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安波祭

安波祭

祭り紹介

祭り写真館 今年の様子をご覧いただけます。

3/5公開!

歴史東北大震災の翌年から避難先で実施。7年ぶりの地元開催も実現

シシゾウ:安波祭の起源について教えてください。

渡部さん:安波祭は苕野神社の祭礼で、地元では安波様とも呼ばれています。安波様は、大杉大明神という航海の神様で、茨城県霞ケ浦の南岸を発祥の地とする安波信仰は、漁港を持つ請戸地区を含む関東から東北にかけての太平洋岸の港町に広まりました。ちなみに、安波という名称は、この航海の神様をまつる神社が鎮座する村の地名が「あんば」と呼ばれていたことに由来しています。
安波祭そのものの正確な起源は分かりませんが、祭りに奉納される田植踊は、約300年の歴史があるといわれています。

シシゾウ:浪江町は東北大震災の原発事故で甚大な被害を受けられましたが、安波祭は続けてこられたそうですね。

渡部さん:海沿いの請戸地区は津波で壊滅に近い状態になりました。苕野神社は社殿ごと流され、神輿や装束など祭りに関する一切も失われました。さらに原発事故により、地区住民は県内外での避難生活を余儀なくされました。それでも、祭りの火を絶やしてはいけないと、翌年から避難先の仮設住宅で祭りを開催し、田植踊と神楽を奉納しました。2018年には、避難指示の一部解除を受け、7年ぶりに地元での開催を果たしました。

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みどころ極寒の海で披露する樽御輿の勇壮な神輿ぶり

シシゾウ:安波祭の内容を教えてください。

渡部さん:主な行事は神輿の巡幸と田植踊、神楽の奉納です。現在、神輿の巡幸は休止中で、田植踊、神楽の奉納に加えて、雅楽の奉納も行います。
神輿の巡幸に出るのは神社の神輿と紅白の樽御輿の4基です。神社の神輿は地区内を練り歩いた後、請戸の海岸の祭場に設けられた御小屋(おこや)にお渡りします。樽御輿を担ぐのは上半身裸で下帯姿の青年たちです。樽御輿の最大の見せ場は荒波渡御で、極寒の海に入って、海中で威勢のいい練りを披露します。昔は神輿も樽御輿も担ぐのは漁業関係者の役目でした。私は若いころ、樽御輿を担いだことがあります。海水の冷たさもさることながら、冬の浪江の海は荒れるので、海に入るのは勇気がいりました。
田植踊と神楽は苕野神社の境内と祭場で奉納されるほか、御小屋の神事が終わった後、地区内の家々を回って踊りを披露します。

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注目ポイント華やかさは県内屈指の田植踊

シシゾウ:田植踊の特徴について教えてください。

渡部さん:福島県内には200近い田植踊が伝承されています。その中で、請戸の田植踊は、衣装も含めた華やかさが特徴で、専門家からは、芸能として完成されているという評価をいただいています。
踊り手は、早乙女7人、才蔵7人、中打ち2人の16人が基本ですが、それより少ない編成でも踊ります。花笠をかぶる早乙女は、苗を植える若い女性の役、才蔵は苗を運ぶなど力仕事をする男役、中打ちは小太鼓を打って、早乙女と才蔵を鼓舞する役です。現在、踊り手を務めるのは女子児童です。本来、才蔵と中打ちは男性の役目でした。しかし、昭和40年代に青年が少なくなったため、成年女子が踊るようになり、その後、成年女子も少なくなったため、現在の形になりました。
約20分間の踊りは「田植踊」を中心とする4つの曲から成る4部構成です。最初に相馬地方で歌われてきた民謡「相馬流れ山」で舞い込みます。2曲目に披露するのが田植踊です。早乙女、中打ち、才蔵は3列になり、中打ちを挟んで早乙女と才蔵が向き合って、田植えの所作などを取り入れた振りを踊ります。3曲目は、才蔵による大漁を祝う「大漁節」、4曲目は早乙女による伊勢地方に伝わる「伊勢音頭」の手踊りです。

