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安田のシヌグ

祭り紹介

歴史琉球王朝時代にさかのぼる神行事

シシゾウ:安田のシヌグは、いつごろ始まりましたか?

大城さん:シヌグは、沖縄県北部(ヤンバル)に伝わる豊年祭です。五穀豊穣と無病息災を祈願して山の神様と海の神様の両方をまつる神事なので、山のない地域にシヌグはありません。起源については、文献などの資料が残っていないのではっきりしたことは言えませんが、琉球王朝時代から行われていて400年の歴史があるというのが沖縄県文化協会の見解です。安田古文化財保存会結成35周年を記念して建立した石碑には安田のシヌグの歴史が400年であることが刻まれています。

シシゾウ:安田のシヌグは国の重要無形民俗文化財指定を受けていますが、他所の土地のシヌグとどこが違うのですか?

大城さん:私はシヌグを研究している関係で、各地のシヌグを見て回りました。ほとんどのシヌグの行事が簡略化されている中、安田のシヌグは昔からの祭礼の内容がひとつも欠落することなく原形のまま伝承されています。古式が守られていることの例をひとつあげると、シヌグ当日に台風が来た場合、普通なら延期や中止にするところを安田のシヌグでは行事ができなくても、行事をやったことにします。なぜなら、神様に延期や中止は通用しないからです。どんな事情があったにしろ、やらなければ神様に対して誠意がないということになってしまうので、言葉の上で「祭りはとどこおりなく終わりました」と言い切ります。そのような細かなところまで昔のやり方が継承されています。そういう点が県を代表する文化財にふさわしいということで昭和53年(1978)に国の重要無形民俗文化財に指定されました。なお、伝統文化のシヌグを廃れさせてはいけないということで、県の文化振興課はシヌグを伝承する市町村でシンポジウム等を実施しています。

シシゾウ:シヌグの行事は年によって違うそうですね。

大城さん:安田のシヌグは、ウフシヌグとシヌグンクァーが1年交代で行われます。ウフシヌグのウフは大きい、シヌグンクァーのクァーは小さいという意味です。ウフシヌグの一番の特徴は山の祭りの「ヤマヌブイ」が行われることです。シヌグンクァーは沖縄県の各地に伝わるウンジャミ(海神祭)を起源としていて、ヤマヌブイがありません。

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みどころ男たちは山に登って、一日神に変身する

シシゾウ:ウフシヌグのヤマヌブイについて教えてください。

大城さん:ヤマヌブイは山の祭りで、山に登って山の神様をお迎えに行きます。シヌグでヤマヌブイの行事を現在も行っているのは安田だけです。
沖縄では山の神は男の神様なので、ヤマヌブイに参加するのは男性で、女性は参加できません。ちなみに、年齢は問いません。安田で生まれた男性にとってヤマヌブイに参加するのは当たり前のことで、私も小さいころから現在まで毎年欠かさずヤマヌブイに参加しています。安田出身の県外に暮らす人たちで組織される郷友会の人たちも、男の子が生まれると、わが子の健やかな成長を祈願するために子どもを背負って山に登ります。ヤマヌブイは、安田にゆかりのない人も参加できます。最近は外国人の姿をよく目にします。県外や外国の方も一緒に行事を行うのは他所のシヌグではほとんどないと思います。
ヤマヌブイは昼から行われます。男たちが登るのは安田にある3ヵ所の山で、三手に分かれます。登るときは、体に藁縄、赤い実をつけたミーハンチャー(ごんずい)の枝をつけ、頭にはガンシナーと呼ばれる藁で編んだ輪っかをかぶります。ガンシナーは、ヌル(女性の司祭)がウガン(御願)をするときにつける神に扮するための装束です。
男たちは山頂の所定の場所に着くと全員で山の神に向かい、手を合わせてウガンをします。次に海の方角に向いて、海の神様にも感謝と祈りを捧げます。続いて、その場を全員でグルグル回りながら祈願をします。これらの儀式を行うことによって男たちは山の神様の霊力を授かります。一日神になった男たちは下山すると、次に海に向かいます。浜辺に着くと、男たちは海に向かって拝み、山に登るときに身に付けていた藁縄などをすべて海に流します。これは厄払いの意味があります。続いて、安田で唯一の川に行って川の水で足を洗い、身を清めます。これでヤマヌブイは終了です。

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注目ポイント農作業や航海の様子を模倣し、豊かな実りと航海の安全を願う

シシゾウ:夜にはどのような行事があるのですか?

大城さん:午後7時から、アサギという神事が行われる場所に地区の全員が集まってタークサトリ(田草取り)、ヤーハリコー、ウシンデークを行います。タークサトリは、五穀豊穣を祈願して、男女が列になって腰をかがめて田んぼで草取りをする仕草をします。ちなみに沖縄でいう五穀豊穣の五穀は米、麦、粟、豆、砂糖です。ヤーハリコーは、男たちが抱えた丸太を船に見立て、船の進水式を模倣した動きをして航海の安全を祈願します。ウシンデークは沖縄県内に伝わる古舞踊です。地域によってウスデークなどいろいろな呼び名があります。ウシンデークを踊るのは女性で、全員で円陣を作って太鼓と歌に合わせて約1時間踊ります。

シシゾウ:アサギの行事は見学できますか?

大城さん:見学していただいて結構です。民俗学の研究で安田のシヌグの調査をしている県外の大学院生の女性がいらっしゃるのですが、見学するだけでなく、ウシンデークに参加もされています。

シシゾウ:2日目にも行事があるそうですね。

大城さん:2日目はウシンデークと奉納の沖縄相撲があります。元々、ウフシヌグは3日間行われていましたが、現在は2日間に短縮されています。

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ふるさと自慢ヤンバルの豊かな自然が育むサトウキビ、パイナップル、タンカン

シシゾウ:国頭村の食の名産を教えてください。

大城さん:昔からの基幹作物はサトウキビとパイナップルです。果樹では柑橘のタンカンの生産が盛んです。近年、若者の数が減っているために農業後継者が少なくなり、遊休地が増えているのが残念です。

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メッセージ地域の誇りであるシヌグの伝統をこれからも守り続けていきます

大城さん:安田に生まれ育った者にとってシヌグはふるさとの大切な文化遺産であり、誇りです。神文化の伝統を守ることに熱心な人々によって古式を伝えてきた安田のシヌグですが、社会構造や生活様式の変化、少子高齢化などにより、保存継承が今よりも難しくなることが予測されます。だからといって大切なシヌグの伝統を絶やすわけにはいきません。国の重要無形民俗文化財にもなっている安田のシヌグを民俗文化として正しく保存継承するとともに、地域の伝統行事として若い世代に伝えていきたいと思います。

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※祭り紹介者 安田古文化財保存会 顧問 大城 盛雄(おおしろ もりお)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

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