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毎年8月12日から15日までの4日間、徳島県徳島市で行われる「阿波おどり」は、毎年120万人以上の人を集める日本を代表する「盆踊り」の1つです。これまで放送局の記者として、昨年春からはフリーランスのディレクターとして「阿波おどり」の取材を重ねている徳島市出身の網師本祐季さんに「阿波おどり」の見どころをお聞きしました。 |
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網師本祐季さん |
スタッフ:たくさんの人が熱狂する「阿波おどり」の魅力は、どのようなところにあると思いますか?
網師本:私個人としてはまず、「阿波おどり」のリズム「ぞめき」が魅力です。「ぞめき」は二拍子のリズムで、“かき回す、騒ぐ”などの意味です。また、高揚感も「阿波おどり」の魅力だと思います。「阿波おどり」の本番は、4日間だけです。徳島の人には、その4日間のために、1年の残り361日を過ごすという気持ちがどこかにあります。特に踊り子さんたちはそうだと思います。残りの361日は地味な稽古に明け暮れなければいけません。 だから、本番の日を迎えると、361日間蓄えた大変なエネルギーがあふれでてきます。「ぞめき」のリズムとともに、みなの気持ちが高揚して、私も町の雰囲気も自然と高揚してくる。そういう独特の高揚感が「阿波おどり」の魅力だと思います。
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スタッフ:特に「連」に参加している方は「阿波おどり」の4日間がさぞ待ち遠しいのでしょうね。
網師本:阿波おどりが8月15日で終わったら、16日から翌年の練習が始まります。
よくある「お稽古ごと」とは全然違い、「阿波おどり」にかける情熱は、
もう尋常ではありません。職場でも「阿波おどり」のために上司を説き伏せている人も少なくありません。例えば、大企業につとめている人で「阿波おどりの4日間だけパンチパーマにさせてください!」や「阿波おどりにはチョビひげがいるので、このひげを剃らせないでください!」と上司に約束を取りつける人もいますし、また「阿波おどりの1ヶ月前から仕事は休みます」という契約で働いている人もいますね。
スタッフ:「阿波おどり」には、パンチパーマとチョビひげが必要なのですか?
網師本:パンチパーマとチョビひげがお約束になっているのは「苔作(こけさく)連」です。大きな太鼓を大きな音で叩くなど、「阿波おどり」の中に新風を吹き込んだ「連」の1つですごく人気が出ました。「苔作連」の影響でパンチパーマにチョビひげスタイルを取り入れる連がいくつも出来ました。 |
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スタッフ:どのあたりに注目すると、いい踊りに出会えますか?
網師本:いい踊り、好きな踊りというのは、人それぞれの好みがあると思いますが私は指の動きに注目します。特に女性の踊り子は。元気な「女踊り」も楽しいですが、私は「女踊り」は切なくはかないものであって欲しいのです。それが女踊りの魅力だと思っています。『藍吹雪(あいふぶき)』という鳴り物の集団に所属していて、フリーで活躍している蔭川(かげかわ)千春さんの「阿波おどり」は一級品だと思います。指の動き、所作などが、はかなく切ないのです。機会があれば蔭川さんの踊りを見ていただきたいし、踊り子さんの指の動きに注目して好きな踊りを見つけていただきたいですね。
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スタッフ:「男踊り」はどのあたりに注目すると、いい踊りに出会えますか?
網師本:「女踊り」もそうですが、「男踊り」は特に踊り子さんに余裕があるかないかですね。余裕のない踊り子さんは、お客さんに見られていることで自分が幸せになってしまい、踊りが独りよがりになっているなぁと思うことがあります。踊りに余裕がある人は、逆にお客さんをよく見ています。
葉月連やえびす連では、選ばれた4~5人の女性だけが踊らせてもらえる男踊りがあり、それぞれ連の先頭でお客さんを見回しながら踊っています。見ている方は、踊り子さんと目があうとやっぱりうれしいものです。余裕があって、そういう目配せができる踊り子がいる「連」はやっぱり強いと思います。お客さんを見る余裕がある踊り子さんは、お客さんと目があうとたいてい微笑んでくれたり、男の踊り子さんだったらとてもいい顔をしてくれたり、体をこちらに向けて2歩3歩踊り寄ってきてくれたり、あるいは団扇(うちわ)さばきをやってくれたりと、何かしらやってくれます。踊り子さんは踊っているのも楽しいけれど、お客さんのことがすごく好きなので喜んで欲しいと思っています。踊り子さんをよく見て、余裕があるうまい人を見つけたら、ぜひ熱い視線や声援を送ってみてください。
スタッフ:注目している踊り子さんはいますか?
