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黒石寺蘇民祭

※このページは写真・文章ともに過去の祭り情報になります。 今年応援する祭りはこちらから

TV番組情報

制作
:テレビ岩手 TVI
放送
:2008年3月2日(日)13:30~14:25

ダイドードリンコスペシャル

掴め、奪え!裸男が、渦を巻く!! ~奥州・黒石寺蘇民祭~

黒石寺蘇民祭

二月の深夜。凍てつく寒さの中、岩手県奥州市の黒石寺で行われる「蘇民祭」。その一年の五穀豊穣と家内安全が約束されるという「蘇民袋」をめぐって、下帯姿の裸男たちが激しい争奪戦を繰り広げる。荒々しい一方で、どこかおおらかでユーモラスな蘇民祭。祭りを支える人、裸で息巻く男衆…蘇民祭を愛してやまない人たちの「心」に迫り、祭りの楽しさ、人間模様、そしてこの地の風土を守る「誇り」を描く。

祭り紹介

  • 祭り写真館

黒石寺蘇民祭

岩手県奥州市水沢区の天台宗の古刹、妙見山黒石寺(みょうけんざん こくせきじ)で毎年旧暦の1月7日夜半から翌8日早暁にかけて行われる黒石寺蘇民祭は、下帯姿の男たちが五穀豊饒と厄除け祈願をする、一千年の伝統を持つ祭りです。この行事を主催する黒石寺の藤波洋香(ふじなみようこう)住職に見どころをお聞きしました。

開催日
旧暦1月7~8日
場所・アクセス
岩手県奥州市妙見山黒石寺
・東北本線 水沢駅下車、バスで30分 タクシーで20分
・東北新幹線 水沢江差駅よりタクシーで15分
お問い合わせ
妙見山黒石寺
0197-26-4168

※掲載された情報につきましては、独自に集積したものであり、変更されている場合もあります。
 お出かけの際には各祭りの主催者へのお問い合わせや公式サイトなどで必ずご確認ください。

妙見山黒石寺住職 藤波洋香さん 氷点下の世界に燃える、下帯ひとつの男たち

シシゾウ:黒石寺蘇民祭は、どのような行事ですか?


藤波:全国に伝わる蘇民将来信仰に基づき、蘇民将来の護符を男たちが奪い合う勇壮な祭りです。祭礼は夜から翌朝にかけて行われるのですが、一番寒い時期の夜中ですから氷点下の世界です。しかも、争奪戦に参加する男性が身に付けるのは下帯だけです。まさに、自分の身体をはって、ご薬師さまのご利益を得るための祭りです。

シシゾウ:蘇民将来信仰とはどのようなものですか?


藤波:蘇民将来の伝説に由来しています。昔、武搭神(ぶとうのかみ又はたけあきのかみ)という神様が旅に出て一夜の宿を求めたとき、金持ちの巨旦将来(こたんしょうらい)は断ったのに、貧乏な蘇民将来は宿を貸しました。以来、武搭神は、蘇民将来の子孫を代々守りますと約束しました。この武搭神は、須佐之男命(すさのおのみこと)、牛頭天王、薬師如来と同一神仏であるとされています。そこから、蘇民将来の子孫であることを示す護符を持つと災厄を免れるということで、護符が頒布される習俗が全国に広がりました。その中でも、岩手の蘇民祭は護符を争奪戦で奪い合うのが特徴です。黒石寺の蘇民祭は岩手県の蘇民祭の中でも最も歴史が古く、規模も最大級です。
水と火で身を清めて、争奪戦に臨む

シシゾウ:どういうスケジュールで進行するのですか?


藤波:まず、夜の10時から裸参り(地元では夏参りとも称す)といって、善男善女がお寺の前を流れている瑠璃壺川に入って水垢離(みずごり)をとります。一番寒い時期で雪が積もっていることが多いのですが、寒気をものともせずに下帯を身に付けた男衆は川の中に入って水で身を清めます。この祭りは、洋服を着た人間は基本的にサポーターとなりますが、この夏参りだけは例外で、男女を問わず小学生からお年寄りまで参加します。服を着ているので川の中にこそ入りませんが、川べりに行って川水で手を洗ったり口を漱いだりします。女性で参加される方も多いですよ。そうやって身を清めた後、本堂と妙見堂を回って願をかけます。それを正式には3回繰り返します。  
夏参りに続いて行われるのは柴燈木登り(ひたきのぼり)です。前もって山から切り出した松の大木を、人の背丈より高く井桁(いげた)に積み上げます。これに点火して、燃え上がったところで、男衆が我先に登っていって火の粉で身を清めます。一度に7、8人は登れるのですが、待ちきれない人に下から引きずり降ろされたりしています。下帯しか付けていませんので火傷をすることもあるのですが、そのときはハイテンションになっていて気がつかないようです。  
さらにその後、五穀豊穣、家内安全、厄除けを祈願して護摩を焚く別当登り(べっとうのぼり)と、鬼の面を逆さにつけた数え年7歳の男の子が大人におぶさって庫裏から薬師堂に向かう鬼子登り(おにごのぼり)という行事が夜を撤して行われます。そうして、明け方にメインイベントの蘇民袋争奪戦が始まります。
蘇民袋を巡る男衆の攻防戦

シシゾウ:奪い合う蘇民袋はどのようなものですか?


