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北九州市の戸畑区で毎年7月に行われる「戸畑祇園大山笠」は、国の重要無形民族文化財に指定されています。50年以上、祭りに参加している戸畑祇園大山笠振興会会長田中淳さん(55歳)に、戸畑祇園大山笠の見どころをお聞きしました。 |
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戸畑祇園大山笠
振興会会長
田中淳さん |
スタッフ:「戸畑祇園大山笠」の見どころはどこでしょうか?
田中:夕方、山笠が姿を変えるところですね。
昼間の山笠は紅白12本の幟(のぼり)を立てた「のぼり山笠」ですが、夜になるとちょうちん309個をピラミッド型に組んだ「ちょうちん山笠」に変わるのです。姿を変える山笠というのは他ではあまりないと思います。
スタッフ:「のぼり山笠」から「ちょうちん山笠」へ、どのようにして変わるのですか?

田中:「のぼり山笠」の幕類やのぼりなどをすべて取り払い、山笠の台に四本の柱を立てます。次に身の軽い者2人が、ピラミッド型の上部5段のちょうちんを担いで四本柱を上がります。下にいる者は竹ざおで、上がっていく5段のちょうちんを支えるのです。上に担いでいった者と下から竹ざおで支える者たちが息をあわせてちょうちんを四本柱に固定。これを「五段上げ」といいます。「五段上げ」の後は、下の部分の7段を一段ずつ固定していき、ちょうちん12段、高さ10メートル、重さ2.5トンの「ちょうちん山笠」が完成します。この「五段上げ」が一番の見どころです。このときの動きがうまく合わないと、ちょうちんが傾いて不安定な状態になってしまいます。「五段上げ」が終わると、下でハラハラ見ていた観客から拍手が起こります。 |
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スタッフ:「山笠」は全部で何基ありますか?
田中:戸畑区内の東、西、天籟寺(てんらいじ)、中原(なかばる)の各町内に高校生以上の男たちが担ぐ「大山笠」と、中学生の男の子たちが担ぐ「小若山笠」がそれぞれ1基ずつ、全部で8基あります。
スタッフ:担ぎ手は1基何人くらいですか?
田中:山笠の台には、担ぎ棒が2本通っています。
前後4ヵ所をそれぞれ15人から20人、1基を60人から80人の若い衆が担いで「ヨイトサ、ヨイトサ」という威勢のいい掛け声を上げながら、街を練り歩きます。昔、担ぎ手が少ない時期もあったのですが、最近は増えてきて、「大山笠」の周囲を取り囲む400人から500人が交代で担いでいます。あらかじめ、各町お揃いの法被、帯、半股下、地下足袋など「祇園支度」と呼ばれる衣装を用意していただければ、戸畑の人でなくても担ぐことができます。
振興会の私の所に来てもらえば、どちらかの山笠に案内します。 |
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スタッフ:担ぐコツはありますか?
田中:ムカデ競争のように、足を合わせることです。ただ危険ですから前の人の足元ばかり見て担ぐというわけにはいきません。前後の人をよく見て、お囃子の太鼓をよく聞いて、ステップを合わせるのがコツです。
スタッフ:どんなお囃子がありますか?
田中:お囃子は5種類、山笠の運行の時と場所に応じたお囃子が演奏されます。私は特に山笠を担いで練り歩く時の「おおたろう囃子」が好きですね。お祭りが終わると山笠を担いだ肩がはれ上がって全身筋肉痛、疲労でくたくたになるので、「来年はもう担がん!」と思うのです。しかし毎年6月くらいになって、町のあちらこちらから子どもたちが練習するお囃子が聞こえてくると、血が騒ぎ出すというか「よし、今年も!」と、結局担いでしまう。毎年その繰り返しで50年が経ちました。太鼓が活気あるリズムを刻む「おおたろう囃子」、ぜひ生で聞いて欲しいですね。 |
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スタッフ:昼間の「のぼり山笠」の見どころを教えてください。
田中:「のぼり山笠」の台4面は幕で飾られていて、生地はラシャ地です。50年ほど前に「のぼり山笠」の幕を作るためわざわざ織ってもらった贅沢なものです。そこに金糸銀糸で豪華な刺繍をしています。7、8年前、この幕を京都で洗濯してもらったのですが、大山笠1基分の洗濯代が500万円、4基で2,000万円かかりました。幕の刺繍は那須与一や竜虎の戦いなど物語を描いていますからじっくり見ると面白いです。夜、観客は見上げて「ちょうちん山笠」を見ていますが、昼間は目線を少し下ろして「のぼり山笠」の工芸の美しさをぜひ見ていただきたいですね。
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スタッフ:「ちょうちん山笠」を見る、お勧めの場所はどこですか?
田中:中日の夕方、戸畑区役所前にある三角形をした浅生一号公園周辺の通りが、「戸畑祇園大山笠競演会」の会場になります。山笠8基が集結して「のぼり山笠」から「ちょうちん山笠」に姿を変え、4年に一度、回ってくる当番山笠を先頭に三角形の通りを順番に練ります。競演会の最後30分間は、前を行く山笠を追い抜いてもいい、自由競演の時間です。追い抜くと気持ちがいいし、逆に追いつかれた山笠は抜かれたくないので、2基、3基が重なりあいます。そこでは若いものがとても熱くなっていますよ。自由競演を見るお勧めの場所は、公園の戸畑駅側にあるタクシー会社の前あたりです。三角形の通りが鋭角になっているところなので、山笠が2、3基ひしめきあって回る迫力を見てもらえると思います。また今年からは、新しい有料観覧席でも見ていただけます。戸畑区役所が2007年に引っ越しましたが、新しい区役所は競演会会場の通りに面しています。そこで新区役所の建物外壁を階段状にして、そこを競演会の観覧席にしたのです。1700人程の席があります。建物外壁を利用したユニークな観覧席で、他にはないと思います。これも楽しみにしてください。 |
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スタッフ:最終日の見どころも紹介してください。
田中:3日目は、午前中からそれぞれの町で山笠運行と競演会を行います。
中でも「天籟寺」は、見どころですね。天籟寺では最終日の夜、菅原神社まで担いでいく「大上り」を行います。「大上り」では山笠を途中で落としてはいけません。しかし天籟寺は坂が多い地区、しかも「大上り」の道は大変傾斜がきつい坂になっています。疲れがピークに達している担ぎ手にとっては、最後の踏ん張りどころです。落としてはいけないことを知っている周囲から「(山笠を)落としたら結婚できんぞー」や、小若を担ぐ中学生たちには「お前ら、落としたら、高校に受からんぞー」など声援、野次が飛びます。大山笠の男たちも小若の中学生たちも、必死の形相で担いで坂を上がってきます。最近では、天籟寺の「大上り」を楽しみにする人も増えています。。 |
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田中:山笠の台枠の組み立てに釘は一切使用していません。今も山から採ってきたつる「藤葛(ふじかずら)」で締め上げています。山笠で使ったこの「ふじかずら」はご利益があるとされています。
また山笠には御神霊を納める祠をさらしに巻いて乗せています。祠のさらしは子どもさんの安全のお守りになるといいます。子どもができた方などに少しお譲りすることがありますので、ふじかずらや祠のさらしをご希望の方は、それぞれの山笠の責任者か振興会に事前に相談してください。
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