網師本:昔からファンで応援しているのが「菊水連」の武市憲太君です。菊水連は「小菊」と呼ばれる子供たちの踊りが有名で、大人顔負けのちびっ子達はすごく人気があります。初めて取材をしたのは武市君が10歳くらいの頃だったので、もう15~6歳になっているかと思いますが、当時の彼の「男踊り」は大人顔負けでした。 |
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網師本:「阿波おどり」というと踊り子さんに目が行きがちですが、鳴り物にも注目して欲しいです。うまい人は全然違いますから。鳴り物は、「連」それぞれにオリジナリティがあって、独創的です。大太鼓、鉦、締太鼓、鼓(つつみ)、笛、三味線の6つの組み合わせが基本ですが、これでなければならないということもありません。踊りのリズムを変える時に拍子木を使う連もあります。
例えば、マンモス連の娯茶平はスローな鳴りものに合わせた地を這うような踊りが魅力の連ですが、鳴り物は三味線や笛を基調とした昔ながらの正調リズムを守っています。
このように鳴り物は、伝統的なリズムを守りながらもアレンジして個性を競っているので、聞き比べると楽しいです。また鳴り物の人を応援すると、とても喜んでくれます。張り切っていいお囃子を聞かせてくれると思いますよ。 |
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スタッフ:「阿波おどり」は演舞場だけでなく、街角でも見ることができるそうですね。
網師本:そうです。演舞場は市内に数ヶ所あって、有名連は踊る時間が決まっていますが、それ以外の待機時間などは街角で輪になって踊り、ファンサービスしています。踊り子さんを間近に見られるし、輪踊りは観客飛び入り参加OKです。演舞場では当日、どこの「連」が登場するかわからないので、もしお目当ての「連」があるなら、その「連」を追いかけて街踊りで身近に見るという楽しみ方もあります。
スタッフ:たくさん「連」があるなかで、どのようにして「連」を見つけたら、いいのでしょうか?
網師本:「連」の人は、「○○連」と自分の所属連名を書いた提灯を持っています。ですので、まず「連」の提灯を見つけることです。その人に聞けば当日のスケジュールがわかるので、一緒にくっついていく、あるいは演舞場の待機時間にその周辺に行ってみると輪踊りをしていると思います。演舞場が終わってからも、輪踊りや町内をまわる「一町まわり」が行われています。最終日は特に来年の「阿波おどり」まで361日待たなきゃいけない名残惜しさで、長い時間踊っています。人気の鳴り物集団「藍吹雪」も最終日の12時に「一町まわり」をします。蔭川さん以外にも抜きん出た技を持つ、魅力溢れる踊り子約10人が繰り広げる一町まわりには、毎年何百人ものファンがついて来ます。身近に踊り子さん、鳴り物を見ることができますので、好きな「阿波おどり」を見つけていただきたいです。 |
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スタッフ:「連」はたくさんありますが、どこで練習しているのですか?
網師本:あちこちで行っています。例えば町のど真ん中の公園であったり、吉野川の河川敷や橋の下、商店街のアーケード、会社の駐車場や工場の中など、どこでも練習しています。
鳴り物も、もちろん生演奏で練習していますから、徳島では「ぞめき」は夏の音、風鈴みたいなものです。有名連の練習場所は長年決まっていますから、散歩がてらに見に行く地元の人、またわざわざ練習を観に来る観光客もいます。「阿波おどり」の3ヶ月前くらいからは、1日、3~4時間の練習は当たり前で踊り子さんの一生懸命な様子や素顔もちらりと見えたりします。練習をぶらりと見に行くのもオツなものですよ。
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スタッフ:このホームページを見ている方に「阿波おどり」をアピールしてください。
網師本:祭りの4日間は町中が高揚していて、「本当の祭りはここにあり!」という感じです。私のとらえ方でいうと、「阿波おどり」は”丸い形”のものなのです。たまたまその中心に踊り子がいて、その踊り子を観にきた人が周囲にいて、さらにその見に来た人ともに高揚する人がまわりにいる。だから、見に行こうかなと思った時点で「阿波おどり」の”丸い形”に入っている。「阿波おどり」の何かが気になって、調べてこのページにたどり着いてくださったのであれば、その時点から「阿波おどり」の丸に参加して下さっているのです。ということで、徳島でお待ちしています!
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