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吉村作治先生の祭り考察 エジプト考古学者、吉村作治名誉教授のブログ

※このページは吉村作治先生からの寄稿を原文のまま公開しています。

2013年10月のアーカイブ


龍勢祭

2013年10月31日

埼玉県秩父市下吉田地内椋神社(むくじんじゃ)の例大祭の付祭として行なわれる煙火を龍勢とよんでいます。この龍勢煙火はこの周辺では少なくありませんが、ここのはその中でも特に有名です。始まりはいろいろと説があるのですが、江戸時代の初めころ、今から400年以上前だと言われています。そのころの記述に「椋神社の例大祭に龍勢ありたり」というのがありますから1500年代にはあったと言うことなんでしょう。もとは例大祭の余興として吉田川の河原で火を燃やしその燃えた木を上に投げ神様に泰じたというのがそのはじまりのようです。その時夜空に流れ星のように一すじの光を見ることができ、それが龍の尻尾のように見えたのでしょう。

江戸時代には一般人が火薬を取り扱えなかったので、櫓から花火を打ち上げるようになったのは、明治時代以降と思われます。それにしましても打ち上げられる龍勢と呼ばれる煙火に人々は思い思いの希望をのせて天の上にいらっしゃる神にとどけていたのでしょうからロマンチックです。

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吉浦カニ祭り

2013年10月31日

この祭りはみんなでカニをたくさん食べようという祭りではありません。皆さんもご存知と思います。では何故「カニ祭り」と言うのかと申しますと、そもそもの由来から話さないとなりません。今を去ること440年、時は戦国時代です。中国地方を牛耳っていた大名、毛利元就のときです。そうです3本の矢で有名な方です。その方の3男、小早川隆景候が創建された吉浦八幡神社の秋の例大祭をカニ祭りというのです。その由来はこの例大祭のころこの地で渡りガニがたくさん獲れ、それをごちそうとしてふるまったことからの通称なのです。この祭りは形としてまさに典型的なものでした。本祭の神儀に参列させていただきましたが、神さまのいらっしゃる本宮の扉を開けて、神前で浦安の舞が奉じられました。そして神様のお乗りもの神輿の他にひらがなで書く「みこし」(だんじりに相当します)が10数台この地区のおのおのがおもいおもいの「みこし」を作り、神輿の後からついてくるのです。ここまでは普通と変わらないのですが、神社は少し高いところにありますので、道から階段を昇らないといけません。数にして103段急こうばいです。そこを昇り降りするのです。昇りを宮のぼり降りを宮さがりといいます。まず町からこの階段をかついで若衆がのぼります。おはらいを受け10数台がのぼりきりますと最初の「みこし」からくだりはじめます。のぼるのも大変ですが、くだるのはもっと大変です。重力の法則どおりいきますとどっと落ちてしまいますので、「みこし」の後にロープを1本つけ20人以上の人が引っ張って一気に落ちないようにしますが、すぐに降り切るのではなく、途中で再びのぼり、そしてくだり、のぼり、くだりのくり返しです。

かつぎ手はヘトヘトでしょう。特に先頭のふとん太鼓という「みこし」は重量が1トン以上あります。かつぎ手も50人近く、しかしこれをのぼりくだり10回近くやりますと精も根も尽き果てますが、1回下につきますと余力のある人は次の「みこし」のお助けに一気に階段をのぼるのです。町ぐるみ人々が1体となって、自然の神々に感謝をするという日本古来の祭りに魂はゆさぶられ心から感動しました。

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穂高神社例祭御船祭

2013年10月31日

ともかくすごいぶつかり合いでした。ドスンドスンと2つの船型の山車が穂高神社の境内でぶつかり合うのです。穂高神社とは長野県安曇野市にあります。今都会の人はこの安曇野にあこがれていて、週末は何千人の観光客がやってきます。北アルプスが背景にあり、青空がとてもよく似合う山なみの風景です。私たちの訪れた今年の9月27日の日も雲ひとつない晴天で、穂高岳をはじめ、やりが岳、その他北アルプスの山々がくっきり見えました。空気と水がともかくおいしいところです。そのふもとにあります、安曇野市にはたくさんの文化施設と神社が多数あります。その中でも、この穂高神社はすばらしい神社です。しかし海のない県長野県しかも北アルプスのふもとにある神社の祭りが何故船なのだろうと疑問に感じる方は多いと思います。私もそのひとりですが、その地名安曇野に答えはあるのです。すなわち安曇野とは安曇氏の住んでいるところでその安曇氏の出所は北九州福岡県の海辺にあったのです。漁業が生業で日本海沿いに北上し、この地に定住したのです。字は違えども、熱海湾など「アツ」とか「アズ」とつく地はこの安曇氏が移り住んだところです。ですから先祖が、その昔をしのんで船の祭りを継承したのです。しかも二隻の船がぶつかり合うのは、雄船と雌船をさし、子孫繁栄を祈ってとのことです。

