるのは「歴史ある祭り」への誇りと継続する責任感です。番組では祭りの歴史、時代背景と優雅な王朝行列を陰で支える人々の苦労と情熱を紹介します。

番組の放送局サイトへ

制作担当者からのメッセージ

ニュースなどで見てきた葵祭は白い砂利道を平安装束の行列がゆ~たり歩き、平面的で京都のパレードみたいイメージを持っていました。しかし実際に目の当たりにしたら800mの行列の長さに圧倒され、馬や牛、巨大な牛車などとてつもないスケールの大きさに息をのみました。
調べると源氏物語に登場したり、各時代の天下人にまで崇敬されるほど格式が高い祭りと知り驚きました。感動したのは祭りを支えている人々です。平安装束を忠実に再現しようと古式の髪結いや草鞋作り、牛馬の調教など葵祭への熱い想いを持って取り組んでいました。
技術と熱意を次世代に託す。1400年の歴史は伊達じゃない! プロデューサー 福井 修

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TV番組情報

ダイドードリンコスペシャル葵祭
〜1400年の歴史、伝統と
文化をつないでいく〜

6/8(金)24:25〜25:25
MBS毎日放送にて放送!

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