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毎年6月の第2土曜日に岩手県岩手郡滝沢村で行われる「チャグチャグ馬コ(うまっこ)」は、華やかな装束をつけたおよそ100頭の馬を引いて約15キロをパレードするお祭りです。
チャグチャグ馬コ同好会滝沢支部事務局長の藤倉孝作さん(68)に「チャグチャグ馬コ」の見どころをお聞きしました。 |
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チャグチャグ馬コ同好会
滝沢支部事務局長
藤倉孝作さん |
スタッフ:「チャグチャグ馬コ」はどのようなお祭りですか?
藤倉:「チャグチャグ馬コ」は滝沢村の鬼越蒼前(おにこしそうぜん)神社で行われるお祭りで、同神社から盛岡市の盛岡八幡宮までを装束をつけた馬たちがパレードします。馬の産地であるこの地方には、農作業が一段落する旧暦の5月5日に仕事を一日休み、馬を引いて馬の守護神に参り、馬の無病息災を祈る習わしがありました。「蒼前まいり」といいますが、これが「チャグチャグ馬コ」の起源です。現在、馬に装着している華やかな装束を「小荷駄装束」といいます。盛岡藩主南部家が参勤交代で荷物を運んだ馬部隊、 小荷駄の装束なのです。参勤交代で荷物を運ぶための馬を村から1頭か2頭出すと、殿様からは賃金ではなく、「小荷駄装束」をいただきました。参勤交代に加わるというのは大変名誉なことだったので、いただいた装束をつけて「蒼前まいり」をするものがでてきて流行り、「チャグチャグ馬コ」で小荷駄装束を皆が装着するようになりました。
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スタッフ:「チャグチャグ馬コ」という祭りの名前の由来は?
藤倉:馬は首にドーナツ型をした金属「鳴輪(なりわ)」をつけています。参勤交代では山道も歩くので、「鳴輪」は狼よけのためにつけたと考えられています。また馬には大小の鈴およそ700個ついています。馬が歩くたびに鳴る鈴と鳴輪の音色が「チャグチャグ」と聞こえたことから「チャグチャグ馬コ」と名づけられたようです。 |
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スタッフ:「小荷駄馬装束」とはどのような装束か教えてください。
藤倉:馬の首、胸、脇、尻の4ヶ所それぞれに、大きな生地を着せます。首は「首よろい」、胸は「むながい」、脇は「くさずり」、尻は「しりがい」「しりがけ」と部位によって呼び方が異なります。私の家の蔵に「チャグチャグ馬コ」の古い装束が残っています。麻糸を手編みしたもので、昔の人は賢くて、手先が器用だったのだなぁと思う素晴らしいものです。そこで私も麻糸にこだわって、25歳頃から今まで、農作業が暇なときに精を出して装束を7つほど手編みしました。実際に手編みしてわかりましたが、麻には、まとわりつかない、汚れが落ちやすい、光沢がある、色あせないなど、 いいところがあります。昔は他に良い繊維がなかったから麻を使ったのだと思いますが、「チャグチャグ馬コ」に適している繊維だと思います。この伝統を伝えていきたいと、私は若い人たちにも手編みを教えています。新たに全部を手編みすると2年ほどかかりますが、手入れをきちんとすれば何百年も保つものなので丁寧に作るよう励ましています。
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藤倉:装束のひとつひとつには、いわれがあります。例えば、「首よろい」と「首よろい」の飾りの「まんじゅう」は、参勤交代の山道で略奪者の弓矢から守る防具です。また「耳袋」をつけていますが、理由は3つあります。馬は色んな音に敏感なので、耳栓としての役割が1つ。2つ目は虫が耳の中に入らないようにすること、そして3つ目は帽子です。装束は15種類にもおよびますが、それぞれのいわれも機会があれば聞いていただきたいと思っています。「チャグチャグ馬コ」の前週日曜日には、鬼越蒼前神社周辺で「チャグチャグ馬コまつり」が行われます。この日は私が、馬に装束をひとつひとつ装着しながら、装束の説明をします。
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スタッフ:「チャグチャグ馬コ」を見る、お勧めの場所はどこですか?
藤倉:神社からおよそ15キロをパレードしますが、写真を撮る方たちに人気があるのは、田園風景や岩手山を望める、自然がたくさんあるところですね。また早朝の鬼越蒼前神社では、遠方から来た馬が装束をつける様子や、また人馬で「蒼前まいり」をする様子も見ることができるので、お勧めです。 |
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スタッフ:馬は「チャグチャグ馬コ」に出ることをわかっているのでしょうか?
藤倉:わかっていますね。一週間ほど前から馬の汗を洗い落として、馬小屋に藁(わら)もたくさんいれてきれいにするのですが、馬はいよいよと思うのか、体を汚さなくなります。当日は、朝は3時頃にえさを与えますが、今日は午後2時頃までえさを食べられないということがわかっているからか、がつがつ一生懸命食べますね。だから、今日は「チャグチャグ馬コ」の日だと馬はわかっていると思います。
スタッフ:これまで「チャグチャグ馬コ」のパレードの中で、馬の賢さや優しさなどを実感したことはありますか?
藤倉:「チャグチャグ馬コ」では子どもや女性を馬に乗せてパレードします。うちの馬の場合ですが、子どもが落ちそうになると察して止まるんです。馬が止まったので見てみると、馬の腹の帯が緩んで、鞍が曲がっている。「帯がゆるんどったのか、ごめんな」と言って、締めなおすと馬は歩き出します。子どもが乗ってることを気遣っているんでしょうか。また、馬がつまづいた時も、人間の足に触っても大事が無いよう気遣ってくれているのか、体重をかけないようにしてくれます。うちでは私の馬、息子の馬、孫の馬、3頭を「チャグチャグ馬コ」のためだけに飼っています。1年365日世話をするなかで、馬は家族の一員です。 |
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スタッフ:「チャグチャグ馬コ」に参加する機会はありますか?

藤倉:引き手と乗り手を一般の方から事前募集しています。「チャグチャグ馬コ」は国の無形民俗文化財なので、指定された衣装を着て、また事前の練習会にも出席していただくことなど条件がいくつかありますが、伝統行事に触れる良い機会ですので、ぜひご参加ください。
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