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吉村作治先生の祭り考察 エジプト考古学者、吉村作治名誉教授のブログ

※このページは吉村作治先生からの寄稿を原文のまま公開しています。

2016年10月のアーカイブ


西条まつり

2016年10月31日

「ちょうさ、ちょうさ」と呼びながら、ダンジリを担ぐ男たち。総勢300名以上もが加茂川の中で黄金でつくられた「神輿(ここではみこしでなく「しんよ」とよんでいます)」をかこんで西岸にあげないぞと神輿の行手を阻んでいます。
その間約30分、神輿は上流に行ったり下流にもどったり、阻止するダンジリの間をくぐりぬけようとしますが頑張って通さない動きが活発です。これは愛媛県西条市が毎年行っている西条まつりのクライマックス、川入りの場面です。両岸には約70台のダンジリが提灯に灯りをともして、人々はその様子をハラハラドキドキながめています。あたりはもう真っ暗です。「暗い中での川入りってミステリアスでドキドキしますね」と私の脇にいらっしゃる宮司さまに言いますと、「うちの神さまは天照大神ですから日のあるうちにこれをしないといけないんですが、今日はダンジリの運行が遅くなりついに日の入り後になってしまいました」とつらい思いを語ってくださいました。ともかくやっとのことで東岸にのぼった神輿を結界の中におさめて、神事を行い祭りは終わりをつげました。長い長い1日でした。

この西条まつりは何と1800年の歴史があり特に江戸時代にこのダンジリが大集結することになったようです。私にとっては今回が2回目の西条まつり、十分満足しました。この祭りは、祭りの全てがあります。最後の神楽も若い2人の巫女が浦安を舞ったときは目になみだを浮かべる担ぎ手もいました。素晴らしい祭りでした。

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佐倉の秋祭り

2016年10月27日

千葉県佐倉市の麻賀多神社の秋の大祭です。3日間続くこの祭りはオーソドックスな祭りとして有名です。どういうことかと申しますと、まず神事がきちんとされるということです。約1時間半かけてしっかりと祝詞もあげ、神式にのっとって儀式を行う。また玉串奉天もしかるべき団体の方々が社殿の外に勢ぞろいして代表者と共に祈るなど様々な点で正式に行われます。そして神輿ですが、麻賀多神社のものは1トンもあります。それを約60名のかつぎ手が一斉に持ち上げるのですが、かつぎ手は年齢は若く、当然のこととして背丈はバラバラです。そこをうまく位置の配分で補っています。また掛け声も独特で「明神まつり」、「明神まつり」と叫ぶのです。掛け声にしては少し長いような気がしますが、麻賀多神社の明神さまがいらっしゃるわけですから、一声一声、「明神」さまに感謝をしていることが伝わりとてもいい感じです。日本全国一番多い掛け声は「わっしょい」ですが、こういうのもいいですよ。そして神社の階段をおり、町中に入る前、屋台(山車)がいてここで一回パフォーマンス、屋台の前に神輿のかつぎ棒の前端をひっかけ、屋台と神輿が大きくゆするのです。その時、かつぎ棒は神輿からはなれ、山高帽子に紋付はおりの6人の方にかつがれます。
佐倉の秋祭りはこの麻賀多神社の他、愛宕神社、神明神社、八幡神社の4神社が合同で行われていますが、ここで一番有名なのは、佐倉ばやしです。またこのはやし衆が乗っている屋台と山車は現在18台あるそうですが、山車の上に乗っている人形が特徴的です。18台のうち3台が大人形を屋台の上にのせているとのことですが、この人形は歴史が古く、江戸時代から伝わるそうです。

もうひとつ目をひくのはこの屋台を引く人です。子供がほとんどなのです。「えっさの こらさの えっさっさ」との掛け声で子供たちが引いていく姿に、佐倉が今後ともこの祭りを続けるぞとの思いがこめられています。佐倉は北総4都市が今年、日本遺産と認定され、佐倉は城下町として認定され町中がもりあがっていました。つくづく日本の活性化は祭りだなという気がします。

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藤崎八旛宮例大祭

2016年10月18日

熊本県、熊本市のど真ん中にある藤崎八旛宮の例大祭です。ともかく例年は大規模で参加者1万7千人という祭りです。しかし今年は大地震の影響で約半数に減ってしまったとのことです。しかし、大地震があっても頑張ってやった意義は大きく、掛け声の「ドーカイドーカイ」「いやさかいやさか」の響きからは、復興の意気が感じられました。ここに謹んでお見舞い申し上げますとともに、1日も早くもとに戻し、以前にも増して盛んになっていただきたいです。
この祭りの特徴は、通常ですと70頭(今日は半数)の飾り馬の行進です。まず行列の先頭は「隋兵(ずいびょう)」とよばれる勇壮な武者行列です。次に「新町獅子舞」、そして勢子に引かれた飾り馬の「馬追い」です。行列は通り過ぎるのに2時間から3時間はかかるといいます。この行列が熊本市内を練り歩くのですからすごいです。
歴史をみましても1000年以上続いたこの祭り、市民が一体となってやっているのがわかります。生れて1才にも満たない赤ん坊をかかえた若いお母さん、小学生、中学生、そして高校生。青年はこのために他のところから会社を休んで参加します。

大人は昔をしのんでおしゃべりしながら歩いていますが、飾り馬の口とり人は大変です。馬は容赦なくあばれます。それでも4時間近くかけてお旅所へ、2、3時間休んで還御です。市内中一体となってやっている姿が印象的でした。
終って地震の跡を見ましたが、まだ復興ならずでした。

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赤崎神社例祭

2016年10月18日

長門市の赤崎神社の例祭の特徴は、国指定重要有形民俗文化財となっている楽桟敷のある舞台で行われる舞踊を、氏子をはじめ集まった人々が観るというところにあります。勿論、この催しが始まる前には神事が行われます。いわゆる舞踊は神さまを喜ばせつつ、氏子たちも楽しむ祭りの中の余興の部分です。
起源はいろいろあるようですが、今から400年ほど前に牛馬の疫病が流行したため農耕と牛馬の守護神である赤崎神社に祈願したところ鎮まったことのようです。
まず、「式三番叟」は楽桟敷上でなく隣の広場に特設された舞台で行なわれました。次に、楽桟敷に舞台を移し、「月の前の御伶楽」と「湯本南条踊」そして「虎の子渡し」がつづけて演じられました。舞踊が行われるのは楽桟敷に囲まれた舞台(アリーナ的な空間)ですが、唄はなく楽器だけで行われます。単純ですけど、めりはりのついたとても楽しめるものです。

しかし、始まってから4時間続くこの祭りはとても忍耐力が必要です。下手をすれば、ついつい眠ってしまうこともあります。子供が中心の舞踊はつなぐという意味からは大変重要なものです。衣装もとてもきらびやかで、つけている子供たちが晴れがましさを隠せない楽しさがありました。

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祭り軍団座長 吉村作治 東日本国際大学学長・教授 早稲田大学名誉教授 NPO 日本の祭りネットワーク副理事長

エジプト考古学者(工学博士)
1943年生まれ。早稲田大学入学後の1966年アジア初のエジプト調査隊を組織し現地に赴く。以来、半世紀にわたり発掘調査を継続。「第2の太陽の船」発掘・復原プロジェクトでは、 本格的な修復作業が進んでいる。この8月から新たに「クフ王墓探査計画」を開始。動画サイト「吉村作治チャンネル」では、祭りをはじめ様々な話題を、ほぼ毎日配信中。

公式HP
吉村作治のエジプトピア

http://www.egypt.co.jp/

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