藤波:麻の袋で、袋の中に小間木(こまぎ)という長さ3cmくらいの将軍木(かつのき:ヌルデの地方名)で作った六角柱の御守りが五升枡1杯分入っています。数にすると数百はあるでしょう。その小間木には「蘇民将来子孫門戸☆ 黒石寺」と記してあります。これが護符になります。
 余談になりますが、この麻袋を作るために昔は地元で麻を栽培し、檀家の女衆が糸を紡いで布を織っていました。今は昔と違って麻も織り手も確保するのがなかなか大変です。でも、この袋がないと祭りはできませんから、八方手を尽くして岩手県内の織り手を捜して、糸を紡いで麻布を織ってもらって蘇民袋を工面しています。

シシゾウ:どのような手順で争奪戦が行われるのですか?


藤波:蘇民袋争奪戦が始まるのは大体朝の5時半ごろです。まだ辺りが暗いうち、「袋出し」という係の者4、5名が本堂から蘇民袋を外陣(げじん)※に持ち出します。そこに待ち構えていた下帯姿の男たちが一斉に袋を狙って集中攻撃を仕掛けます。袋を奪おうとする男衆と袋を奪われまいとする袋出しの者たちは激しく揉み合います。
そうして30分くらいしたところで、「刀入れ」という係の者が、麻袋に刀で切れ目を入れます。その切れ目から小間木がパラパラと落ちていきます。

※外陣(げじん):寺院本堂で仏像を安置してある場所(=内陣(ないじん))の外側で、一般の人が礼拝する場所。


シシゾウ:見ている人は小間木を取れないのですか?


藤波:洋服を着ている人は蘇民袋の争奪戦には参加できませんが、小間木を取ることはできます。見ている人は皆、「あわよくば」と狙っていますからすごい熱気です。運良く足元に小間木が転がってきたらラッキーです。袋を奪い合っている集団は、左右にドドーッと移動するので、集団が移動した後でこぼれた小間木を探すなどして、女性の方もけっこう拾われています。
取った小間木は、蘇民将来の子孫だという印になりますから、財布や鞄の中に入れたりして、いつも身につけておくと良いでしょう。
約1時間半の激闘を制した勝者が取主に

シシゾウ:争奪戦の決着はどうやってつけるのですか?


藤波:毎年、1時間半以上激しくやりあいますが、決着は寺の境内ではつけません。袋の中から全ての小間木がこぼれおちて空っぽになっても争奪戦は延々と続きます。そこで、世話役は、袋を奪い合う集団を寺の石段から外の公道に誘導します。集団は公道を揉み合いながら移動していきます。そうこうするうちに落伍する者が次々出てきます。世話人は集団が20人足らずになってこれ以上減らないというところで、集団を道路の脇にある田んぼに落とします。そこで、最後の揉み合いが繰り広げられます。そして、最終的に審判長が麻縄で縛っている袋の首の部分を握っている人を取主、さらに、その両側を握っている3名までの人を準取主と決めて、激闘に終止符が打たれます。

シシゾウ:取主になると良いことがあるのですか?


藤波:一番のご利益があるとされています。それ以外に、最後まで頑張ったということで、地域に認められ、男衆に認められる名誉があると思います。
取主は毎年変わります。取主になるにはコツがあるようで、初めて参戦した人が取主になるのは難しく、5年10年とキャリアをつんだ人間が取っていますね。年齢で言うと30~40代の人です。それより上になると体力的にきついようです。氷点下10度の世界で1時間以上揉み合う上に徹夜状態ですからね。
登録すれば誰でも争奪戦に参加できる!

シシゾウ:争奪戦は、誰でも参加できるのですか?


藤波:事前に登録していただき、下帯と足袋を準備して着用すれば、どなたでも参加できます。参加者は例年80~100人くらいです。地元以外の方も相当数いて、東京から参加される常連さんもおられます。なにか燃えるものがあるのでしょう。一度体験されると病みつきになるようですね。「来年はいつですか」という問い合わせが頻繁にありますし、祭りが近付くと体力づくりにウォーキングをしたりする地元の人の姿を見かけるようになります。
身を清めてご薬師様の前に来てください。

シシゾウ:祭りを観にくる人にアドバイスはありますか?


藤波:真冬の夜中の行事ですから寒いのと暗いのは覚悟していらしてください。雪が溶けて地面がぬかるんでいることもあるので、その点も考慮した格好をされてこられると良いでしょう。
蘇民祭はあくまで、観光の祭りではなくご薬師さまのご利益を自分の力で得る祭りですので、その点を踏まえて、もしもおいでになるのであれば、その日くらいは肉、魚、卵、乳製品などの生臭いものを口にせず、身を清め、ご薬師さんの前に来ていただければと思います。
地元の人間は祭りが終わると、厄落としが済んだということで連れ立ってよく温泉に出かけます。水沢市内に温泉がありますし、少し足を伸ばせば花巻温泉もあります。祭りを見に来られたら、温泉につかって夜通しご覧になって冷えた身体を温めるのも良いのではないでしょうか。
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