シシゾウ:神楽について教えてください。

渡部さん:いわゆる獅子舞で、田植踊と同じように4部構成になっています。最初は2人、途中から1人加わり、3人で舞います。請戸の獅子舞は雄獅子の舞で、男らしいダイナミックさが特徴です。舞い手を務めるのは請戸芸能保存会のメンバーで、私も一員として長年、囃子の笛を担当しています。

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ふるさと自慢福島県はフルーツ王国。贈答にも人気

シシゾウ:福島県の食の名産品を教えてください。

渡部さん:福島県の特産は果物です。私は毎年、他県の知人にリンゴや桃を送りますが、とても喜ばれます。請戸地区の請戸漁港は、震災以前は、ヒラメ、スズキ、シラウオなど多彩な魚種を水揚げしていました。現在は24隻ほどの漁船が試験操業を行っています。

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メッセージ安波祭は住民とふるさとをつなぐ
心の紐帯(ちゅうたい)

渡部さん:請戸地区は津波でほぼ壊滅し、将来的にも大半の人は地元に戻ってくることができません。そのような状況で、住民と地元をつなぎ、心のよりどころになっているのが安波祭と田植踊です。それを痛感したのは、震災のあった2011年の夏、多大なご支援をいただき、いわき市の「アクアマリンふくしま」で田植踊を復活上演したときのことです。遠方に避難された地区住民の方が大勢駆けつけ、300人ほど入る会場は立ち見が出るほどでした。また、2018年に7年ぶりとなる地元での祭りには震災以降、初めてふるさとに戻ったという方も大勢いらっしゃいました。苕野神社の再建も決定しましたし、心の復興という意味においても、皆で力を合わせて、先人から受け継いできた祭りと伝統芸能をできる限り続けていきたと思います。祭り当日、請戸に来ることができない方々もニュースなどを通じて安波祭が続いていることを知っていただけるとありがたいです。

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※祭り紹介者 苕野(くさの)神社 氏子総代長/請戸芸能保存会 会長 渡部 忍(わたなべ しのぶ)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

TV番組情報

放送局

ダイドードリンコ日本の祭り

踊るふるさと~請戸の安波祭

3/24(日)16:00~16:54
TUF テレビユー福島にて放送!

浪江町請戸地区の「安波祭(あんばまつり)」は、豊作や豊漁、海上安全を祈る伝統行事で、江戸時代からの歴史があると伝えられています。2011年、請戸地区は東日本大震災の津波で大きな被害を受け、福島第一原発の事故により、避難区域となりました。「安波祭」は、避難先で規模を縮小して開催していましたが、2018年、7年ぶりに地元で再開しました。会場では芸能保存会による神楽のほか、子供を中心とする踊り手たちが、豊作を祈る田植踊を奉納します。現在も多くの住民が避難先で生活している中、祭りを続ける背景には、多くの悩みや苦労があります。それでも、地区の伝統を守ろうと奮闘する人たちの姿を追います。

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制作担当者からのメッセージ

全国に多々ある祭りの中には、高齢化や人口減少による担い手不足から、存続の危機に立たされている祭りも少なくありません。この「安波祭」も参加者の確保に苦労していますが、その要因には、2011年の「東日本大震災」そして「福島第一原発事故」があります。祭りが開かれる浪江町請戸地区は、津波で壊滅状態となり、さらに原発事故の影響で避難区域となりました。7年以上が経った今も、多くの住民が散り散りに避難しています。祭りの中で奉納される「田植踊」も、踊り手の子供たちが避難先から集まること自体が、簡単なことではなくなってしまいました。時には外部から応援の手を借り、葛藤しながら、それでも祭りを守ろうと奮闘を続ける人たちの姿を伝えたいと思っています。

テレビユー福島 報道制作局 報道制作部
池田裕美子

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TV番組情報

ダイドードリンコ日本の祭り踊るふるさと
~請戸の安波祭

3/24(日)16:00~16:54
TUF テレビユー福島にて放送!

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