ともかく観ていても恐くなるくらい両者とも本気でして船を形づくっている木の枝が壊れてしまうくらい激しいものですが、その中にいるおはやしの子どもたちは平気で演奏を続けているのにも感動しました。

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八女福島の燈籠人形

2013年10月04日

九州福岡県八女市の福島八幡宮の放生会(ほうじょうえ)で催される人形じょうるりです。八女と言えばお茶が有名ですが、実は仏壇仏具、竹細工、手すき和紙、燈籠という地場産業でうるおっている福岡県いや九州でも裕福な自治体です。江戸時代から工芸や商業で長崎と本州をつなぐ道すじとして栄えていました。ですから今でも町屋は立派で昔の道沿いに古民家が立ち並んでいます。今回紹介いたします燈籠人形は日本で唯一の横遣い人形というからくり操作のものです。ふつう、人形じょうるりと申しますと、上から糸で操るもの、人が下から操作するもの、人形に数名のくろこがつくものなどがありますが、全ての動きを横棒で行うものです。とても文章で説明するのは難しいので、是非現地でお楽しみください。八女市には燈籠人形を実演してくださる会館がありますので、いついっても見ることができますが、やはり放生会に行くといいです。この人形じょうるりを上演する屋台といわれる建物は毎回解体し、又翌年建てるそうです。もったいないと思いますが、その方が建物の持ちがいいのだそうです。屋台は三階でして、舞台は2階です。1階は下遣いという下から人形を操作する人がいて、2階は横遣い、そして3階はおはやしとうたいの方々がいらっしゃいます。30分で完結し、1日5回上演されますのでとても気軽に見ることができます。しかし夜燈籠に火がともるときが最も良いと思います。

江戸時代から300年近くやられてきただけに形もきちんとされていますし、とても洗練された品のある人形じょうるりです。何回みましても振りがびみょうにちがっています。観客は他の伝統芸能のようなじっと見守るだけの優雅なものです。しかしその裏では60人近い裏方が力の限り人形を操っているのですから、豪快です。

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お熊甲祭

2013年10月04日

石川県七尾市中島町に平安時代を起源とする他にはないユニークな枠旗を担いで練り歩く祭りです。台風も過ぎ秋晴れの青天のもと20mをこす深紅の大きな枠旗を担いで19にものぼる各集落から熊甲神社に毎年9月20日に集まるこの祭りは能登半島でも稀にみる豪華絢爛なものです。得に枠旗(わくばた)といわれる高さ20mもある大きな旗を長方形の木枠の上に据えつけ30人ほどで担ぐのがすごいです。空は青空、周りは緑、そして深紅の大旗担ぐ人々のはん天は色とりどり、そういう大旗が19本も「ホイッサー」とか「ワッセー」とか「イヤサカサー」といったかけ声で神社からお旅所へ巡行するのですから壮観です。この枠旗の前を熊甲神社の先頭で各末社毎に猿田彦のこっけいな踊りと六角形の神輿(一社だけ四角形でした)がやはり担がれていきます。今までの祭りにない要素が数多くあるこの祭りはユニークです。もともとの枠旗は氏子が担いで巡行することはなかったようですが、いつのころか、おそらく明治時代に入ってから、氏子によって担がれるようになったとのことです。

しかし、今回のように台風一過青天のもとギンギラギンの太陽の下、1トン近いものを担ぐというのは安易ではなく、お旅所での島田くずしという大旗が観客に回っておじぎをするのもしんどいようでした。お旅所と田んぼをへだてた道には数千人のギャラリーが枠旗が入っている度に大きく拍手をしていました。のどかな田園風景でした。

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谷地どんがまつり

2013年10月02日

山形県西村山郡河北町谷地の谷地八幡宮の祭りです。一年間のご加護とこの生の多幸を示す御礼と祈願の祭りです。祭りの主役は神輿渡御と舞楽です。歴史は古く、400年ほど前で、氏子の皆さんの信心が高く、神輿も年々はなやかになっていったようです。特徴としましては、神奴と囃子屋台が神輿といっしょになって町内を巡る行列です。

その当番は氏子3地区が1年交替でつとめられますが、その3つの地区は江戸時代に天領と藩領2つの3地区に分けられたため気風がちがい、毎年各地区なりの工夫がなされるのです。祭りはやはり華やかな方がいいです。

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祭り軍団座長 吉村作治 東日本国際大学学長・教授 早稲田大学名誉教授 NPO 日本の祭りネットワーク副理事長

エジプト考古学者(工学博士)
1943年生まれ。早稲田大学入学後の1966年アジア初のエジプト調査隊を組織し現地に赴く。以来、半世紀にわたり発掘調査を継続。「第2の太陽の船」発掘・復原プロジェクトでは、 本格的な修復作業が進んでいる。この8月から新たに「クフ王墓探査計画」を開始。動画サイト「吉村作治チャンネル」では、祭りをはじめ様々な話題を、ほぼ毎日配信中。

公式HP
吉村作治のエジプトピア

http://www.egypt.co.jp/

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