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平安、鎌倉時代、九州の国東半島には100を超える寺院があり、それらは六郷満山(ろくごうまんざん)と呼ばれ栄えていました。六郷満山の1つ天念寺では、およそ1200年前に始まったお正月行事「修正鬼会(しゅじょうおにえ)」が今も行われています。地元消防団で「修正鬼会」を裏方から支える大塚敏幸さん(46)に、「修正鬼会」の見どころをお聞きしました。 |
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大塚敏幸さん |
スタッフ:天念寺の「修正鬼会」とは、どのような行事ですか?
大塚:旧正月七日(今年は2007年2月24日)に赤鬼と黒鬼が松明をもって暴れまわり、国家安泰・五穀豊穣を祈願するお正月行事です。主役は「鬼」ですが、人間に悪さをする鬼ではありません。鬼は仏様の化身であり神様なのです。もう一つの主役が「火」です。午後7時30分頃、長さ5メートルある大松明3本に、公民館の前で僧侶から授かった火を点火します。 公民館前から大松明を介錯(かいしゃく)または本介錯(ほんがいしゃく)という役割になった消防団員や地域の若者およそ10人が、50メートル先にある天念寺講堂・本堂・みそそぎ神社前まで担いでいきます。講堂とみそそぎ神社前の石段で行われるのが「献灯の儀」です。「献灯の儀」ではまず、大松明の火を左に3回、右に3回まわして、上下に3度上げ下ろしをします。次に大松明どうしをぶつけ合い、講堂横の石段で消防団によって消火されます。献灯の儀を終了した後、大松明は講堂内の本尊前に供えられます。一連の儀式では火の粉が激しく舞い上がります。「修正鬼会」は火祭りなので、私たちは祭りの介錯という役割だけでなく、
消防団員としても備えているのです。
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スタッフ:「献灯の儀」の後は、何が行われますか?
大塚:午後8時30分頃から、講堂の中で僧侶たちによる「夜の勤行」が始まります。その後、僧侶たちはいったん退場、盛装からリラックスできる道服に着替え再登場したら、「立役(たちやく)」という踊りの儀式の始まりです。僧侶たちは「香水棒」という棒をもち、周りの僧侶があげるお経のリズムにのって下駄を踏み鳴らしながら踊ります。立候補していただければ、踊りには一般の方も参加可能です。僧侶と向き合あって踊るので覚えやすく、なかなか楽しいです。 |
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大塚:「立役」の後は、いよいよ鬼の出番です。鬼に付き添う本介錯に背負われて、お面をつけていない「赤鬼」「黒鬼」が講堂内に入ってきます。鬼をするのは僧侶ですが、まだこの時点では鬼になっていません。僧侶に鬼の面をつけてもらって、口に含んだ水を僧侶が鬼の面に吹きかけたら「鬼招き」が始まります。まだ鬼が出てきていないので、付き添いの本介錯が鬼を招くのです。子どもの“ケンケンパー”の遊びに似た、鬼を引き出す踊りです。本介錯と鬼とが一緒に飛び上がったり、降りたりし、呼吸があったところで鬼が出てきます。呼吸が合わないと鬼は出てきません。鬼に扮するのは僧侶ですが、昔の僧侶は慣れていない本介錯だと、相手に不足というのか、相手に不足というのか、なかなか鬼が出てこず、何度も踊らなければなりませんでした。今、鬼に扮しているのは若い僧侶なので、わりとすんなり出てきてくれるのですが。呼吸があって鬼が出てくれば、本介錯は鬼に小松明を渡します。そして鬼は小松明を振り回し、堂内で暴れるのです。
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大塚:ここからが大変です。
僧侶が大きな餅2つを堂内にまきます。実はこれ、「鬼の目」なのです。「鬼の目」を持ち帰ると縁起がいいので堂内のみなさんはとろうとしますが、鬼も自分の「目」を取られまいと必死です。そこで、「目」をとった人を小松明で激しく叩くのです。頭を叩かないように本介錯も気をつけるのですが、肩や背中を小松明でバシバシ叩きます。
スタッフ:危険を回避するにはどうしらよいですか?
大塚:「鬼の目」をつかんだ人は独り占めしないことですね。1つ取ったら半分を他の人に分ける。半分をとったらその半分を他の人に分ける。「鬼の目」は小さくはなりますが、たくさんになるので、リスクも少なくなり、鬼はすべての人を追いかけることができなくなります。独り占めをしようとすると、けがをする危険があります。 |
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スタッフ:鬼はどのくらい激しく叩くのですか?
大塚:鬼ですから、鬼気迫るものがあります。鬼になったある僧侶の頭には10円くらいの火傷跡が残っています。鬼の頭には、おんだま(ユリ科の多年草である、蛇の鬚(竜の鬚)の現地名)の葉が結わえてあり、そこに火の粉が落ちたのでしょう。とても熱かったと思うのですが、その僧侶は「鬼になった以上、そんな火を振り払えない。」と言っていました。鬼になった僧侶はもう鬼なので、自分の頭が燃えようが、何しようがかまわないという気持ちでやっているのです。ですので「鬼の目」をとった人を容赦せず叩くのです。 |
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スタッフ:「鬼の目」の争奪はどのようにして終わるのですか?
大塚:「鬼の目」がばらばらになったら終了です。本介錯が鬼を後ろから羽交い絞めにして止めます。その後、「加持の儀式」が行われます。一年間の無病息災を祈願して、鬼が小松明で参拝者の肩や背中などを叩くのです。「加持の儀式」が終われば、「鬼静め」の読経の中、鬼は本介錯に背負われて講堂から退場します。ここまでで例年午後11時頃になりますが、さらに、このあと僧侶たちが小餅を撒きます。この時の小餅も縁起がいいのでぜひ、持ち帰ってください。
スタッフ:餅をとるコツはありますか?
大塚:隅の方で下を向いておくのがコツですね。上を向いていてもほとんどとれません。自分のスペースを確保して、下を向いていれば小餅は足元に転がってきますので、それを拾うことがお勧めです。 |
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スタッフ:最後に、「修正鬼会」をアピールしてください。
大塚:「修正鬼会」は1200年以上もの間、ほとんど変わっていない行事です。見ていただければ、昔の日本人が大切にしていたものが何なのか、これからの日本人が何を大切にしなければならないのかを肌で感じてもらえるのではと思います。また火祭りなので、服に火の粉が落ちることがあります。多少燃えても大丈夫な服装でお越しください!
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